1章 19話 チェインクエスト
私は早速スライムの報告をすることにした。チュートリアルで倒したスライムはもちろん。何故かスライムキングの劣化版である黒スライムが呼び出した、スライムも別個体として、報告できた。これで報告枠は2つ。
やっぱり劣化版とはいえボス扱いだったためそれは報告不可能だった。なんでそんなことがわかるかというと、先程報告クエストが現れたとき、私の前に報告可能一覧も現れた。すごい現実っぽいけどここはやっぱりゲームなのだ。報告可能なものをタップすると自動で報告書が生成される。
ちなみに報告書は電子表記のため私の前に現れるとそのままスライム研究娘であるムスイラに飛んでいき、ムスイラの前で止まる。ムスイラは興味深そうにそれを電子の状態のままファイリングする。
私は、残り杖スライム、杖スライムが召喚したスライム、黒スライムの召喚したスライムで5つ枠が埋まった。召喚されたものが別枠のはありがたい。
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メインクエスト《スライム研究娘ムスイラの興味》をクリアしました。
1000c獲得 +10%UP
報酬 《スライムの災いの書》を獲得しました。
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《スライムの災いの書》
スライムを甘く見ていたものが、とあるスライムに喧嘩をうったことによりこのあと発生する災いに繋がった。
この書をスライムの森に持っていくと、ボス戦で特別なボスと戦える。1人が持っていると全員参加できる。
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特別なボス?これは気になる。ぜひ、通常バージョンと特別なボスをそれぞれ倒してみたい。
「助かりましたですわ。やっぱりスライムはいろいろいるのですわ。研究のしがいがあるのですわ。」
どうやらムスイラは満足したみたいだ。早速レポートを読み直し、自分の考察に入っているみたいだ。
私がサブクエスト終わったのかな。と思い、その場から離れてもう一つのサブクエストである、薬草届けに行こうとしていると、
「そうですわ。わたくしの家に招待するですわ。」
と、私の手を掴んでムスイラの家に連れて行かれた。ムスイラの家は意外と門から近く、中にはいると様々なスライムの絵が飾られていた。
「今回は、本当に助かりましたですわ。わたくしの愛読書である、スライムの災いの書をさしあげるですわ。」
と、ムスイラは言った。さっき貰ったもの彼女の持ち物だったんだ。愛読書の本貰っちゃてもいいのかな。そんなこと考えていると、
「あっその本については大丈夫ですわ。わたくし、その本が好きすぎて1日に一冊は複製していたため、大量に在庫はあるのですわ。私がスライムに興味を持った理由でも1つでもありますことよ。弱いと知られるスライムの中にも強い個体がいることに驚き、興味が湧いたのですわ。」
と、説明してくれた。じゃー心配は無用だね。後でじっくり内容を読んで見るのもいいかも。スライムの森EXの書もちゃんとした物語が書かれているみたいだし。ゲームの背景とかもわかるかもだしね。
「そういえば、その本にも書かれていますが、スライムにもボスとなる個体がいるらしいですわ。何でもスライムキングとかいうらしいですわ。」
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メインクエスト《スライム研究娘ムスイラの知識》が発生しました。受注しますか?
YES ← NO
スライムキングの報告でクリア。
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私は迷わずYESを押した。というかあいつだよね。野良で湧いていた黒スライム。
「黒スライムのこと調べてくれるのですわ!」
ムスイラが、今までとは違い、大きく反応した。私があまりの勢いに少し引きながらうなづくと、
「どうか命だけはお大切にお願いしますですわ。」
と、頭をさげられた。どうしよう討伐報告しづらい………




