射撃場から
一階につくとホールのラウンジにある窓から、ゲイリーが外をながめ、ショーンが暖炉に火をつけているところだった。
「犬はまだ動かない。ケンはここの見晴らし台に行ってる。とりあえず火をたいておけば煙突から入る気はうせるだろ」
「正面から車で突っ込むんじゃない?建物横の雑木林は木がまばらだし、徒歩でせめこむにしても雪が積もりすぎてるし」
二人の意見にジュニアをおろして了承の手をあげてみせたジャンが、おれをみてから、ジョーに視線をうつした。
「おれたちのはなしはあとにまわそう。射撃場のほうから聞いておく」
みんながしぜんと暖炉の前にあつまった。
腕をくんだジョーがすぐに、コルボクだ、と先住民族の男の名をあげる。
「 ―― まあ、着いたときからこれからなにか起こるのはわかってたと言ってたが、昼ちかくになって『近づいてくるのも悪い精霊だ』っていいながら射撃場がある山からおりて、別荘の両側の林を確認してくると言い出した。 ウィルとおれもしかたがないから従うことにして、手分けでみまわったら、かなり建物からは距離はあるが、雑木林の中にスノーモービルが数台と自動小銃を用意した男たちを発見した。まだ時間に余裕があるらしく、煙草を吸ったり酒を飲んで時計を気にしてるところだった。コルボクは『もっと悪い精霊がくるまえに片付けた方がいい』といったが、おれがおしとどめた。理由はあとではなす。 とにかく、それだけ確認したところでまた雪がふってきそうになったんで、いちど射撃場の小屋にひきあげようってことになった。見張りに着いた男たちはおれたちが射撃場にでたあとで着いたんだろうから、おれたちはそのまま建物のそとにいるほうがいいかもしれないと思ってな。ただ、先におれだけもどったほうがよさそうだとウィルに言ったら、休憩小屋からの地下道が別荘につながってると教えられて、こうしてもどってきた。が、 ―― 」
わかったからちょっとまて、とジャンが手を立てたとき、ケンがあらわれ、そろったじゃねえか、とソファにとびのるようにすわる。
「どうだった?」
「正面のほうがすこし数が多くて、ジャンの車と同じようなでかいのが三台くらいだな」
ショーンに報告したケンは火のついた暖炉にめをむけた。




