表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/31

第5話 ひまわり組のゴブリン戦

 俺たち、ひまわり組は、10体のゴブリンに襲われている5人のあさがお組の男子を助けることにした。


 4人の女児生徒では、とても10体のゴブリンには勝てないだろう。

 せいぜい、倒せるのは2体が限界。

 しかし、俺がいれば話は別だ。

 彼女たちなら絶対に勝てる。

 俺が勝利に導いてやる。


「レナンシェア。ストレングスの詠唱を始めろ」


「わかりましたわ!」


 ストレングスは攻撃強化の補助魔法。

 みんなの攻撃力を倍化すればなんとかなるはずだ。


「マイカとロロアは 魔源力(マナ)を上げろ。限界まで高めるんだ」


「わかったわ!」 「了解!」


 ミィは険しい顔つきになっていた。


先生(てんてー)。ミィたんはどうしたらいいかな?」


 彼女は一番、戦闘能力が低い。

 しかも、基礎体力を作るので精一杯で、魔法も碌に覚えていないんだ。

 だから、できることといえば……。


「おまえはみんなを応援しろ」


「うん! わかった! みんなーー! がんばれーー!!」


 詠唱が終わったレナンシェアは掲げた両手を振り下ろした。


「ストレングス! ですわーー!!」


 よし!


「マイカ、ロロア! 行け!!」


「「 はい! 」」


 2人はゴブリンに斬りかかった。


「レナンシェアはファイヤーボールでみんなを援護」


「承知いたしましたわ」


「ミィはみんなを応援だ」


「うん! みんながんばれーー!!」


 計算通りだ。


 瞬く間に2体のゴブリンを倒すことができた。

 しかし、警戒し始めた残り8体のゴブリンは強かった。


 マイカたちは、ゴブリンの棍棒を受けながら顔を歪める。


「せ、先生。残りの奴らが結構キツイかも」


「僕ももう限界だよ」


「わ、(わたくし) 魔源力(マナ)が切れたのでもう援護できませんわぁ」


 それも計算通りだ。

 マイカとロロア、レナンシェアの3人では2体が限界だ。

 残り8体は……。


「ミィ。出番だぞ」


「え? ミィたん応援してるよ?」


「声出しの応援じゃないさ」


「ほえ?」


「おまえの 魔源力(マナ)をレナンシェアに応援してやるんだ」


 ミィの 魔源力(マナ)は14000。

 クラスの中ではずば抜けて高い。

 その 魔源力(マナ)をレナンシェアに移してやる。


「ミィたん、 魔源力(マナ)移しなんかできないよ!」


「成せばなる。精神集中だ」


「う、うん。やってみる。むぅうう……!!」


 彼女の潜在 魔源力(マナ)を開花させて、 魔源力(マナ)を他者に移す。

 こんな芸当が直ぐにできるわけがない。

 世の中はご都合主義にはいかないんだよな。


 だから、少しだけ……。


 少しだけ、俺が助ける。




魔神技(アークアーツ)  鯨華(げいか)




 この技は一瞬だけ、潜在 魔源力(マナ)を引き出すことができる。

 鯨の潮吹きみたいに、ほんの一瞬だけだがな。しかも、溢れた 魔源力(マナ)は他者に移すことが容易だ。


「うわぁああ!! ミィたん、凄い 魔源力(マナ)が出て来たよ!!」


「よくやった! クラスメイトを想う、お前の祈りが通じたんだ。その 魔源力(マナ)をレナンシェアに移すんだ」


「うん。やってみる!! レナンシェアちゃん、受けっとってぇ!!」


 14000の 魔源力(マナ)がレナンシェアの体を包み込む。


「な、なんですの、この力は!?」


「ミィたんの 魔源力(マナ)だよ」


「ミィさんの? す、凄い力ですわ!!」


 よし、うまく行った。


「レナンシェア。その力で再び魔法援護だ!」


「わかりましたわ!!」


 彼女は詠唱を始めた。


「マイカさん、ロロアさん、受け取ってください!! ストレングス!!」


「な、なにこの強化!? 凄い力が湧いてくるんだけど??」


「僕、これならやれるよ!」


 レナンシェアの基本 魔源力(マナ)が上がったから、補助魔法の効果が強化されたんだ。

 よし、




「残り8体。殲滅だ!」

 



