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挿話 篠原真と『運命の番』4

 九月。学校が始まって、ボクは二年生になった。

 勉強はまた一段と難しくなったけど、それ以上に楽しかった。夏休みにマット先生の研究室で色々教えてもらったことが土台になって、そこから芽が出て伸びていくイメージが浮かんだ。周りの学生とも先生達ともいい関係が築けて、ぼくは毎日のびのびと楽しく過ごしていた。




 そんなある日。

 突然、生理が始まった。



 最初は意味がわからなかった。けど理解したら、ただこわくなった。

『自分は女の子だ』って突きつけられて、すぐに「『アレ』が来ちゃう」って思った。

 昔のこわいのが迫ってきて、こわくてこわくて泣いていたらヒデさんが抱き締めてくれた。「俺達がいるから大丈夫」「絶対に守る」そう言ってなぐさめてくれて撫でてくれてキスしてくれた。いっぱいいっぱい包んでくれて、ヒデさんの腕の中にいたら大丈夫だってなんでか思えて、離れたくなくてずっとしがみついてた。


 ヒデさんのお母さんもいっぱいお話してくれた。

「おめでとう」って言ってもらって、「生理が来るのは良いことよ」「ちゃんと成長してるってことよ」「大人になるのよ」って説明された。

 ヒデさんのお母さんだけじゃなくてお父さんも「おめでとう」って言ってくれた。ヒデさん達もボクが落ち着いたタイミングでお赤飯でお祝いしてくれた。

「マコは俺達が絶対に護るから」「なにもこわがらなくていい」そう言ってくれて、抱き締めてくれた。


 それからはおうちから出るときは必ず誰かが一緒についてきてくれた。同居を初めてすぐの頃は久十郎さんが毎日一緒に登校してくれてたけど最近は時々になってたのに、生理のときは三人とか五人全員とかついてくれて、ボク以外に向けて『威圧』っていうのをかけてくれていた。ヒデさんとみんなの戦闘訓練を見せてもらったから、みんながものすごく強いってわかった。そんなみんなに護られてたら大丈夫ってだんだん思えるようになって、ヒデさんのお母さんが追加でくれた御守りもつけて、どうにか学校に通えた。


 帰ったらヒデさんがぎゅうって抱き締めてくれた。

「おかえり」「今日もよくがんばったね」「無事でよかった」そう言って大事に大事に抱き締めて撫でてキスしてくれる。それで一日張り詰めてたのがほにゃほにゃ溶けて、いっぱい甘えてしまう。けどそうやって甘えたら次の日には元気になってる。不思議。


『甘える』なんてイケナイと思ってた。ボクは『迷惑ばかりかける問題児』で『誰からも愛されない』と思ってた。

 なのにヒデさんはボクのことを手放しで愛してくれる。本当の子供みたいに。大事な存在みたいに。

「俺がマコを甘やかしたいんだ」「マコがかわいくて仕方ないんだ」「甘えておくれ」って言ってくれる。それがうれしくてしあわせで、甘えてしまう。


 ヒデさんは多分御神木なんだ。寄りかかっても抱きついてもどっしりと受け止めてくれる。ぐらつくことも嫌がられることも全然ない。やさしくてあったかくて、頼りになる存在。

