プロローグ 4 黒いスライム
それでは、次はボス戦をやってみましょう。
ここからの敵の攻撃はしっかりダメージが入るので気をつけてください。HPが0になると、ゲームオーバーです。
本来だと、お金やマジックバックに入っているアイテムがロストしますが、今回はチュートリアル。何もロストせず、その場で復活しますから安心してください。それではいってみましょう。
と、文字が流れ、私が読み終わった頃に、さっき倒したスライムより10倍大きくて、頭に王冠のような物をつけている黒いスライムがいた。見るからに、強そうな相手。攻撃パターンがわからないため、そのスライムから大きく距離をあけ、数発初心者ライフルで撃ってみた。
的の面積がでかいため、外すことはなかったが、スライムの上にあるHPバーの減り具合は微々たるものだ。
3発当てて0.5割も減っていない。これは長期戦になるかも。そんな事考えていると、黒いスライムは魔法の構築に入った。そこには水色のウォーターボール以外に、燃えてるボール。恐らくファイヤーボールと、風が集まってできた、ウインドボール。あと、光っているやつはライトボールかな?そしてあのおどろおどろしいのはダークボールとか?
詳しくはわからないけど、あれをまともに喰らうと一発でHP0になりそう。ちゃんとしたボス戦なんだね。
私は見極めるためにさっきよりも大きく距離を取って、黒いスライムが出した5種のボールを観察した。一番最初に飛んできたのは、恐らくウインドである。黄緑のボールだ。薄い黄緑色であるその攻撃は、よく目を凝らしてないと、気づけないほど周りと同化していた。気付いたときには眼の前にあり、私は少々無理な体制で避ける事になり、倒れてしまった。ここが現実なら足を挫いていたのは間違いないだろう。
そして、次に私の前に迫ってきていたのは炎で燃えてるファイヤーボールだ。どうやらこの5種のマジックボールは追尾機能もあるらしく私が避けた方に方向を変える。だからどんな体勢で避けても必ず私の方に飛んできた。だが私の横を通りすぎると、その後は操作できないみたいだ。実際に私が避けたウインドボールが返ってくるなんてことはなかった。やっぱりチュートリアルだし、そこは調整されているんだと思う。
そんな事考えながら、炎、水、光を避けれた。後は一番遅い闇だ。そう思いながら構えていると、ダークボールほ私の前でとまった。嫌な予感がして、私はそのダークボールが急いで距離をとった。ダークボールはその場で空気を吸収してその後直径1メートルほどの大爆発が起こった。私はそれを見ながら、安堵で息を吐いた。
あっ危なかった〜。と、一瞬呆けそうになる自分を締め直して、黒いスライムに目を向けた。どうやら黒いスライムは、魔法を放つとしばらく行動不能になるのか、少し身体が潰れたような姿勢で動かなかった。私はその瞬間を見逃すはずが無く、次々と、スライムに攻撃を当てた。
スライムも弱点があるのか身体の中にある核みたいなものの近くに攻撃を当てると、一回当てるごとに0.5%減った。そろそろHP残り5割をきったためか。黒いスライムの押しつぶされたような見た目から治り、核も見えない位置に戻った。ボーナスタイム終わりみたい。私は再び距離を取り直した。
今度は黒いスライムはウォーターボールを10発浮かばせて、私の方に、連射で打ち始めた。とはいえウォーターボールは見慣れたものだ。私が避けていると、ウォーターボールに混じって、黒いスライムも速いスピードで私に近づいてきた。
私は反応が遅れて初心者ライフルで撃てず、黒いスライムに眼の前まで来られてしまった。私は少しでもいいから、速く走って逃げようとしながら、無意識に銃を振り下ろした。それが黒いスライムにあたり、一瞬の怯んだ隙に私は後ろに思いっきりとび、急いで走って逃げた。自分の走る速度が少し速い感じたが、今はそれを気にしてられず、距離を取った。もちろん距離を取るときも敵から目を離さない。
