【番外編1】神宮寺祥太朗の嘆き 2
かわいい赤ん坊だった娘がかわいい乳児になり、かわいい幼児になりかわいい園児になった。
娘はどちらかといえばおとなしい子供で、幼稚園でも家でもひとりで本を読んだり手芸の真似事のようなことをしている子供だった。
家族で農業に従事している我が家にとってはありがたい子供だった。この頃にはおれも「『こくよう』が守ってお世話してくれているのだろうな」と考えるようになっていた。
娘が年少のときに長男が、一年生のときに次男が産まれた。
どちらもすごく手がかかる子供で、おれ達夫婦も両親も息子達にかかりっきりになってしまった。そんなときでも娘はヤキモチを焼くことも気を引くようなワガママを言うこともなくマイペースに日々過ごしていた。助かったのは助かったのたが、あとで思い返して「ちょっとはヤキモチ焼いて甘えてきてくれてもよかったのに」と思った。
そのとき初めて気がついた。
娘はほとんどワガママを言わない。
いつもひとり物静かにしていて「あれがほしい」「こうしてほしい」と言うこともない。「どこかに連れて行け」と言うのも「あれが食べたい」と言うのもいつも息子達。娘はそんな弟達の希望を「叶えてやって」と言うくらい。
「竹はどうしたい」「竹はなにがいい」と聞いても「自分はいいから」「弟達のいいようにしてやって」と言う。
穏やかでやさしい、弟想いの姉だと思った。
甘えることもワガママを言うこともない、しっかり者の娘だと思った。
自慢の娘。かわいいかわいいおれの娘。
このまま成長していくんだと、あの頃は疑いもしなかった。
◇ ◇ ◇
娘がはっきりと具合を悪くしたのは中学に入ってすぐ。
どちらかといえば娘は幼い頃からあまり身体が丈夫ではない。時折熱を出すことがあったし、冬には必ず風邪をひく。
家にこもって本を読んでばかりだから体力がないせいだと思った。が、体力をつけさせようと散歩に誘えば疲れて寝込む。少しでも免疫をつけさせようと日光浴を勧めれば火傷レベルの日焼けをして熱を出す。農場の手伝いを申し出てくれて作業をさせれば虫に噛まれる。葉に触れた肌がかぶれる。
一事が万事こんな調子で、なにをしても空回りするようなところがあった。
それに加えてどうにも間が悪い子で、お泊りの行事には必ず熱を出して欠席した。遠足は雨天中止が多い。そのくせ運動会はこれでもかというくらいの晴天で毎年熱中症になりかけた。
そんな娘だから、中学一年生の最初の大きな行事である野外活動の前日に熱を出したのも、その後なかなか回復しないのも、いつもの間の悪さと体力のなさから来る夏バテだと思っていた。
ただの夏バテ。
そう思っていた。
涼しくなればきっと元に戻ると。
ところが、秋になっても冬になっても娘は一向に良くならなかった。
食事の量が少しずつ減っていく。顔色が悪くなっていく。本人は「大丈夫」としか言わない。微熱が続くが高熱にはならず、咳も何もない。
かかりつけ内科にかかり、気休めのような薬を飲ませ回復を祈った。
ところが真冬に大風邪をひいた。肺炎にこそならなかったものの高熱とひどい咳を繰り返し、治まるまでに一冬かかった。
二年生になっても変わらず微熱が続く。「冬の風邪の影響が長引いているんだろう」そう言われ薬を処方される。薬を飲んでも一向に良くはならず、食事はほとんどとらなくなった。学校から帰ったらすぐにベッドで横になる。学校からも「覇気がない」「具合が悪そう」と連絡があった。
横になってばかりの娘に、妻も俺も心配になった。
「なんでもない」と言い張る娘を半ば無理矢理病院に連れて行った。