 抱きついたらトク、トク、って鼓動を感じる。綺麗なナニカがボクに流れ込む感じがする。触れてるだけで癒されて、抱き締められたら安心して、ずっとくっついていたくなる。



 ヒデさんは、ボクが捨てられていたっていう御神木の生まれ変わりじゃないかって思う。

 児童養護施設の先生に教えてもらって、何度もその樹を見に行った。苦しいときには抱きついた。その樹と同じカンジがする。


 そんな話をしたら、ヒデさんはうれしそうにボクを抱き締めてくれた。

「そんな大切な存在と同じに思ってくれてありがとう」って。「頼りにしてくれてるってことだよな?」って。


「そうだよ」「俺が、俺達がマコを護るから」「マコは俺達の家族だ」「マコはマコの生きたいように生きればいい」「どんなことがあっても、必ず護るから」


 どうしてヒデさんはボクの欲しい言葉を言ってくれるんだろう。どうしてヒデさんはボクが欲しいモノを知ってるんだろう。

 やっぱり大人だからかな。それともあのお父さんとお母さんの息子さんだからかな。


「いつかマコの御神木に一緒に行きたい」って言ってくれた。「マコを守ってくれたお礼を言いたい」って。

「帰国したら連れてってくれな?」って言われて、なんだかうれしくて、けど照れくさくなった。


「うん」て答えたら、ヒデさんはボクを抱き締めて頭を撫でてくれた。

「これまでがんばってくれてありがとう」「生まれてきてくれてありがとう」「大好きだよマコ」「俺のところに来てくれてありがとう」


 いっぱいいっぱい「ありがとう」って言ってくれる。生まれてきたことを「ありがとう」って言ってくれるひとなんてこれまでいなかった。ボクはいつでもどこでも厄介者で、「生まれてきちゃいけなかったんじゃないか」「なんで生きてるんだろう」ってずっと思ってた。それなのに。


 ああ。ボクはこのひとに出逢うために生まれてきたんだ。そう思った。

 生きててよかった。このひとに逢えた。

 あきらめなくてよかった。このひとに逢えた。


 うれしくてしあわせで、なんでか涙が落ちた。ヒデさんがボクの眼鏡をはずしてほっぺをぬぐってくれて、目尻の涙をチュッてキスで吸い取ってくれた。

「好きだよマコ」「俺のところに来てくれてありがとう」「これまでよくがんばったね」「マコはえらいよ」


 デロデロに甘やかされる。溶けるくらいに。

 これまでのつらいことや苦しいことがヒデさんに溶かされていく。しあわせが上書きされていく。

「ボクも大好き」ポロリと口から言葉がこぼれた。

 それではじめて気がついた。ボク、ヒデさんが好きなんだ。


 お父さんて、お兄さんて、きっとこんな感じ。

 家族って、きっとこんな感じ。


 これまで欲しくても手に入らなかった。ずっとあこがれてた。でも自分には手に入らないだろうってあきらめてた。

 それをヒデさんが全部くれた。あふれそうになるくらい与えてくれた。たくさんたくさん「好き」をくれて、たくさんたくさん「大事だよ」って言ってくれた。「絶対に護る」って守ってくれた。「好きに生きればいい」って後押ししてくれた。


 こんなひと、他にいない。

 好き。大好き。ボクの家族。ボクの御神木。



 はじめて「好き」って言ったら、ヒデさんは固まった。どうしたのかと思ったら突然再起動して、めちゃくちゃにキスされた。ぎゅうぎゅうに抱き締められてて全然逃げられなくて、お口以外全部キスされたんじゃないのってくらい顔も頭も耳もキスされまくって、でもそれがうれしくて、「マコ」「マコ」「かわいい」「好き」ってブツブツ言うからおかしくてされるがままになってたら、伊佐治さんがヒデさんを殴ってようやく止まった。


「おまえ馬鹿だろ」「やりすぎ」「反省しろ」そう怒られて正座でうなだれるヒデさんは、いつもの余裕がある大人のひとじゃなくて、ヤンチャして怒られる中高校生みたいで、なんだかかわいくておかしくなった。



