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突然竜の王の妃になりましたが、溺愛がひどいです  作者: ルーシャオ


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第35話 竜の王の妃のわがままとしよう

 私は丹青へ、何かを答えたわけではない。


 丹青は私へ話をして、ぼっくんがそれを利用して、色々な人々へどんな影響があるかまでは私は知らないし、それは私がどうしても関わらなければならないことではない。

 

とにかく、私はカレイの煮付け定食を美味しくいただき、丹青を連れて始雷のマンションに帰った。あの場にいた人々に呼び止められることもなく、それ以上私に話はなかったので、粛々と家に帰るしかなかった。

 

何かを丹青に話したくても、外では話せない。まるで子どもに当たっているように見られたくないし、外で言っていいことと悪いことを区別することが、あまりにも面倒だからだ。

 

そして、リビングに着くやいなや、私は天を仰いで叫ぶ。


「愛情表現が! 重い!」


 目の端にいた始雷は、完全に無視して煙管に火を入れていた。幼児姿のままの丹青が私を一生懸命見上げてきていて、訴える。


「りつか」

「何?」

「私は、その」


 丹青はポケットからプラスチックの変身魚マークを取り出し、私へ見せる。


「私にとっては、この海鮮戦隊の変身マークくらい、君のことが好きなのだと思ってもらえれば」

「あんたはいつも言葉選びミスるよね!」

「えっ、す、すまない」


 謝りはしても、丹青は何が悪いのか分かっていないだろう。変身マークのおもちゃ、それはきっと今の丹青にとって宝物なのだろうから、言っている意味は伝わるのだが、それと同列と言われた私の気持ちはかなり複雑だ。


 目の前で丹青がずれたサマーニット帽を外そうとしていた。角に引っかかっているようで、苦戦している。私は両手を伸ばし、ゆっくり脱がしてやった。丹青はそれだけでも嬉しそうに「ありがとう」と言ってきた。


 それだけでいいのに。


 たったそれだけをするために、丹青は竜王にならなければならなかった。そばにいるために、結婚を強行しなくてはならなかった。


 それは、丹青のせいなのだろうか。


 誰のせいと責めてどうなるわけでもない。ただ、丹青にはどうしようもないことだったのなら、私は丹青にこれ以上好き勝手されたと怒りを持つことはできない。


 繰り返すが、()()()()()()()()()()()()()()だ。


 であれば、その状況は、私が変えられるかもしれない。


 強い強い竜王の、一妃(いちのきさき)のわがままで、だ。


 私はしゃがみ、丹青と視線を合わせる。


「丹青」

「うん」

「私さ、また高校行きたい」


 まんまるの青い両目が、興味津々に私を見ていた。


「なんか……宮城(みやしろ)に籠って妃の仕事って、できそうにない。高校行ってさ、色々考えたい」


 嘘ではない、宮城(みやしろ)に籠れないのも、妃の仕事ができそうにないのも、高校に行きたいのも、全部私の本音だ。私は、できないことをできるとは言えない。それを言ってしまった結果が、仁淀で結婚を受け入れてから宮城(みやしろ)を飛び出すまでの出来事だ。お互いを知らず、無理をして、だから()()()がよくなかったのだ。


 前例がない、迷惑がかかる、そんなことはどうだっていい。そう言える理由を、私は今日知ってしまった。知ったのなら、使わなくては損だ。多分、ぼっくんがわざわざその情報を私へ漏らしたのは、そういうことだ。決して、ただただかわいそうな丹青に同情させるためではない。


 それに——もしかすると。私の淡い期待は、丹青も嗅ぎ取ったのか、微笑む。


「そうか。なら、そうしよう。離婚は」

「いや、結婚したままでもいいけどさ。たださ、私を制限しないでいいよ、って話。そりゃ命狙われるかもだし、丹青を脅す材料に使われるだろうけど、そうなっても私の責任ってことにしてほしいの。無理だって分かってるけど、そうじゃないと」


 ふるふる、と丹青は首を横に振った。


「私も行っていいだろうか?」


 丹青は照れ笑いをして、ふわっと私の首に両腕を回し、頬と頬をくっつけて抱きついた。


 耳元で、丹青の希望に満ちた声が聞こえる。


「そうすれば君を守れる。一緒に学校へ行って、一緒に勉強して、一緒に遊んで……君とそういうことがしてみたい」


 私は額を丹青へぶつける。


「このわがまま竜王、仕事どうすんの」

「何とかなる。大したことはしないし、もし問題があれば私は人間の心くらい息をするように読める」

「ひどいことしないでよ」

「それは相手が君にひどいことをしないならだ」


 丹青も少し、吹っ切れたようだった。責任感、いや、自分を縛りつける境遇と取引で、丹青もいっぱいいっぱいだったのかもしれない。


 それはそうと、丹青の首筋から、子どもっぽい汗の匂いがした。盛りは過ぎたとはいえ夏の炎天下を歩いて、たくさん汗をかいていたようだ。


 私は丹青を引き剥がし、立ち上がる。


「風呂入る。丹青、行くよ」

「え?」

「えっ、て……今日、外出て汗かいたでしょ。洗うから来なさい」


 そこまで言われて、ようやく丹青は理解したようだった。私と一緒に風呂に入って、洗われるのだ、と。


 丹青は乙女のように恥ずかしがる。


「ひ、一人で」

「いや、あんたさ、多分だけど耳の後ろ洗うの下手でしょ。背中も擦れてるかどうか見るから」

「そんな破廉恥な」

「だめです。はい、準備する」


 結婚はOKで一緒に風呂に入ることはだめなのか、丹青の基準はよく分からない。


 私は丹青に着替えを用意させるため、部屋まで見張っていく。


 リビングを出る際、こんな言葉が聞こえた。


青春為君好せいしゅんきみのためによし、か」


 ふー、と始雷は紫煙を吐いた。


 その言葉の意味を私は何となく察したが、あえて何も言わない。


 年寄りくさい、とまでは言わないが、始雷からすればそういうことなのだろう、きっと。

「青春為君好」のフレーズ出典:蘇軾「和劉長安題薛周逸老亭周最善飲酒未七十而致仕」

日本語訳が出てこなかったのでフィーリングっど♥プリキュア!

懐かしい2年前のプリキュア〜Y.AOI出てたわ〜

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