かかりつけ内科から紹介してもらい、脳神経内科、循環器内科、婦人科と、可能性のあるところを片っ端から受診した。CTもMRIも撮った。どこも「異常なし」と診断される。だが娘は明らかに様子がおかしい。気休めのような薬をもらって飲ませた。
休みの日にはこんこんと眠り続けた。学校に行くのも億劫そうで、何度かは「もう今日は休め」と休ませた。
二学期になってもそんな生活は変わらなかった。むしろ眠る日が増えた。食事はほとんど取れなくなった。
何度も病院に行った。大きな病院にも行った。
「食事が取れないための栄養失調」「生活リズムが狂っていることによる不調」そんな診断ばかり。
「大きな病気はない」「思春期ゆえのホルモンバランスによる不調」そんなふうに言われる。
本人も「大丈夫」しか言わない。
「大丈夫」と言いながら食事は取れない。眠り続ける。
どうにか学校へは行っていたが、帰宅するなり倒れるようにベッドにもぐり、そのまま朝まで起きて来なかった。
「車で連れて行く」「迎えに行くから電話をしろ」そう言っても「お仕事の邪魔になる」「私は大丈夫」と聞かない。「遠慮するな」「仕事は大丈夫だから」「心配だから」いくら言っても娘は聞かない。「迷惑になる」「邪魔になる」「私は大丈夫」そう言ってフラフラと家を出て行き、帰るなりベッドに倒れ込む。
学校では気を張っているらしく授業はどうにか受けているらしい。提出物は休憩時間にやっている。テストも及第点を取っている。
だが教師からみても娘の体調不良は明らかで、学校側と相談して体育は見学させるようにした。
体育祭も文化祭も合唱祭も、行事という行事は不参加になった。練習にも参加できない。クラスメイトも気遣ってくれているらしい。そんな周囲に娘は申し訳なさをつのらせ、事あるごとに「ごめんなさい」とうつむいていた。
三年生になっても体調は良くならない。むしろ悪くなるばかり。片っ端から医療機関を受診し改めて検査を受けさせた。指示されるままに薬を飲ませた。とにかく「いい」と言われるものを端から試した。食事療法、民間療法、神頼みまで、ありとあらゆるものを試した。
それでも娘は良くならない。食事は取れず眠り続ける。
ある日母が仏壇に手を合わせつぶやいていた。
「黒陽様、どうか竹ちゃんを助けてください」
そういえばと思い出した。娘の『見えないおともだち』。高学年になってからは全然聞かなくなっていたからすっかり忘れていた。
『見えないおともだち』は成長に伴って見えなくなることが多いという。娘の言っていた『黒い亀』はまだ娘のそばにいるのだろうか。そばにいるならば助けてほしい。娘を守ってほしい。
そう考えて、ふと思い出した。
母が娘を『生まれ変わった黒の姫様』だと言っていたことを。
昔、母に言われていた。「あの子は『特別』な子」「我が家に『来ていただいた』子」「いつか手放さなければならない子」「いつかいなくなる子」
『いなくなる』
まさか。
そんな。
ゾワリとしたナニカが、背筋に迫った。
が、気付かなかったフリをして首を振った。
そんな冬のある日、見知らぬ青年が娘を連れて帰ってくれた。
「目の前で倒れた」と聞いたときには血の気が引いた。
歩いて帰ることすらできなくなっている。
娘に一体なにが起こっているというのか。
ベッドまで運んでくれた青年に「お礼を」と名前を聞いたが「名乗るほどの者ではない」と、その時はさっさと帰っていった。
こんな好青年がいるのかと感心した。
その日から娘は眠り続けた。
受験どころではない。
医者に往診に来てもらって診察してもらっても「ただ眠っているだけだ」という。「血液検査の結果も問題ない」と。
ならば何故娘は目覚めない!?
