ジュニア笑う
「ギャングとのはなしはどうなってるんだ?」
急にジャンが、おれをふりかえりきく。
みんなの視線をあつめ、ひらきかけた口から、どう話せばいいのか考えたが、浮かぶのは倒れたトッドのことだった。
「 ・・・トッドは、・・・レイとジュニアだけ連れてここを先に出てくつもりだったんだ。この仕事だって、トッドじゃなくて」
「そんなのわかってる。おれがききたいのは、ここにくるのは、どういう手合いのギャングなのかってことだ」
怒るというよりも説明不足をただすような口調でせかされた。
順をおいながら、ここにくることになったいきさつとダニーのことを、おれは簡潔に説明した。
「 ―― なるほどな。《酒場の賭博場》か。まあギャングらしいといえばらしい、が・・・ジョーを知ってたって?」
ジャンがなぜか半わらいで元聖父をふりかえると、まるでこの話し合いに加わるようにジョーの足元で男たちの顔をみあげていたジュニアが、いきなり太くきたない声でわらいだし、おれはぎょっとして身をすくめた。
あきらかに子どもの声なんかじゃない。
驚いた顔でジュニアをみているのはおれとゲイリーだけで、ほかのやつらはなんの驚きもしめしていない。




