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【番外編8】立花礼香と巡り来た春 1

菊の専属護衛 立花礼香の物語をお送りします

全12話

毎日投稿します

 お盆が明けた月曜日。神代家にお仕えする関係者が集められた。

 ご当主様から「内々の話だが」とお話があった。


「菊の婚約が内定した」


 どよめきが広がる中、私はひとり息をついた。

 ああ。ついにこの時がきた。ようやくお役御免になる。ようやく解放される。

 無事にここまでこれた安堵に、これまでのことを思い返した。



   ◇ ◇ ◇



 私は立花(たちばな) 礼香(れいか)。代々神代家の護衛を勤める家の娘。

 この京都では護衛職には通常言われているような護身術護衛術だけでなく特別な能力を求められる。

『能力者』と呼ばれる特別なチカラを持つ者、『妖魔』を代表とする『ヒトならざるモノ』が存在するからだ。

 それらに対抗しようと思ったら通常の体術や防御ではとても通用しない。だから京都の護衛職はある程度の『能力者』でないと勤まらない。

 とはいえ、昨今『能力者』自体が減っている。なので『能力者』でなくてもある程度の教育を施し護衛とすることが増えている。


 私はそんな『非能力者』の護衛だ。


 祖父母は『能力者』らしい。といっても伝え聞く安倍家の『能力者』には敵わないと聞いた。父は『能力者』とは言えないけれど『ヒトならざるモノ』が視えるのは視える。母は普通のひと。神代家の別の職種に就いていた。現在のご当主様の奥様のお口添えで結婚したと聞いた。

 私には兄と姉がいる。家を継ぐ兄は父と同じく『ヒトならざるモノ』が視える。姉も少し視えるらしい。私は視えない。家族は口にしなかったが親戚その他から「できそこない」と言われて育った。


「できそこない」でも護身術護衛術は習得できる。物心つく前から修行を課せられ、青春なんて甘酸っぱいものを経験する暇もなく高校を卒業した。

 進学は許されなかった。すぐに護衛職が在籍する会社に入り、神代家へと配属された。


 通常であればご自宅の警備や複数での護衛に就き、少しずつ経験を重ねるらしい。けれど間がいいのか悪いのか、お孫様の幼稚園入園と私の入社が重なった。

「少しでも年齢が近い者がいいだろう」と、同性の私が専属護衛となることとなった。


 と言っても護衛は私だけではなかった。お金持ちの幼稚園児など誘拐犯からすれば格好の獲物。だから菊様の送迎には私以外にベテランがふたり就いた。運転手、私、ふたりのベテラン護衛、御学友として一緒に行動する咲良さんという大所帯での通園だった。


 幼稚園の門をくぐり先生にお嬢様方をお願いしたら護衛は一旦お嬢様から離れることになっている。でないと幼児の健全な育成に差し障ると。

 お金持ちの子息が通う幼稚園なので警備はしっかりしている。そこに護衛を無理矢理残すのは『信用してません』と言うようなもの。なので、菊様が幼稚園でお過ごしの間、私は私でベテラン達から教育を施されていた。

 護衛術の訓練だけでなく、座学も一般教養も教わる。お金持ちの出入りするところに同行するためには粗暴ではいけないと。テーブルマナーや扉の開け閉め、そこで起こり得る危険について。これまでも家で教わってきたけれど、さらに実践に即したことを教わった。


 幼稚園にお迎えに行ったあとはお稽古に同行。こちらは一緒に教わる。護衛をしながら教養も身に着けさせるという一石二鳥で、お茶にお琴、お花、護身術と、幼稚園児にまじって教わった。