   ◇ ◇ ◇



 生理が来るようになった。

 最初の頃は「『アレ』が来る」って思って、こわくてこわくて泣いた。

 けどヒデさんやみんなのおかげで落ち着いた。

『ヒデさんが好き』って気が付いた。


『好き』って気付いてからはもっとヒデさんに甘えるようになった。意味もなくそばにくっついていたり。ハグしてもらうときにボクも抱きついたり。

 そんなボクをヒデさんもみんなも嫌がらない。「もっと甘えていいよ」って赦してくれる。


 うれしくて。しあわせで。


 そうして、ボクは理解した。


『うれしい』ってこういうことなんだ。

『しあわせ』ってこういうことなんだ。


 これまでに欲しくても手に入らなかったものをひとつひとつ与えられているよう。

 普通のひとがちいさいときから少しずつ与えられるものを、今一気に与えてもらっているよう。


 ああ。ボク、ラッキーだ。


 ヒデさんに逢えて。みんなに逢えて。


 これまでの『苦しい』や『かなしい』はみんな、今こうしてみんなに逢うためのものだったんだ。

 だって今のボクはこんなに『しあわせ』。『うれしい』と『楽しい』で満ちている。

 それってきっと、ちいさいときから『苦しい』や『かなしい』を支払ってたから得られたんだ。


 それなら苦しかった昔も悪くなかったって思えるようになった。

 それくらい、みんなとの暮らしが『しあわせ』でいっぱいだった。


 ボクはみんなの『家族』だと、みんなはボクの『家族』だと、胸を張って言えるようになっていた。




 みんなと出逢ってもうすぐ一年。あと少しでボクの誕生日。


 みんなが「マコの誕生日パーティーしよう!」って言ってくれたときも、だから素直に「ありがとう!」って言えた。

 一年前のボクだったら「そんなのいりません」って遠慮してた。実際一年前にマット先生のご家族が「誕生日パーティーしよう」って提案してくださったときにはお断りした。けど「サプライズパーティーだ!」って決行してくださって、すごくうれしかった。


 今回は「せっかくの二十歳の誕生日だから」ってみんなが言ってくれて、これまであこがれてたこと全部言わされて、みんなで準備した。

 ヒデさんのお母さんがお着物をプレゼントしてくれた。アメリカでは手に入りにくい材料なんかも送ってくれた。おかげでお花紙でお花ができた。生クリームといちごのお誕生日ケーキができた。お料理も定兼さん久十郎さん暁月さんがすごく張り切ってくれてたくさん作ってくれた。テーブルに乗りきらなくて別の部屋から机を持ってきた。

 くす玉に横断幕にと派手派手しくかざりつけて、みんなで三角帽子をかぶって、クラッカーを鳴らして「おめでとう!」って言ってもらった。あこがれを全部詰め込んだお誕生日会を開いてもらった。マット先生と奥さんも来てくださってみんながお祝いしてくれて、とってもとってもうれしくて、とってもとってもしあわせだった。

 これまで貯めていた『しあわせ』を、今いっぺんにもらった気がした。



   ◇ ◇ ◇



 その日の夜。ヒデさんが真珠のネックレスとイヤリングをプレゼントしてくれた。

 その場でつけてくれたヒデさん。少し離れてじっと見つめられた。


 感動したみたいに「綺麗だ」って言ってくれるヒデさんはすごくうれしそうで、なんでか本当に『綺麗な女の子』になったみたいだった。魔法をかけられたみたい。シンデレラになった気分。


 やさしい笑顔のヒデさんがほっぺに触れてくれた。

 途端。


 ビビビビビ!!


 なんでかわからないけど、全身が痺れた。

 星がまたたく。チカチカ、キラキラ。


「綺麗だよ。マコ」

 そう言って微笑むヒデさんがすごくキラキラして見えた。いつもカッコいいヒデさんがますますカッコ良く見えた。


 胸のどこかがキュンとした。


 やさしくハグされて、なんでかたまらなくうれしくてしあわせで、ぎゅうっと抱きついた。やさしい声と言葉に満たされる。キスしてくれた耳が熱い。ヒデさんの身体のぬくもりが、厚みが、たまらないくらい手放せないって思う。



 これまで何百回としてもらったはずのハグやキスが、これまでとは全然ちがうものに感じた。



   ◇ ◇ ◇



 それからヒデさんを目に入れるたびになんだかドキドキする。見つめられたら恥ずかしくて気が付かないフリでそっぽ向いて、でも見つめていたくて、それなのに目が合ったら恥ずかしくて、自分でもよくわからない。

