1章 1話 アンナイニン
よし、チャットも飛ばしたし、スライムの森を探して見ようかな。とりあえずどこに行けばいいんだろう。私がキョロキョロしていると、1人のおばあさんが近づいてきた。
「ほっほっほ。見覚えのない旅人さんがいるのぉ。新しい旅人さんじゃな。わからないこともあるじゃろう。この街について説明しようかのぉ。」
と、私の前でとまって話し始めた。そのキャラの名前を見ると、アンナ·イニンと書かれていた。どう読んでも案内人だろう。安直だがわかりやすい名前だ。fantasia world onlineは優秀なAIを積んだ、NPCがいる。という、噂を聞いたことがある。まだリリース2週間だが、ベータテストの時期から考えても、2ヶ月しかたってないのに、そういう噂がたっているのは、相当技術を注がれたキャラがいるっていうことだ。恐らくだけど、彼女もそのうちの1人なんだろうな。
「助かる。教えてほしい。」
私が、頼むとおばあさんは大きく笑って、
「まかせんしゃい。まずはここから説明するかのぉ。この噴水は始まりの噴水と呼ばれておる。まぁ理由としては、旅人さんたちが、始めて天より降りてくるときはこの噴水を目印にしてるらしいのぉ。あと、旅人さんたちの使えるテレポートもここらしいのぉ。旅人さんたちは死にかけると本能でテレポートするからのぉ。」
と、いった。死にかけるとテレポートするというのはリスポーンのことだろう。そんな事考えていると、おばあさんは歩き始めた。私もおいていかれないように、そのおばあさんの後を追った。しばらく歩いて、他のプレイヤーともすれ違いながらついたのは居酒屋みたいな雰囲気の場所だ。
「ここは見ての通り居酒屋じゃ。旅人さんも腹が減っては戦ができぬ。ここで腹ごしらえする旅人さんもいるのぉ。そして、あそこの奥の看板にはってあるのは、いろんな依頼じゃ。旅ついでに、カウンターに居る若い娘に素材をわたすとお金稼ぎになるぞ。」
と、おばあさんは、カウンターのお姉さんの方を見ながら教えてくれた。つまりここは、ゲームとかである冒険者ギルドみたいな感じかな?せっかくだし、後でスライム関連の依頼無いか探して見ようかな。
「いつでも待ってるわよー。」
私の心を読んでるのかと思うようなタイミングで、バッチリ目があったカウンターの女性から声が飛んできた。
「また後で来る。」
私はそう言いペコッと頭をさげて、その居酒屋を後にした。
「それじゃ次に行くぞ。」
おばあさんは、もう次の場所に案内するつもりなのか、歩き始めている。そしてついたのは市場みたいな場所だ。
「ここは見ての通り市場じゃ。スキルの書やちょっとした食べ物など売ってる場所じゃ。ただしここでは強い心が必要じゃのぉ。何故なら、かるい気持ちでココに来ると何故か財布の中身が空っぽになるんじゃ。不思議な現象じゃ。」
と、おばあさんは話した。いやそれは単なる使いすぎではと思ったけど、それをぐっと堪えて、
「わかった。強い心持つ。」
と、おばあさんの話に乗った。私も、欲しいものとは関係なく無駄遣いしたことあるし、人の事を言えないからだ。そしておばあさんはまた歩き始めた。ほんとに案内するだけが仕事みたいな感じで無駄がない。私は市場の商品を見るのをぐっと堪えておばあさんの後ろを追いかけた。それからまた、しばらく歩いて、
「ここは宿屋じゃ。多くの旅人さんはここで休んでいるのぉ。ここで休んでいると、眠っている間にHP、MPが全快するしのぉ。1度宿屋を取った者は、テレポートでココに返ってくるらしいのじゃ。」
寝っている時とは、ログアウトのことかな?それと、今の話を聞く限り、リスポーン地が更新されるのかな?確かにあんな目立つ場所でリスポーンしたくないしね。自分負けました。と語っているみたいだし。ダンジョンいく前にこっちに戻ってこようかな。
「それじゃー次に向かうがよいかのぉ?」
と、おばあさんは質問してきた。これは、宿取るかという質問だろう。
「うん。問題無い。」
と、私は返した。正直言って、せっかく案内してくれているのに、私の都合で待たせるわけにはいかない。それに今は見て回りたい気持ちでいっぱいだ。
「ふむ。わかったのじゃ。それでは、いくのじゃ。」
と、言った、おばあさんが最後につれて行ってくれたのは、教会だった。
「最後にここじゃ。ここではなポーションを販売してくれるのぉ。そして薬草などの買い取りもしてくれる回復のエキスパートの集まりじゃ。市場にあるポーションよりも高品質でちょっと高いのじゃが効果は本物じゃのぉ。わしも腰痛に効く薬を処方してもらっておる。」
つまり、ここは質の良いポーション屋さんということかな?ゲームでは神官とかヒーラーの役目が多いし。教会が回復というのもおかしくはない。
「それにじゃが、魔物と戦っていると呪われることもある。その多くの呪いもここで取ってもらえるのじゃ。」
それはとてもいい情報だと思う。呪いと言われる現象と対策。これはしっかり覚えとかなきゃ。
「ありがとう。気をつける。」
私は心からお礼を言った。すると、それを見たおばあさんはニヤリと笑って、
「しっかりと、お礼を言えるのはいいことなのじゃ。悪いことばかりしていると、捕まるのじゃ。」
と、最後に爆弾発言をしたのだった。