入ってきた男たち
「『ケガ人』だとおもうか?おもては《白に赤》の惨劇だぞ」
わらいながら先に入ってきたのは襟に毛皮のついた黒いコートを着たダニーだった。
続いてうしろから見たこともない男たちがかたまってはいってきたが、すべての男たちがダニーとおなじように上等なコートを着ていて、だれも銃を手にもっていない。かわりに柔らかそうな革の手袋をみんなはめていて、まるで、銀行や会社のトップにすわる男たちがまちがって連れてこられたかのようだ。
でも、 ―― 。
―― ついてるやつらだ・・・・
ここにきてからまったくみえなかったが、ダニーをふくめ、六人のおとこたちも『ついてるヤツ』なのが、おれにはしっかりとみえた。
ダニーたちは中にはいったが、その正面にまだジョーが動かずに立つのを、抜こうともどかそうともせずに、むかいあった。
中をゆっくりみまわしながらおれに目をとめると、いつものいやなわらいをうかべてみせる。
「どうしたマックス?縛り上げられてもいないし、扉もあけられないんじゃあ、ただなんの役にも立たなかったってことか?残念だな。おれはおまえのことを、すこし買いかぶりすぎたのかもしれねえな」
「いや、まてよ。たしか彼が、おまえの家に電話をかけてきたのだろう?」
ダニーの後ろにいた男のひとりがきくのに、おもいだしたように指をならした。




