悪い幽霊
「レイとゲイリーはジュニアの子守と昼飯つくるからって断られた」
ケンの報告に、当然だなとジャンがうなずく。
「だいたい、ケビンがどこかに隠れてるとか、ありえるか?あいつならさっさと顔をみせにくるだろ?」
これにうなずいたショーンが、あらたまったように、「先におまえたちに言っておくことがある」とジャンとケンを交互にみた。
「おれは、 ―― マックスがみたフロント係は《幽霊》だと思ってる」
「うわお、衝撃発言」
ケンが両手を打ち合わせてみせるのに、それをおしのけたジャンがショーンの顔をのぞきこみ、心配そうにしばらくみつめた。
「 たのむ、ショーン、いまのは悪ふざけで言ってみただけだって訂正してくれ」
「訂正はしない。おれとゲイリー、あとそこの二人で階段をおりたとき、勝手に階数がとんで三階でなく二階についた。すぐに確認してあがっていったらおかしいことはなにもなくて、おれだけの勘違いってことにされたが、コルボクのあの反応みただろう?あいつのいう『悪い精霊』ってのは、おれたちの感覚でいうところの『悪い幽霊』っていうのもはいってるはずだ」
はなしの途中から首をふりはじめていたジャンが、こちらをいきなりふりかえり、幽霊だったか?とおれにきく。
「いや、・・・透き通ってなかったし、顔色もそんな悪くなかった、・・・とおもう」
なんて返せばいいのかわからないので、妥当とおもわれることをいってみる。




