スーフ族と弓矢
21.
フロント前に集まったのは、おれとトッド、ショーンとジャンだけだった。
ケンが不服そうに、ライフルのケースを肩にかけ正面のドアを出て行こうとするウィルにむけ、おまえの別荘なんだぜ、と大声をだすが、「マスターキーはわたしただろ」とだけかえされる。
「ウィルはジョーと腕試ししたいんだろ。こんな機会じゃないとつきあってくれないだろうからな」
わらったジャンがあとからライフルのケースをもって現れた元聖父に、コルボクも参加するんだろう?ときくと、「彼は弓矢を試したいらしい」とこたえがかえった。
トッドと顔をみあわせたおれはすこしわらってしまった。
たとえケンカがつよい先住民族だとしても、弓矢なんかじゃ銃には勝てない。
「おい、その矢に毒はないだろうな?こんなところで森の動物にでもつかったら、おれの責任問題になる」
ショーンのこのひとことで、わらいはひっこんだ。
「いや。彼らスーフ族愛用の弓矢じゃなくて、ほら、仕事で新しくもらったんだろ?あの、近代的なやつを」と、その代物の名前がでなくてもどうでもいいようゆびをふるのに、それ《クロスボウ》だろ、とジャンがこたえをだす。
おれとトッドの顔から、わらいはすっかり消えた。
「あいつの武器の改良申請、これで三度目なんだぜ。殺傷能力がたかすぎるから、もうこれでストップかけるって安全管理課からいわれてる」
ショーンは困ったようにおれたちをみた。
ジョーが片手をあげて、空き缶と空き瓶にしかむけないと誓い、森の方にあるという『練習場』へとむかった。