黒いスライムは次は触手を伸ばしてきた。さすがにあれに捕まるのは嫌だったため、その触手を撃ち抜いた。少し火力があがっているようにも感じたけど、気にせずにすべて撃ち落とした。触手にもダメージ判定はあるらしく、残りHP4.5割だ。やはり本体よりは触手はダメージが入りにくいらしい。
この、初心者ライフルは弾切れがないのが救い。もし、それがなかったら、私は触手に捕まっていたかも。今は敵を除けば私1人。触手に捕まるとか誰得だよ。と、心の中で思ったのは秘密だ。
触手が通じないと、感じたのか、今度は身体から水色の物体を飛ばしてきた。またウォーターボールかなと、避ける準備をしていると、その物体な飛ばされながらウォーターボールを構えているではないか。私は咄嗟にウォーターボールの方を撃って、ウォーターボールを壊したあと、バックステップで後ろに下がり、そのウォーターボールを出した物体を見た。
その物体はスライムだった。つまりこの黒いスライムは自分の仲間を出すことができるのか。私はそう考えながらその小さいスライムを撃ち抜いた。黒いスライムも1体じゃ足りないと判断したのか、次々にスライムを出してきた。だが、この仲間を出すのも永遠ではないらしい。1匹の頃は気づかなかったが、スライム出せば出すほど、黒いスライムの体積が減り、HPが減少していた。つまりこのスライムは自分の身体の一部ということね。
それがわかったところで、どうしようもない。私の倒す速度よりスライムが増える方が多いため、逃げ道か塞がれていく。まぁその分黒いスライムもHPは減って残り3割だ。でも周りに30匹以上のスライムがいる。スライムは体当たりしてくるのもいたらウォーターボールを構えるスライムもいる。
私はほぼほぼ避けるので精一杯で、どうしようもない状況だ。そんななか黒いスライムは再び5属性のボールの構築を始めていた。これって詰みかも。私は黒いスライムに集中力の半分を向けながら、眼の前で体当たりしてきたスライムを初心者ライフルを振り下ろし、叩いた。ライフルの使い方では間違っていると思うけど、少しでも隙を作って次々に撃たなければ私が負けると直感的に思ったからだ。
ただ、ひるませるだけのつもりだったのに初心者ライフルで、叩かれたスライムは見事に核を打ち砕いた。どうやらスライムはわざわざライフルで撃たなくても問題ないらしい。それに気付いた私は急いで周りにいるスライムを5匹減らした。
その時に黒いスライムからの魔法攻撃も飛んできたために、避けて、避けてを繰り返す。最後にダークボールも撃ってきたところで、私はギリギリまで待って大きく距離を取り、スライムにダークボールを当たってもらった。見事に同士討ち成功して、私を囲んでいたスライムは全部消滅した。
そして、恐らくダウン状態の黒いスライムの再び見える位置にある黒いスライムの核に次々と、ダメージを稼いでいった。そして残る黒いスライムのHPが0.5割になったときに黒いスライムは立ち上がった。つまりこれが最後の粘りみたいなもんかな?黒いスライムは斜め45度に次々とダークボールをうち始めた。それは私の上で止まり次々に私に振り始めていた。
これは上から爆弾が降ってくるということだね。もしこれが少しでも掠って、私が足を止めればほぼ100%負けるだろうな。私は少し負けず嫌いなので、どうせ負けるなら相打ちだ。という精神で、私は今まで距離を取っていた、私と黒いスライムの距離を一気に縮めてゼロ距離で初心者ライフルを撃ちまくった。敵のHPが尽きた頃に後ろから大量の爆発音が聞こえた。私はダメージを覚悟していたが、どうやら黒いスライムが消えた時点で、ダメージ判定はないらしい。
とにかく勝てたことが嬉しくて、私は喜んでいると、急に力が抜けたようにその場に倒れこんでしまった。




