襲撃はじまる
だめだ。これは完全な、ギャングの本気の襲撃になる。
おれは目のまえが暗くなってしゃがみこむ。
ここにきてようやく、自分のせいでこの男たちも死ぬのだという実感がわきあがり、ごめん、とちいさくあやまった。
またしても、きたないわらい声がひびき、身をすくませたおれの肩をだれかがたたく。
「謝るならレイに謝れよ。あいつはおまえのこと疑ったことねえからな」
ケンのそのひとことが、いままで痛んだことなんてなかったところを痛く突く。
「コルボクが犬に指示をだしたなら二人とも射撃場の小屋から戻ってくるだろう。建物の両横にいる男たちはきっとまだ武器をもっているだろうから、犬だけではすこし不安だな」
ジョーの低い声がそういっているのをきき、おれはたちあがった。
「 なら、おれがそこにいく。おれの銃をかえしてくれるか、あんたがもってるライフルをかしてくれ」
これにこたえたのは、ホールの大階段の上からの声だった。
「ここで派手に死にたいからって、そりゃ無理だろ。あんたが外に行くのも犬たちのあしでまといになるだけだしね」
ウィルの反対意見におれはいいかえせない。
「コルボクはどうした」
ショーンがきくと、あいつは終わるまでここに入らないっていいはっててさ、と肩をすくめた。
「 ―― とりあえず、弓矢とクロスボウは使わないように言ってきたよ」
「それならいい。休暇中のゴタゴタはごめんだ」
ショーンがそういってため息をついたとき、外で数回発砲音がひびいた。
「はじまったな」
ジョーのおちついたこえに、おれは心臓をつかまれたような気がした。




