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第29話 対決、砂の巨神 【中編】

  砂巨神(サンドゥーム)は、砂でできた大きな波を発生させた。

 

「喰らえ、サンドウエーブ!」


 砂でできている波の攻撃。

 俺の牙狼による打撃を吸収してしまう。


「ぎゃはは! この攻撃は打撃が効かん! ダブルディフェンスでどこまで耐えれるかなぁあ!?」


「なるほど。しかし、当たらなければ問題はないだろう」


「なんだとぉ!?」


 俺は 聖竜の指示棒(ドラゴンポインター)の先端をサンドウエーブに差した。


「ホワイトストーン」


 砂の波は瞬く間にチョークへと変化する。

 荒波のようにうねりを見せていた波は、硬化してその場に止まった。


「な、なんだその力は!?」


「伝説の神器。 聖竜の指示棒(ドラゴンポインター)。お前と戦う為に古い眠りから目覚めたのさ」


「そ、そんな武器を手に入れやがったのか。ク、クソがぁ! 死ねぇえええ!!」


 今度はシンプルにパンチ攻撃か。

 そういえば、俺は打撃で応戦していたが、この指示棒があるんだったな。

 なら、巨神そのものをチョークにすればいいだけか。


「ホワイトストーン」


 巨神の巨体は足元から徐々にチョークへと変わっていく。


 なんだ、結構簡単だったな。


 しかし、


「そ、そんな攻撃が……。き、効くかぁああああ!!」


 ドバッと巨神の体が粉砕したかと思うと、再び再生し、その体を復活させた。


 なるほど。

 簡単には固まらないのか。


『奴は無敵の巨神なのだ』


 無敵ねぇ。


『1億年前に目覚めた時。この世界は砂と化したという。全てを砂にするまで奴は消えないのだ』


「弱点はないのかな?」


『核になっている巨神の心臓を破壊するしか方法がない』


「なんだあるんじゃないか」


『場所がわからないのだ』


「心臓だから胸の部分にあるんじゃないのか?」


『そうとも限らん。砂の体で隠しているからな。正確な位置は誰も見つけたことがないのだ』

 

 判別不能……。

 いや、この目なら見れるかも。


魔神技(アークアーツ) 烏眼」


 従来ならば対象の潜在 魔源力(マナ)を見る技なんだがな。

 力の核となる場所ならあるいは……。


 巨神の腹の中心で、真っ赤に光る小さな物体を発見する。

 

「あれなんだろう? 拳くらいの大きさのさ。真っ赤な物体が腹の中にあるな」


『そ、それが巨神の心臓だ!』


 ふむ。


「早速、発見できたな」


『すごい! 流石は 主人(マスター)だ!』


「よし。早速破壊しよう」


 と思ったが、巨神の打撃は結構面倒だったりする。

 モロに喰らえばふっ飛ばされるだろう。

 遠距離攻撃が有用そうだ。


 俺は 聖竜の指示棒(ドラゴンポインター)を巨神の心臓に向けた。


「伸びろ」


  聖竜の指示棒(ドラゴンポインター)は凄まじい速さで伸びた。

 30メートルは伸びただろうか。

 棒の先端が心臓を貫こうとした瞬間。


「げっ!? この野郎!!」


 と、巨神は心臓の位置をズラした。


「惜しい」


「んぐ! なんで心臓の位置がわかったんだ!?」


 位置の移動は自由にできるのか。


「すごい! 流石は師匠だ! 巨神を圧倒しているぞ!」

「すごいですわ! (わたくし)、尊敬してしまいますわ!」

先生(てんてー)! そんな巨神、倒しちゃえ!!」


 そうしたいのは山々なんだがな。

 今、至難してる。

 心臓の位置をズラすのは厄介なんだ。

 しかも、結構すごい速さだしな。


 移動するなら、固定させる方が有用か。


「ホワイトストーン」


 巨神の体をチョークに変えてやる。

 硬化させれば移動は不可能なはず。

 しかし、


「は、早く粉砕するざんす! 心臓が固定されたら厄介ざんす!!」

「わ、わかってるっての! フン!」


 直ぐに粉砕。再生を繰り返す。


 やれやれ。

 直ぐに粉砕されては的が絞れない。


 ダークの意思をも石化させるくらい、一瞬で巨神の全身を硬化させる方法が必要か。

 ホワイトストーンに象火を使って強化させたいが、どうやら呪いの攻撃には使えないようだ。

 

 なら、


蝶の効果(バタフライエフェクト)


 俺の 魔源力(マナ)は黒い蝶へと集約される。

 それはヒラヒラと空を舞った。


「なんだぁ? そんなのが攻撃かぁ? クハハ! 俺様の力に気でも狂ったか?」


 蝶は 聖竜の指示棒(ドラゴンポインター)へと吸収された。


「これで石化の呪いは5倍増しなんだ」


「何!?」


「蝶ホワイトストーン」


  砂巨神(サンドゥーム)の全身は瞬時にチョークへと変化した。

 5倍の力は効果抜群である。


「よし、上手くいった」


 心臓は頭へと移動しているようだ。

 全身がチョークならば移動させることもできまい。

 あとは、あれをこの指示棒で破壊すれば倒せるな。


 指示棒の先端を心臓に向けた、その時。


「それまでざんす!」


 エゲツナールがミィの首にナイフを向けていた。


「この子の命が惜しかったら大人しくするざんす!」


 やれやれ。


「悪党ってのは卑怯な手段が上手いんだな」


「ほほほ! うるさいざんす! (あーし)の人生をめちゃくちゃにした貴様を許さないざんす!」


「はぁ〜〜」


 ため息が出てしまうな。

 文書を偽装し、モーゼリアを騙して違法な遺跡調査に向かわせたのはこいつの仕業だ。彼女を降格させて学園長の身分になった。しかし、それが王室にバレて指名手配になったんだ。


「全部、自業自得だろ?」


「う、うるさい! 黙るざんす!!」


 ゴゴゴと地響きが鳴り響く。

 それはチョークと化した 砂巨神(サンドゥーム)が震える音。

 ドバッ! と破裂音がなったかと思うと、全身が粉砕。塵となった巨神は、その砂を集めて再生した。


 やれやれ。

 折角のチャンスだったんだがなぁ。


「ダハハ! でかしたぞエゲツナール! これで俺たちの勝利だ!」


「ほほほ! デインの弱点は溺愛している生徒ざんす。こんなガキの命に躊躇するなんてどうしようもないバカざんす! ほほほ!」


「ギャハハハ! まったくだぜ! ガキの命を気にかけて殺されんだからなぁ! お前が殺されたらここにいる奴らは全員が砂になるんだぜ? んなこともわかんねぇのかぁ? ガキ1人の命とみんなの命、どっちが大事かわかんねぇのかよぉお? だからお前は無能なんだよ! 無能賢者のバカデイン! ギャハハハーー!!」

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