 毎日の朝と寝る前のハグも、前はただうれしいだけだったのに、なんだかドキドキして、あちこちすごく熱くなる。けどハグされたくないかって言わせたら全然そんなことなくて、むしろボクだけがヒデさんにハグしてもらえるのがうれしくて、これが優越感かもって思った。


 ヒデさんは素敵なひと。背が高くてハンサムでカッコ良くて、全然オジサンぽくなくて、けど大人の落ち着きとか渋さとかあって、なんで今まで独身なのか不思議なくらい。こんなに素敵なひとだったら、これまで女性にすごくモテたんじゃないかな。


 そう考えたら、急に『モヤッ』てした。おなかの底になにかイヤなものができた。黒くてドロッとした塊。なんだろうこれ。


 よくわからないけど、おなかの塊が不愉快で押さえてたらヒデさんに「どうした?」って聞かれた。

 なんでヒデさんにはすぐわかるんだろう。やっぱり大人だからかな。


 この塊のことを説明したくてもなんて言っていいのかわからなくて、でもヒデさんが逃がしてくれなくて、話をそらそうと思って聞いてみた。


「ヒデさんてカッコいいよね」

 途端にご機嫌になるヒデさん。「そうか?」なんて言いながら、タレ目がさらにたれてニコニコになる。そんな表情はいつもの凛々しいヒデさんと違ってかわいいと思う。


「これまでいっぱい女のひとにモテたんでしょ?」

 そう言ったら、ヒデさんはキョトンとして、それからデロリと言うのがぴったりな、(とろ)けた表情になった。


「なんだマコ。ヤキモチ()いてくれてるのか?」


 そう言われて、はじめて知った。

 そっか。これ、『ヤキモチ』なんだ。


 これまで自分のことで精一杯で、ほかのひとを気にすることも興味を持つこともなかった。だからボクには友達がいなかった。だから『ヤキモチ』なんて感じたことなかった。

 知識としては知ってた。そういう気持ちがあるって。でもまさか、自分がそんな気持ちを持つなんて、考えたことすらなかった。


「俺、若いときから研究と修行ばっかりで、異性に興味持ったことも持たれたこともない」

「オッサン研究者にはモテモテだけどね」


 それからどんな学生生活だったか、渡米してからどんなふうに過ごしたか教えてくれた。ヒデさん的には確かに異性とのお付き合いも交流もなかったみたい。

 けどこのひと研究にしか目が行ってないみたいだからなあ。


 そう思って、ヒデさんがお風呂に行ってる間にみんなに聞いてみた。

 うまれる前からヒデさんのことを知ってるみんなによると、ヒデさんはやっぱりモテモテだったみたい。けど本人が周りからの視線にも気持ちにも全然、全く気付いてなかったって。


 向けられる好意は「気持ち悪い思念」としか思わない。自宅に送られた手紙やプレゼントは「こんなものをもらう理由ない」って拒否。机や下駄箱に入れられたものは「嫌がらせ」として破棄。直接告白されたことはない。「気持ち悪い思念の女」としてヒデさんが近寄らないから。


