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部屋を調べる


 22.




 朝からつかっていなかった暖炉の煙突に、ケンが下からもぐりこんでのぼってゆき、手と服を煤だらけにして出てくると、なにもねえ、とつまらなさそうに手の煤をまきちらしジャンにおこられる。

 フロントのカウンター下も奥もなにもなし。二階にあがってあのひろい《ダンスホール》も《娯楽室》も《歓談室》も壁や床、バーカウンターの棚まで調べたが、動く壁や取り外せる床板はなかった。

 

「で?やっぱり部屋もしらべるのか?」

 ジャンが三階のフロアでウィルから預かったマスターキーをゆらす。

「だって、ほんとに見取り図通りかなんてわかんねえし、部屋のつくりだって、どの階も同じとはかぎらねえだろ?みんなも、勝手に部屋にはいって調べていいって言ってんだし」

 ここでケンはおれたちをみて、なあ?と確認した。


「 そりゃ、あんたたちの友達の別荘なんだから、あんたらの好きにしたらいい。べつに、おれたちの部屋をしらべるときだけ『荷物』をあさるわけじゃないだろ?」

 おれはジャンをみてわらってみせる。


「『荷物を』? そうか、じゃあ先に白状したほうがよさそうだな。おれは部屋の酒を二、三本バッグにいれてある」

 トッドが堂々と『白状』するのを、ケンが鼻をならすようにわらう。

「問題なさそうだな。じゃあおれの部屋とレイの部屋をショーンとジャンでみてくれよ。おれたちはウィルの部屋と、誰も泊まってねえ部屋をみる」

 おれとトッドは完全にケンの指揮下だ。だが、べつに文句はない。


 ケンは若いくせに手際がいいし、おれたちが一か所確認するあいだに三か所ぐらい確認している。



 『マスターキー』とよばれる鍵であけたのは、ウィルの部屋と、そのとなりのつかわれていない部屋だけだった。

 ここに泊ってる連中はみんな《仲間》だから、《警備官》たちは部屋に鍵はかけていないという。だが、ウィルの部屋には何か『大事なもの』があるとかで、鍵をかけてあるらしい。



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