不安と苛立ちを抱え、日々を過ごしていた。
◇ ◇ ◇
年末がせまってきたある日。
「泰典兄さんに相談しよう」母が言った。
母の実家の神野家は『能力者』の一族なので、こんな現代医学では説明のつかない事象に詳しいという。こういう『霊力』が乱れた事例に対して対応することもあると。
『霊力なし』と言われながらも四十年近く生きてきたおれは正直そういった心霊現象とかナントカいうものは信じていない。胡散臭いとすら思っている。
だが、母が言うのに「この眠りは普通ではない」らしい。
母はこれまでも娘の体調不良は「病院では治せないかもしれない」と言っていた。「竹ちゃんは『霊力』が乱れている」と。
「思春期は『霊力』が乱れやすい時期」「『器』に問題が起きているのかも」「もしそうなら現代医学では治せない」
そう言っていた母がそれでも伯父に、実家に頼らなかったのは、娘を守るためだった。
娘が普通の娘だったならば「一年生の夏の時点で兄さんに『視て』もらうようお願いした」と母が言う。
だが母は娘のことを「『黒の姫様』の生まれ変わり」だと信じている。そんな娘を神野の者に見せたら「間違いなく連れて行かれる」「まつりあげられる」と母は思っていた。だから母は娘の具合が悪くなっていっても、おそらくは神野の伯父であればある程度対処できるであろうとわかっていても、神野家を頼ることはしなかった。
母も昔は神野家の娘としてある程度『能力者』として活動していた。嫁に来てからはそんな能力を使うことなく過ごしていたが、孫のピンチに「昔取った杵柄」と、なにやらしてくれていたという。
それで「どうにか保っていた」らしいが、先日見知らぬ青年に連れ帰ってもらってから眠り続ける娘には母も「なにをしても効果がない」「お手上げ」だという。
「『霊力』の増え方が尋常じゃない」「おそらく『霊力過多症』を発症している」「『霊力』を散らすか封じるかしないと身体が保たない」
母の言葉の意味がわからなかった。
「『保たない』って、………なに?」
そう聞いたが母は答えない。
妻が「実家から本家に連絡してもらおうか」と言ったが母が止めた。
「霊力操作は『藤家』より神野のほうが上」「下手に加藤にまで話が漏れると竹ちゃんが危ない」「場合によっては上賀茂と『藤家』で争いになる」
意味はわからないが危険なことは理解した。
そうして藁にもすがる思いで年末の挨拶のときに伯父に竹の話をした。『黒陽』の話は伏せ、ただ思春期で霊力が急激に増えたこと、中学に上がった頃から具合が悪くなりついに先日から目覚めないことを説明した。母がなにやらしていたらしいがどうにもならなくなったので伯父にすがりたいと言っているとも伝えた。
年始の集まりのときにもこっそりと話をし、伯父と従兄に来てもらう約束を取り付けた。
◇ ◇ ◇
年が明けて、母の兄の泰典伯父が我が家に来た。伯父の息子で跡取りの泰孝も同行してきた。
年末と年始にあらましを告げていたこともあり、伯父と従兄はすぐに竹の様子を見てくれた。
そして、即座に言った。
「安倍家に依頼を出そう」
安倍家。
陰明師で有名な安倍晴明を祖とする一族。
現在でも『能力者』を束ねているという。
それだけでなく、経済的にも京都を牛耳っていると言っても過言ではない家。
何故安倍家に? という俺の疑問に「これは我らでは立ち打ちできない」と伯父が目を伏せた。
その言葉の意味がわからなかった。
竹に、娘に、なにが起こっているのか。
娘はどうなるのか。
「――もうすぐ受験があるんだが……」
呆然とそう訴えたら、伯父も従兄も痛そうな顔で目を逸らした。
「――覚悟だけはしておいたほうがいい」
覚悟? なんの覚悟だ?
受験はどうなる? 受験しないと中学浪人になってしまうじゃないか。
呆然としながらも、そんなことを言ったと思う。
伯父も、従兄も、何も答えてくれなかった。
妻と母が泣いていた。
「気休め程度にしかならないが」と伯父達が何やらして、ベッドの四隅に札を貼った。
そしてまた何やらして、鎮痛な面持ちで帰って行った。
◇ ◇ ◇
それから数日後。伯父から連絡があった。
「安倍家がすごい人を手配してくれた」という。
なんでも安倍晴明の生まれ変わりと言われる『主座様』という偉い人の直属の能力者が来てくれることになったという。
きっと伯父や従兄が尽力してくれたのだろう。頭を下げ礼を述べる。
「とにかくこの日にお連れするから」と言われ、家族で待っていた。
そして伯父と従兄はひとりの青年を連れてきた。
あのとき、倒れた娘を連れて帰ってくれた青年だった。
「あのときの!」と驚きに声を上げると、彼は穏やかに微笑んだ。
「ご縁がありましたね」とやさしい声をかけてくれた。
こんな若い青年が娘をどうにかできるのかと疑問に思いながらも娘の元へ案内する。
一礼して部屋に入るなり彼は『パン』とひとつ手を打った。
それから娘の枕元に座ってじっと顔を見て、何度かうなずいた。
やがて俺達家族に向き直った彼は、口を開いた。
「お嬢様が眠り続けているのは、霊力が急激に増えたことが原因です」
「思春期にはよくあることなんです。霊力が急に増えたり、逆に減ったりすることは。
ただ、お嬢様の場合、増え方が急激であること、その量が大きすぎることで、霊力を身体に馴染ませるために眠りを必要としているようです」
話の内容は頭に入ってこなかったが『よくあること』という単語に少しココロが軽くなった。
「差し当たり、現在は生命には別状はありませんが……」
しかしそんな俺の気持ちを裏切るように、青年は目を伏せた。
「……このまま霊力が身体に馴染まなかった場合―――」
ためらい、迷い、それでも青年は言った。
「お嬢様が目覚めることは、ないでしょう」
―――意味が、わからなかった。
『目覚めることはない』
それは、どういうことだ?