 幸いそんな大人の護衛は私だけではなかった。他家の護衛も同じように参加していた。私と同じくらいの若い女性ばかりだった。どこの家も考えることは同じらしい。


 他家の護衛とも言葉を交わすようになって知ったことだが、我が家のお嬢様は『手のかからないお嬢様』だった。他家のお嬢様にはわがままな方やマナーが足りない方、こだわりが強すぎる方や泣き虫な方など、護衛の仕事以外の苦労が多いという。我が家のお嬢様は不思議なほどよくできたお嬢様。わがままは聞いたことがない。マナーは完璧。お稽古を嫌がることも帰宅を嫌がることもない。私達護衛にも「今日もよろしくね」「いつもありがとう」とお声がけくださる完璧さ。「『転生者』かもしれない」と誰かが言っていた。


 そんなお嬢様に、御学友の咲良さんは尊敬越えて心酔していた。「菊様のとなりにいられるように」と非常に努力をしていた。

 どこかで「右近の橘左近の桜」の話を聞いたらしく、ある日嬉々として私に話しかけてきた。

「『たちばな』さんと『さくら』が菊様におつかえしているのはきっと偶然ではないわ!」「『右近』と『左近』のように、ふたりで菊様をお守りしましょう!」


 キラキラとやる気に満ちている幼女に余計なことを言うのは気が引けて「そうですね」「がんはりましょう」と答えておいた。

 けれど私は知っていた。『非能力者』の私はずっと菊様専属ではいられない。菊様がある程度の年齢に達したら『能力者』の護衛が立つ。それまでのつなぎ。期間限定。私の教育を兼ねての専属護衛の立場。そう理解していたし、周囲もそのつもりだった。


 それがくつがえされたのは菊様が四年生になられるとき。

「新年度から立花をはずします」そう言われた菊様は「嫌よ」とおっしゃった。

 私は結婚適齢期になっていて、同じ神代家にお仕えする方に嫁がせようという話が出ていた。

「ずっとそばにいてくれた立花がいなくなるなんて、私、嫌よ」「そばに置くのはこれからも立花がいいわ」


 普段わがままをおっしゃらない方がめずらしく駄々をこねられたことに、ご当主様が陥落された。

「立花は『非能力者』です」「お守りできない場面がでてくる可能性があります」「菊様の安全のためにも別の者をつけさせてください」どれだけ進言しても「嫌」と一言。「立花は結婚の話があります」「立花のしあわせのためにご了承ください」泣き落としにも「嫌」。結局私の結婚話は流れ、引き続き菊様の専属護衛としてお仕えすることになった。


「わがまま言って悪かったわね」ある日ふたりきりになったときに菊様が話しかけてこられた。菊様が私達護衛にこんなふうに話しかけられることはめずらしいことだったのでよく覚えている。


「あのまま結婚してたらあんたは不幸一直線だったから」「あんな男に人生めちゃくちゃにされるよりは私にこき使われて婚期遅らせるほうがまだマシよ」「もう数年――長くても十年。私がこの家にいる間だけ専属でいなさい」


 まるで占い師のようなことを口にされる菊様に不思議に思いながら「かしこまりました」とだけお答えした。


『非能力者』が専属護衛など、通常ならあり得ない話。実際ご当主様も後継者であらせられる若旦那様もその跡継ぎとなられる菊様の弟様も『能力者』が何人もついて交代で、場合によっては全員で護衛をしている。なのに菊様ときたら「護衛は立花ひとりで十分」とおっしゃる。どれだけご自分が美しいかどれだけおうちがお金持ちか、理解しておられないらしい。

「学校とお稽古の送迎だけじゃない」「運転手もいるでしょ?」「大勢が集まる場にはお祖父様とご一緒だからそちらの護衛がいるわ」そうおっしゃるけれどその送迎時が一番狙われる確率が高いんですけど。

「むさくるしい男に囲まれて、脅迫されてるみたいに動くなんて、嫌よ」

 有能な護衛がむさくるしいかむさくるしくないかと言われたら口を閉じるしかない。小学生女子から見たら筋肉のついた大男なんて鬼と同義だということは、かつて小学生女子だったから理解できる。