 マイカの一閃は2体のゴブリンを切り裂く。

 ロロアの拳が大地に当たると凄まじい爆発を引き起こした。


 瞬く間に8体のゴブリンは地に伏せるのだった。


「やったわ!」

「僕、やったよ!」

「やりましたわ!」


 ミィは俺に抱きついた。


「あは! ミィたんやったよ!」


 うむ。


「みんなよくやった。みんなの力でゴブリンを倒したんだ」


「先生のおかげね。的確な指示がなければ負けていたもの」

(わたくし)も感服いたしました! まさか、ミィさんの 魔源力(マナ)を使うなんて想像できませんでしたもの! 流石はデイン先生ですわ!」


 いや、俺はほんの少し手助けしただけにすぎん。


「大したことはしてないさ。お前たちが、毎日頑張っている成果が出ただけだよ」


 あさがお組の男子たちは目を瞬かせていた。


「お前たち助かったんだぞ?」


「「「 うう…………  」」」


 対応に困っている感じか。

 仕方ないか。なにせ、自分たちが馬鹿にしていた女子たちに助けられたんだからな。

 それにしても、


「モーゼリアはどこに行ったんだろうな?」


 担任が生徒を置きざりにするなんて彼女らしくないな。


 と、その時である。

 彼女の声と共に、けたたましい地響きが辺り一面に響いた。


「みなさーーん。逃げてくださーーーーい!!」


 モーゼリアは3体の巨大なゴブリンに追われていた。

 その背は5メートルを超える。


 あれは、ゴブリンキングだな。


 マイカは計測眼を発揮した。


「3体とも5千 魔源力(マナ)を超えているわよ!」


 男子生徒らは泣き叫ぶ。


「終わったーー!!」

「ひぃーーーー!!」

「うわぁああ、誰かぁあああ!!」


 やれやれ。


「先生、私たちも逃げなきゃ!!」


 と、マイカが俺の手を引っ張る。


「え? ああ、ちょっと待っててくれ」


「ま、待つぅ? 待ってる暇なんてないわ──」




ドン!




 と、凄まじい打撃音が森に響く。

 揺れた木々から無数の鳥たちが飛び立つ。


 それは、俺がゴブリンキングに一撃を食らわせた音だった。

 1体が大きく吹っ飛んだかと思うと、ドン、ドン、と2回の打撃音が響く。

 それは2体目、3体目のゴブリンキングに、俺の拳が当たった音だった。


 3匹のゴブリンキングは、10メートル吹っ飛んだまま動かなくなった。


「ふむ。もう終わったから安心していいぞ」


「お、お、終わったって……。ど、どういう意味よ??」


「え? ああ、もうゴブリンキングは倒したからさ」


「倒したぁ〜〜!?」


 レナンシェアが確認する。


「3体とも絶命してますわ」


 マイカはハッとする。


「そういえば、先生の 魔源力(マナ)は10万を超えてるって言ってたわね。半信半疑だったけど……。本当なのかも……」


「うは! 先生すっごいなぁあ!!」


「あは! 先生(てんてー)すごい!!」


 モーゼリアは俺の前で頭を下げた。


「ありがとうございますデインさん。また、命を助けてもらいました」


 大きな胸がプルルんと揺れる。


「いえ。大したことはありません。当然のことをしたまでです」


 キリッとキメているが、視線は一箇所に釘付けである。


 うむ。

 前屈みになると、胸の谷間が強調されるな。

 最高かよ。


 マイカは頬を膨らましていた。


「んもう。先生ったらぁ!」


 何を怒っているんだ?



次回、エゲツナールの話です!

明日も連投します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

広告下にある↑↑↑の



☆☆☆☆☆評価欄を



★★★★★にしていただけると作者の創作意欲が増します!

面白いと思っていただけましたら、是非ご協力お願いいたします。

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