表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
A班(外)ファイル ― 門番は留守に鍵をあずける ―  作者: ぽすしち
(外)ファイル№12

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

126/168

これで部屋は開かない



 25.




 レイとトッドを残した部屋のドアをジョーが閉めたあと、片腕にだいているジュニアがからだがおちそうなほど身をのばし、その小さな手でドアノブをなでた。

「これでもう、この部屋はあかない」

 ジョーがそんなことをおれにいうので、なんだかわからないけど、おれはジュニアの柔らかい金色の髪ををぐしゃぐしゃにかきまわし、ありがとう、と礼をいってしまった。ジュニアは迷惑そうに髪をなおしながら、おれのことをにらんできた。


「たぶんもう、かなり近くまできてるな」

 ジョーはジュニアをジャンにわたし、エレベータを挟んだ反対側にある物置部屋に足早にむかうと、そのドアをあけてすぐの壁にとりつけられた壁掛け電話の受話器をとりあげた。

「 ―― ああ、こっちはレイを『安全地帯』にいれたところだ。そっちの動きはどうだ?」


 『安全地帯』だって?


 おれの疑問をふくんだ視線を受けてジャンは気にするなというように微笑むだけで、下にもどるぞと先に階段にむかう。

 ジョーは電話をもどし、物置小屋のドアをしめた。

 いっしょに階段をおりながら、おれがききたいことを先にはなしだした。

「あの物置小屋から地下にいける。そこから続いてる細い通路は、射撃場の休憩小屋とつながってる」


「なんだって!?じゃあ、地下っていうのは」


「いや。この建物の地下室とはまったくべつの、ただの《避難通路》だ」

 ジョーはなんだかおれをはげますように、大きな手で肩をたたいてみせた。


「でもそれなら、みんなでその通路をわたって、射撃場に逃げた方が早くねえか」


「そうすると、この建物を《置いて》ゆくことになる」


「『置いて』って」


「まあ、とにかく一度、話し合いをしてからだ」


「まさか!無理だ!ダニーは『話し合い』なんてできるあいてじゃねえよ!」


 おれの大声に、先をおりていたジャンがたちどまってふりかえる。

「ジョー、それをいうならきっと、『ミーティング』だろ。おれたちが仕事の前にするやつだ。下に行ってショーンたちも交えてから、全部説明してくれよ」


 ジャンに抱っこされてるジュニアが、短い指をたててジョーをさし、にっとわらう。ジョーはどうでもいいようにそれをはらうしぐさをした。おれはなんだか寒気におそわれていた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