だって私は、
こちらも数年前に書いた物です。
今回は誤字以外の修正はせず、そのまま載せています。
──私と貴女は、とても仲の良い友達だった。
初めて出会った時のことは、今でも鮮明に覚えている。貴女の母親の紹介で、私達は出会った。貴女は3歳になったばかりだった。
「新しいお友達よ。仲良くしてあげなさいね」
そう言われた貴女は、花のような笑顔で私を抱きしめた。力いっぱい抱きしめられて少し痛かったけれど、これ以上ないくらい嬉しかった。貴女が初めてできた友達だったから。
私と貴女は、出会ってから毎日一緒に遊んだ。部屋の中だけでなく、外でも一緒にいてくれた。家族旅行に連れて行ってくれたこともあった。流石に、家族だけで行った方がいいのではと思ったけれど、貴女は私のことを家族の一員とまで言ってくれた。
とても楽しかった。貴女との時間が私の全てだった。本当に、幸せだった。けれど、貴女は大きくなるに連れ、私と遊ばなくなってしまった──。
学校へ行く歳になり、貴女は他にたくさんの友達ができていった。私と貴女は会うことさえもが少なくなっていった。私には他の友達などいなかった。寂しかったけれど、貴女が他の友達と楽しそうにお喋りしているのを見て、何も言えなかった。
ある日、貴女は私を友達に紹介してくれた。すると貴女の友達は嘲笑を浮かべて言った。
「そんな子がお友達だなんて、恥ずかしくないの?」
それきり、貴女と私が一緒に遊ぶことは二度となかった……。
時は経ち、貴女はとても大きくなった。とても美しくなった。貴女が美しくなっていく度に、私は貴女の幼い頃を思い出す。楽しかったあの日々を。そこでようやく気が付いた。私は貴女のことが好きなのだと──。
許されない想いなのだと分かっていた。過去の出来事がフラッシュバックする。私を友達に紹介して、笑われてしまったあの時のこと。貴女に恥をかかせてしまったことが悲しくてたまらない。そんな私が貴女を想うことなど許されないのだ。
どうして。どうして私と貴女はこんなにも違うのだろう。 私は貴女を遠くで眺めることしかできない。親しげに駆け寄ることも、近付くことも、声をかけることすらできない。
貴女はとても美しく成長して、けれど私は薄汚くて。貴女との違いが大きくなればなるほど苦しかった。
けれど、こんな苦しい恋ももう終わる。貴女との別れの時が来てしまった。
ゆっくりと私の躯が、揺らめく赤に吸い込まれて行く。硬い手足は、それでも微動だにしない。揺れる赤を目の前にして、最後に貴女と話をしたかったと、ぼんやり思う。けれど、できない。どんなに想っても願っても。私は最後まで貴女に、声をかけることも、手を振ることも、微笑むこともできないのだ。
──だって私は、人形だから。
持ち主に恋をしてしまったお人形のお話でした。
前回のオチと同じですね。(笑)
ラストは供養の為に焼かれています。
幼い頃に遊んでいた物を捨てる時って辛いですよね。
物にも心があると思っているので、いつか別れの時が来るにしても、その時まで精一杯大切にしてあげたいです。
ちなみに私は薄汚れまくったぬいぐるみを未だ捨てれず部屋に飾ってあります。(笑)
人形はまだ捨てれるとしても、ぬいぐるみは無理……。
だって一生可愛いもん……。




