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突然竜の王の妃になりましたが、溺愛がひどいです  作者: ルーシャオ


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第13話 ピュアピュアやらかし案件

 私のメッセージに対して、返事はすぐに来た。


 ぴこん、と通知音がして、チャット形式のふきだし枠のメッセージ欄に、丹青がこう書いていた。


「一応そのつもりだよ」


 一応、という曖昧な言い方なのはどうか、と私がしらつゆを見たら、しらつゆはすかさず「竜の認識はそういうものですよ。大丈夫です」と太鼓判を押してくれた。


 私は思いっきり、安堵のため息を吐き、はしゃぐ。


「よかった、よかった! 違うって言われたらどうしようかと思った!」

「待ちなさい、りつか。これはいい機会です、他に聞きたいことも聞いておきなさい」


 しらつゆは一緒にスマホの画面を見つめながら、抜け目なく助言する。しかしもっともだ。


「あ、そっか! そうだよね!」


 私はかなりテンションが上がっていた。高校の昼休みにひよりをはじめとしたクラスメイトと流行りの漫画の最新巻を回し読みしていたときと同じくらい、はっきり言ってはしゃぎすぎて視野が狭くなっていた。丹青に一番聞かなくてはならないことを忘れ、さっきしらつゆから聞いた衝撃的な話で頭がいっぱいになっていたのだ。


 竜と人の関係、恋愛や生殖に興味がない竜、生物としての違い。それらから導き出された私のもっとも気になること。


 私のフリック入力はもはや上達しすぎてほぼ脳と直結しているに違いない。短文を入力して、即送信した。


 中身はこうだ。


「丹青、子供欲しい?」


 送信してから見直してみると、あっ、と私はやらかしたことに気付いた。


 しらつゆもまた、やってしまった、と愕然とした顔をしている。思ったよりも、しらつゆは表情豊かだ。


「さすがに直球すぎた?」

「はしたない……」

「えー、だって」


 丹青も驚いていることだろう。間違えたと追加でメッセージを送っておいたほうがいいだろうか、しかし気になると言えば気になる。


 どうする、どうする、としらつゆと頭を悩ませていると、前のスマホが鳴った。画面には、月神からの着信が表示されている。ポチッとタップして、通話状態になった瞬間、月神が喋った。


「りつか様、月神です」

「はい! 何でしょう!」

「たった今、丹青様がスマホを見ながら倒れられましたが、何かありましたか」


 実に深刻そうに、月神は固い声色を出している。何やら、スマホの向こうでは周囲が騒がしい。丹青様、と必死に呼びかけているであろう声が複数聞こえてきた。


 肝が冷えた私はしらつゆと視線を交わし、嘘ではない言い訳を脳みそを絞って考え出す。


「言えないことがありました」

「馬鹿! もうちょっと取り繕いなさい!」


 私の頭を叩いたしらつゆは必死だ。私のメッセージで丹青が倒れた、その事実はいまいち実感が湧かないが、スマホ越しにしっかり聞こえてくる声の中には、担架がどうこう医者がどうこうという言葉さえ飛び交っていた。予想以上に大変な事態であるようだ。


 私は、仕方なく、月神へ正直に白状する。


「いや、その、『りゅうたん』のメッセージで、子供欲しい? って聞いたんです。なんか、竜と人って子供できにくいらしいって聞いたし、結婚のことも竜と人じゃ認識違うっぽいし」


 月神は黙っている、というよりも言葉が出ないようだった。何も言ってこない。


 私は迷ったが、今———私のせいで——丹青がどうなっているのか知りたいと思い、こう要求してみた。


「今そっちがどうなってるか、画像か動画を送ってもらっていいですか?」


 月神は「分かりました」と言って、一旦通話を切った。


 二分ほどして、メッセに月神から動画が送られてきた。


 再生してみると、どこかの立派な執務室の床に倒れて背中が震えている誰かがいた。白いゆったりとした着物と周囲の人々のせいで、顔は見えない。動画の最後のほうでひっくり返されて、どこかへと運ばれていった。


 多分、それは丹青なのだろう。倒れて医者を呼ばれて運ばれていった。顔が見えなかったのはいいことなのか悪いことなのか、おそらく見てしまうと私は爆笑してしまって、明日の婚儀で笑いが止まらなくなると思われる。


 動画を再度視聴してみて、しらつゆに問う。


「めっちゃぷるぷるしてたけど、息できてるのこれ」

「竜が迂闊に息をすると火を吐きますからね」

「ヤバいじゃん迷惑すぎ」

「おいたわしや丹青様」

「こんなにショック受けなくてよくない?」


 憮然とした私の額へ、しらつゆはチョップをかました。しらつゆは貴族の頂点のくせに、ツッコミが激しい。私はそのままテーブルに頭をぶつけて、まだ再生されている動画から聞こえてくる音声に耳を傾ける。


「大丈夫ですか、丹青様!」

「まだ息をしないでください! 外へ運びます!」

「何があったんだ月神! おい!」


 私は真顔になった。とてもやっちまった感があった。


 そっと、スマホに流れる動画を、停止させた。緊迫した音声も止まる。


「どうしよう」

「明日に差し障りがなければいいのですが」

「結婚式延期になったら」

「あなたの責任ですね」

「やっちまった」


 こうして、私はもやもやした罪悪感と面倒くさい結婚式の存在、しらつゆの白い目に晒されたことなどのせいで、とてもやる気をなくして明日を迎えるのだった。

次回は11/10の05:00です。やらかし案件。

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