「じゃあ女性の護衛を」との申し出も「嫌」とおっしゃる。

「余計なおしゃべりもおせっかいも、忠告という名の押しつけも嫌なの」

 年長の保護者が口うるさいのは世の常で、菊様の弟様妹様に護衛が口うるさいと言われるレベルで物申しているのを私も何度も目にした。まあ仙輔様も百合様も普通の子供ですからね。公園行きたいとか脱走とかしょっちゅうらしいので大変そうではあります。口うるさくなるのは自業自得としか思えません。が、菊様からすれば「そんな護衛は嫌」だそうで。


「立花は余計なことは一切言わず、必要なことだけをしてくれる。立花ひとりいれば私の護衛は十分よ」

 望外のお褒めのお言葉に、私自身も、上司も家族も感動してしまった。そして毎度毎度の「いいでしょうお祖父様」にご当主様が陥落し、結局追加の護衛の話も護衛交代の話も流れた。


 幸い菊様の場合、護衛が表に出なければならないのは、しつこく言い寄る男性を退けるときくらいだった。それなら『非能力者』の私でも十分対応できた。

 それでもいつ何時なにがおこるかわからない。なにかあった場合にはこの身とこの生命を投げ出し盾にして時間をかせぐしかない。その想定での訓練も重ねた。即座に本部に連絡が行く防犯ブザーと証拠動画を録画できるアクセサリーを常に携帯し、どんなに暑くても防弾防刃チョッキで身を固めた。緊張の毎日。休みの日も訓練に明け暮れ、毎日「何事も起こりませんように」「今日も無事終わりますように」と祈った。帰宅すれば「今日も無事に終わった」と安堵し「無事に終われてありがとうございました」と見えないナニカに感謝を捧げた。

 薄氷を踏むような、常に張りつめた毎日。それでも勤めてこられたのはお仕えする(あるじ)が菊様だったから。


 私が少しでも調子が悪い時には察してくださり「今日は出かけたくない」とわざとわがままをおっしゃった。「自室で休んでるから。立花はいいわ。自宅でしっかり休みなさい。命令よ」とわざわざ命じてくださった。

 誘拐襲撃対策として毎日違うルートで登下校されお稽古に向かわれる。その際も決して護衛を困らせることはなさらない。仙輔様百合様は「あれなに」「そこのお店行ってみたい」と困らせられることが多いと聞くけれど、菊様はそんなことは一度もなかった。車から門への移動も素早く、護衛される側の動きをいち早く身に着けてくださった。


 余計なことは言わず。余計なことはせず。

 菊様は私をそう評してくださったけれど、菊様もその通りの護衛対象だった。おかげで防犯ブザーは未だに日の目を見ていない。



 中学三年生になられた春。御学友兼側仕えの咲良さんが問題を起こされた。安倍家の次期様の婚約者様をイジメた、その主犯が咲良さんだった。

 ああ。ついにやっちゃったか。最初に聞いたときの感想はそれだった。

 咲良さんは菊様に対して妄信している。宗教にハマったひとと変わらないレベルに「いつかなんかやらかすんじゃないか」と心配していた。かと言って御学友にまで口を出す権利は私達護衛にはなくて、都度報告書に一言添えるだけにとどめていた。

 これまでは移動には必ず同行していた咲良さんを菊様が『接近禁止』とされたので、送迎は運転手と私、菊様のみになった。咲良さんは万が一が起こった時の影武者であり盾としての役割があった。咲良さん本人がその事実を知っていたかはしらない。その『盾』が一枚無くなったことは、想像以上に私に精神的負担をもたらした。私も運転手も緊張感でガチガチだった。防弾の車だけれど、内鍵もしっかりしているけれど、それでも乗り降りの際は一瞬無防備になる。これまでは咲良さんを先に降ろして安全確認ができた。それが無くなったとあって、私達は護衛を増やすよう嘆願した。それでも菊様は「不要」と却下される。

「立花にも運転担当者達にも負担をかけて申し訳ないとは理解しているわ」「けれど、何人も引き連れて動くなんて嫌よ」「安全には十分気を付けるし、あなた達の指示には必ず従うわ。だからお願い。護衛を増やすなんてやめて」