 ……………。


「退魔師なんてやってると、人間の汚いところばかりみるから」

「一番色恋に浮つく思春期に怨念やら呪いやらと関わってたからねぇ」「ヒデに近寄る女の子達は、恋に狂った子が多かったから……」

「そもそもこれまでのアイツは『恋』とか『愛』とかいう感情を理解できなかったしな」

「多分人間らしい感情をサトの腹に忘れてきたんだよ」


 なにがあったのかはっきりとは言わなかったけど、とりあえずヒデさんがモテモテだったこと、けど『そういう好意』だと全然知らなかったっていうのは伝わった。


「今でもヒデ狙いの女が何人もいるぞ」そう言われて、心臓がドクンとした。おなかの底の塊が大きく、重くなった。


「けどヒデは全く相手にしてないよ」

「アプローチしてる女達が可哀想になるくらい、ヒデは全然気付いてないからな」

「ホント研究にしか興味ないからなあの研究バカ」


 物理学の研究室にもヒデさん狙いの女のひとがいるって。けどヒデさんは「異性だと思ってない」って。


「まあマコが心配するようなことはないよ」「これまでも、これからもな」

 そう言われたらココロが少し軽くなった。おなかの底の黒いモノも少しちいさくなった。



   ◇ ◇ ◇



「不安だったらあのネックレスを見たらいい」そうみんなにアドバイスされた。


 ヒデさんにプレゼントされた真珠のネックレスとイヤリングのセットは、箱に入れたまま枕元に置いてた。

 けどアドバイスされて、蓋を開けていつでも見られるようにした。


 ヒデさんが言っていた。『真珠は強い守護力がある』『邪気をはらって持ち主を守る』

 だからかな。この真珠を見つめていると、おなかの黒いのが少し楽になる気がする。


『きみの「護り」になれば、うれしい』

 やさしい笑顔を思い出す。やさしい声が胸に響く。ボクを守ってくれるひと。御神木みたいな、頼りになるひと。

 ―――大好きなひと。


 なんだろう。胸がポカポカする。ヒデさんの笑顔を、声を、言葉を、ぬくもりを思い出すだけでココロがあったかくなる。どこかが満たされていく。


 不思議。


 ボクにとってヒデさんは特別なひと。

 お父さんて、お兄さんて、きっとこんな感じ。

 家族って、きっとこんな感じ。

 ずっと欲しくて、でも手に入れることなんて絶対無いって思ってた存在。


 だから『ヤキモチ』妬いちゃうのかな?

 ボクにとって特別なひとだから『ボクだけのヒデさん』って思ってるのかな?

 それって、どうなのかな?『嫌な子』って思われないかな?


 ―――捨てられないかな………。


 ずっと胸にあったトゲが久しぶりに刺さる。いつも不安だった。いつ追い出されるだろうって。いつ捨てられるだろうって。実際何度も追い出された。何度も捨てられた。


 ここはすごく心地良い。みんなボクのことを大事にしてくれる。「好き」って言ってくれる。「家族だ」って言ってくれる。受け入れてくれる。


 ここにいたい。捨てられたくない。


 そんなワガママなこと、これまで考えたことなかった。

 ボクは厄介者で。問題児で。迷惑をかけるしかできない存在で。

 だから少しでも褒められたくて勉強をがんばった。少しでも価値があると思われたくて。『居てもいい』って言ってもらいたくて。


 そのおかげでアメリカに来れて、ヒデさん達に出逢えた。きっとこれはすごく幸運なこと。これ以上を望むのは贅沢だ。

 なのに。わかってるのに。


 なんでだろう。最近胸が痛いんだ。

 おなかの底に黒いモノがあるんだ。


 ヒデさんのことを想うとうれしくなる。

 ヒデさんのことを想うと苦しくなる。

 ヒデさんのことを想うとポカポカする。

 ヒデさんのことを想うとモヤモヤする。


 なんだろう。なんでこんなふうになるんだろう。


 ボクか変わったからかな?『女の子』になったからかな?

 生理が来るようになった。胸がふくらんだ。腰もおしりも変わってきた。だからこんなふうになるのかな?『女の子』ってそんな生き物なのかな?


「道具屋さんの眼鏡がなくなったから、抑えられてた成長が進んでるのね」暁月さんがそう言ってた。

「病気じゃない」「こわいことじゃない」「順当なことだ」って。

 背も伸びた。ほっぺがふっくらしてきたのは単にごはんが美味しいからだよね?


 なんだか身体もココロもこれまでと違う気がする。『変化してる』っていうか、落ち着かない。


 そんなモヤモヤドロドロしてるタイミングで、ヒデさんの研究所のクリスマスパーティーに参加することになった。

マコ、終齢幼虫からさなぎになりました

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