1章 6話 桜
近づいてきた子は恐らく年下の女の子で、自分と同じ初心者の服装をしていた。その子は言いづらそうにモジモジしながらいた。
「どうしたの?」
私は敵意のないことを確認して聞いた。先ほどのPK達とは違って、武器は構えてないし、この子が出てきた方面に他のプレイヤーが隠れている気配も無いし、そもそも近場にこの子以外いないと思う。もし、これでいたら私はそのプレイヤースキルに驚くと思う。
「あ、あの。私は桜といいます。えーと、その…………先ほど倒されてたPKについて、あの、そ、相談したくて………。」
最後はしぼむような声で、その子は言った。少し、話しづらそうな感じがするけどなにかあったのかな?私は続きを話すように促した。
「ま、前に、たまたま、えっと、武器をバックに直してて…………そ、そのあと、PKに負けちゃって……………その武器は、その……………私、初心者でわからず…………全財産使って買ったもので……………。」
と、さらに言いにくそうにいっていた。PKに関することで、さらに全財産使った武器。なんとなく読めてきた。装備をマジックバックにいれてて、キルされた時にせっかく買った装備が奪われたのでないか?それをした人を私がPKKしたから私に相談にきたというところかな?
装備品は装備していると、相手に奪われることはないが、装備をマジックバックに入れていると、低確率で相手に渡ってしまうらしい。なおPKは装備しているものの全てがPKKの人に移るため、逃げ道はない。
「どの武器?」
私は聞いた。その言葉を聞いた女の子はビクッと身体がしたあと、
「あの、えっと………………杖です。」
と、自然の音にかき消されそうな声で答えた。なるほど杖か。それなら上等な木製の杖かな?
「これ?」
私はマジックバック上等な木製の杖を取り出した。
「あ、えっと、その……………これです。あの、今…………だ、代金の持ち合わせ……………なくて。」
と、一瞬喜んだ顔をしたが、また再び声のトーンが落ちてしまった。
「別にいらない。私、これ使わないし。」
私の基本形態はライフルだ。適当に選んだスキルの中に斧使いもあるため、斧は一本とっておこうとおもうけど、それ以外の武器はいらない。何本もあったところで正直マジックバックの肥やしになるか、お金になるかのためにしか使い道は無いのだ。