 結局最後はいつもの「いいでしょうお祖父様」で話は終わった。


 そうはいっても年頃になられた菊様は女神もかくやとばかりに美しくなられ、あちこちの男達から狙われていた。家のチカラで不審人物は排除していたけれど、いつ馬鹿が実力行使に出るかわからない。それこそ「君を殺してぼくも死ぬ」がリアルにありそうな傾国美女なのだ。もうお金目的の誘拐だったらかわいいと思えるレベル。お金目的だったら生命まではとらない。けどイカレタ人間はなにをしでかすかわからない。

 護衛全員(運転手含む)で嘆願書を出し、護衛の増員、駄目なら咲良さんの復職を進言し続けた。その甲斐があったのか、本人の努力と反省の結果か、高校一年生に上がるのをきっかけとして咲良さんの復職は認められた。



   ◇ ◇ ◇



 そんな菊様には高校一年生になられてもどういうわけか婚約者がおられなかった。弟様も妹様も十歳でお見合いをし婚約者がおられるのに、なぜ第一子であらせられる菊様に婚約者がおられないのか。答えは単純。菊様が「不要」とおっしゃったから。

 ご自身の身を護る護衛ですら「不要」と私ひとりにしておられる菊様だ。いつもの「いいでしょうお祖父様」でご当主様をたらしこ……ゲフン。言いくるm……ゲフンゲフン。説得され、いまだに婚約者どころかお見合いすら同意されない。

 けれど今年の夏はご当主様がやたらやる気に満ちておられ、精力的に婿探しに励んでおられた。

「ご当主様ももういいお歳だからなあ」「菊様も十六歳になられるから」と、活発化した婿探しに周囲は納得の色を見せた。


 納得されなかったのは菊様。お茶席に男性を連れてくるご当主様にムカつき、お稽古帰りを襲撃されイラつき、「いいじゃないですか」「素敵な男性でしたね」とご当主様の肩を持つ咲良さんに腹を立てておられた。

 表面上はいつもどおりのおだやかな微笑みを浮かべておられる。けれど、三歳からほぼ毎日お顔を合わせ、一挙手一投足に注意を払っていた私には菊様の感情が読めるようになっていた。咲良さんはまだ若いし信奉しきっているからか菊様の本音が読めていない。それがまた菊様の怒りをあおっている。


 ご自宅に送り届け「失礼します」と下がるとき、余計なこととは承知していたけれど、つい、口を出してしまった。

「―――菊様の御心のままに」

 一瞬動きを止めた菊様はちらりと私に目を向けられ、ニンマリと笑顔になられた。

『淑女の仮面』をはがされた、本音の笑顔。

 本当にたまーにしか拝見できない『素』のお顔。

「ありがとう」すぐに『淑女の仮面』をつけられたけれど、心なしか足取りが軽くなられた。


 それからすぐに菊様はお部屋に閉じこもってしまわれた。どうもご当主様が暴走したらしい。私も初めてお邪魔するプライベートスペースに連れて行かれ扉前からお声がけをさせられた。けれど一向に反応はなかった。トイレもお食事もとられていないという。「頑固だし、お嬢様なのに根性あるからなあ」と護衛一同でため息をついた。



   ◇ ◇ ◇



 そんなことがあった数日後の月曜日。

 「菊の婚約が内定した」


 どよめきが広がる中、私はひとり息をついた。

 これで『菊様婚約者選定騒動』は幕引きだ。婚約者がついたならば数年でお嫁に行かれるだろう。そうなったらさすがに私はついていけない。近々婚家から専属となる護衛が送られて、私は専属護衛から外されるだろう。

 ようやくお役御免になる。ようやく解放される。

 菊様は良い主ではあったけれど、やはり護衛ひとり運転手ひとりの送迎は緊張だった。いつ襲撃されるか、いつなにがあるか、なにか起こったときに対応できるか、心配で怖くて毎日気を張っていた。

 無事にここまでこれた安堵に肩のチカラが抜けた。けれどまたすぐに固まることになった。


 は? 弘明さん? あの?

