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中央通り


 4.




 中央通りからすこしはずれ、公園をみわたせるいちばんいい場所にあるそのホテルの名前はしっていたが、ここまでしっかり見たことはなかった。

 なにしろ、まったく縁がない。

 これの裏口から出てくるなら、有名人か、または有名人との関係をしられたくない浮気相手とかか?

 そんなことを考えながら携帯電話でしゃべっているふりを続けていたら、裏口は裏口でも厨房だとおもわれるところのドアがひらき、白い調理服をきた恰幅のいい男がでてきて、それに続けて細身の男がでてきた。


 いた


 あの写真の男だ。コックと思われる男と親し気にはなし、最後にかるくハグして別れるとマフラーを首にまきだす。片方の肩にはナップザックをかけウールのコートを着た姿は、学生にしかみえない。


 すこしだけ、あたりをみまわして歩き出したのは、もしかして尾行を気にしてるのか?


 

 マックスは携帯を耳にあてながら、そのあとをつけだす。

 直前になってトッドから、尾行するときにこれをかぶれと白い毛糸の帽子をわたされた。

 なんでこんな目立つもんを、と文句をいうと、どうやら仕事をちゃんとやっているかむこうさんが確認したいらしい、と眉をあげてみせた。


 あの金額ならそれもしかたないと、あきらめてかぶった帽子を隠そうと思ったが、マフラーをまきおえた男はこちらに目をとめることもなく、歩き出した。


 どうやら中央通りのほうへ行くらしい。



 この街にきている観光客がみんなあつまるその中央通りには、ソフトクリームから《クスリ》まで、なんでもそろっている。

 正規のカジノがあるが、ここはほんとうに観光客むけの遊園地のようなもので、家族で遊べる施設や、メリーゴーラウンドまでが中にそろっていて、あちこちに子どもがうろついている。チップやゲームコインの換金も定められた上限金額までで、それ以上はつっこめないことになっていて、はやいはなし『カジノ体験施設』という感じだ。なにしろ換金するのに身分証をださなきゃならないなんて、かたすぎるだろ。

 おかげでおれは、中に入ったことはあるが遊んだこともなく、あちこちに立っている私設警備員たちと目があって、すぐに退散した思い出しかない。



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