1章 18話 スライム研究娘
私が、街の方に歩き始めてしばらくしたときに、道のど真ん中に倒れている女性がいた。表示的にはNPCだけど無視するのはなにか違うと思う。私はかけよって彼女を抱えたあと脇道の方にずれた。これなら他の冒険者にも邪魔にはならないと思う。
私は、NPC相手に何をしたらいいかもわからず、こちらで使えるかはわからない脈と呼吸の確認をした。両方正常そうだったため、とりあえず待ってみることにした。少なくとも命に別状は無いみたいだし。
それから、しばらくしてからNPCの女性は目を覚ました。
「あら?ここは、どこですわ?」
しばらくあたりを見回したかと思うと、女性は何かを思い出したような顔をして、
「そうでした!スライム研究のためスライムの森に行こうとしていたけど、4徹のせいで眠くて倒れてしまったですわ。」
と、私が聞いていないのに、1人で状況を説明してくれた。でも、やっぱり病気とか誰かに襲われたとかじゃなく睡眠不足か。少し安心した。
「大丈夫?」
一応改めて外傷とかがないかの確認しながら私は聞いた。もしかしたら眠くて倒れた際に怪我とかしているかもだし、
「あら?あなたは、もしかして倒れている私を介護してくださったのですこと?」
その言葉を聞いた私は頷いて肯定の言葉を話そうとすると、
「助かりましたですわ。この状態ではスライムの森も危険だと思うのですわ。なのでよろしけば一緒に街に帰りませんこと?」
と、スライム研究をしているらしい彼女からそのように誘われた。
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メインクエスト《スライム研究娘と帰宅》が発生しました。受注しますか?
YES ← NO
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あっどうやらクエストみたい。私は一度戻る予定だったしちょうどいいね。それにクエスト系は受けれるなら全部受けたほうがオトクだと思う。
私は迷わずYESをおした。すると、NPCの女性の目を輝かせながら。
「ありがたいですわ。それではともにかえりましょうですわ。」
と、私の前を歩き始めた。私はこういう系のクエストは離れすぎるとだめだったはずと考え、急いで追いかけた。しばらく歩くとNPCの女性は私の方を振り返り、
「そういえば忘れておりましたわ。わたくしの名前はムスイラと言うのですわ。よろしくですわ。」
と、私に挨拶してきた。私はペコリお辞儀を返してから、
「セミスミ。よろしく。」
と、返した。ゲームではNPC相手にも本名を名乗らないのが常識だ。だから私はゲーム名で返した。ムスイラは私の返しに満足したのかまた前を向き歩き始めた。会話は一切無いけどこれどういう意味があるのかな?ほんとについていくだけでいいのか。私は逆に心配になってきた。
そうこう考えているうちに、街にたどり着き私の目の前に、
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メインクエスト《スライム研究娘と帰宅》をクリアしました。
50c獲得
報酬 ムスイラの信用を獲得
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と、表示された。一緒に帰って自己紹介するだけで信用貰えるとはどんだけチョロインなんだ。そう、思いはしたが、口には出さない。
「そういえば、どうしてあちらにいられたのですこと?」
と、ムスイラが質問してきた。どういう意図があるのかわからないけど私は素直に答えることにした。
「スライムの森を攻略してた。」
私はそんなふうに答えた。するとムスイラは再び目を光らせ始めて、
「そうだったんですの?でしたら私にスライムの情報教えてほしいですわ。」
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メインクエスト《スライム研究娘ムスイラの興味》が発生しました。受注しますか?
YES ← NO
ボスを除くスライムの情報3種報告でクリア。5種報告で報酬UP
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と、再びメインクエストの画面があらわれた。なるほどこのクエストってチェイン系のクエストだったんだ。
チェインクエスト。何かを達成することによって受けることができる依頼のことを指す。条件やその前のクエストをクリアしないと発生しないクエストとなっている。だからチェインつまり鎖で繋がったクエストというわけだ。
だから一個目のメインクエスト簡単だったんだ。ただ帰るだけだったので誰でもできる。だからこそチェインクエストの1つ目だったんだと私は納得した。そして、これもYESだ。私はもちろん受けることにした。