 え? 安倍家の次期当主補佐役? あの男の子が?

 そりゃ弘明殿が常にお仕えしている晴明(はるあき)様は安倍家の次期当主様ですが……。え? ただの側仕えじゃなかったんですかあの少年。しかも強くて魅力的??

 うわあ。咲良さんがちょっと見せられないお顔になってますよ。咲良さん、弘明さんのこと好きでしたもんね。あーあ。菊様が「告白したら」っておっしゃったときに言っておけばよかったのに。


 警備体制の見直しが命じられ、翌日の顔合わせに専属護衛の私も同席するよう命じられた。あれこれ打ち合わせがあり、菊様のお顔を拝見することなくその日は解散になった。



   ◇ ◇ ◇



 火曜日の両家顔合わせはものすごい人数で行われた。

 親族だけでもそれなりの人数なのに、神代家側は加えて側近と護衛までつけて『威嚇行為ですか?』と心配になった。

 けれど話を聞いて驚いた。いつも菊様と穏やかにお話をしておられた晴明(はるあき)様が伝説の安倍家初代安倍晴明(あべのせいめい)様ご本人。『主座様』と呼ばれる、何度も安倍家に転生しておられる『転生者』。『転生者』の存在は知っていたけれど、そんな十回も転生してるひとなんて初めて聞きました。

 おまけにあちこちで馬鹿にされていた晴明様のご両親と弘明さんのご両親が実は『主座様直属の側近』。それぞれに『目に見えない護衛』がついていることも明かされ、主座様と『見えない護衛』によりこちらの護衛の半数以上が行動不能にされた。『能力』があるひとほど強く影響を受けていた。私も威圧に泣きそうになった。もしかしたら涙落ちてたかも。私もう三十歳なのに。けど若旦那様の護衛の兄は白目むいて口から泡吹いて倒れたから私はまだマシかしら。


 そんなこんなでドタバタしつつも話が進んでいったら、咲良さんが暴走してしまった。若さと忠誠心の暴走に、側近の皆様や護衛達からは賛否両論。まあそのくらいの方でないとイザという時身代わりとしてその身を投げ出してもらえないでしょうから。安倍家の晴臣様が「どのような指導をされたのか」っておっしゃってたけれど、ある意味教育は成功ですよ。ここまでの妄信者ならば喜んでその身を盾にしてくれますから。


 そんなことを言うわけにもいかず、結果的に咲良さんは他県の全寮制高校に編入することが決まった。かなり学力レベルの高い学校で、卒業後の進路もグローバル。ここに決めたのは菊様だと聞いた。


「咲良は能力はあるから」「あるものは生かさないともったいないでしょう」

 なにも聞いていないのにそうおっしゃる菊様。咲良さんのこれまでの努力を認めていることも、咲良さんの可能性を伸ばしたいと思っておられるのも私には理解できた。だから「さようでございますね」とお答えしたのに、何故か不満げにムッとされた。

 それがこの方なりの照れ隠しだということも私にはわかっている。『穏やか』で『淑女の見本』と言われているこの方が、実は案外ひねくれておられることに気付いている者は何人いるだろうか。

 わかりにくい(あるじ)に黙って頭を下げれば「フン」とちいさな声が聞こえた。

咲良は護衛上必要不可欠な人物でした

菊もそれは理解していたので大人しく側に置いていました

若さゆえの未熟さはあるものの、咲良は真面目で一生懸命な子です

真面目で一生懸命が過ぎてリカをイジメたり暴走したりしてしまいました……



本文に入れられませんでしたが、礼香は高校三年生になってすぐから入社試験兼研修として二歳の菊の護衛のひとりに加わりました

初研修日は奇しくも菊とヒロの初対面の日でした

その後も何度も在学中に菊の護衛をし、礼香の実力と菊との相性を見た結果「入社後即専属」となりました

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