「―――ずっと、このまま、眠り続ける、と、―――そういうこと、です、か?」
頭の芯がぼんやりとしている。どこかがグラグラしている。それでもどうにか言葉を絞り出した。
なのに青年は伏せた目をさらに伏せ、首を振った。
呆然と青年のつむじを見ていた。視界の端で母が両手で顔を覆った。父は黙ってうつむいていた。
「―――対処法は―――」
妻がかすれた声で聞いた。青年はゆっくりと顔を上げ、妻に向けた。
「現在は眠ることで霊力を馴染ませようとしておられます。なので、このまま眠らせておくのが一番かと思います」
その説明に、こわばっていたどこかがホッとゆるんだ。が、「ただ」と続いた言葉にすぐに緊張が戻った。
「ただ、こちらでは周囲の霊力量が少ないので、お嬢様が体内の霊力を身体に馴染ませるには負担が大きいと思います」
「できれば、結界に護られた、霊力の濃い場所で安静にしておくほうがいいです」
―――『結界に護られた』『霊力の濃い場所』―――
それは、どこだ?
どこかに連れて行けば娘は助かるのかと問いただそうとしたが、それより早く青年は説明を続けた。
「それに」
「今は彼女自身が結界を張って自己防衛を図っていますが、こちらの部屋だと、いつ妖魔に襲われるかわかりません」
「……襲われる……?」
横の伯父と従兄もうなずいている。
が、俺は意味がわからない。
「弱っている高霊力保持者は、妖魔にとってごちそうです」
「……それは、竹が、ナニカに喰われると、いうこと、です、か?」
おそるおそる問いかける妻に青年は「はい」とあっさりとうなずいた。
意味がわからない。
喰われる? 娘が? ナニに?
そんなこと、現実にあるのか?
何も言えずただ震えていると、気の毒そうな顔を向けていた青年が思い切ったように口を開いた。
「もしよろしければ、お嬢様は安倍家でお預かりしましょうか?」
言葉の意味がわからず「は?」と間抜けな声が出た。
「私どもの本拠地ならば、しっかりとした結界が張ってあります。
現在は主座様がさらなる結界を展開しておられますので、並大抵の妖魔は入ってこられません。
安倍家ならば周囲の霊力も濃いので、お嬢様の身体に霊力を馴染ませるのも早いかと思いますよ?」
安倍家では高霊力保持者の保護も行っているという。
思春期に霊力が増えて高霊力保持者となる者は家庭や社会に馴染めなくなることが多いと。そのための受け入れ体制が整っていると説明される。
やっぱり意味がわからない。
なのに伯父も従兄も母までも「それはいい!」と喜んでいる。
「絶対お言葉に甘えたほうがいい!」「それ以上の対策はない!」と口々に勧めてくる。
その話がいいのか悪いのかも判断できない。
父が「そうさせてもらおう」と言うのにのろりとうなずく。
「あの、費用は」と妻が問うと「結構ですよ」と青年は微笑む。
「主座様から『対価不要』とのお言葉をいただいております。
お休みいただくお部屋も、主座様所有の離れをご用意させていただきます」
用意周到がすぎないか?
そう感じたのがわかったのだろう。青年はにっこりと微笑んだ。
「神野家からお話が来た時点で『先日送り届けたお嬢さん』だとわかりました。
あれからどうなったかぼくも気になっていて、受ける依頼をチェックしていたんです」
「先日のことは主座様にも報告していました。
ぼくは主座様直属ですので」
「ぼくが主座様に『放っとけない』と申しましたところ、『ぼくが気にかける娘さんならば』と主座様がその場で『先見』を行われ、おそらくこうであろうと予測を立てられ、対処法についてご指示くださいました」
「そのときに離れの使用許可を出してくださいました。
費用についても『寝ているだけなのだから不要だ』と、主座様が」
つまり、この青年のおかげで高待遇を得られるということか。
「ありがとうございます」と頭を下げる俺達に、青年は申し訳なさそうに続けた。
「ひとつだけ、ご了承いただきたいのです」
真剣な表情に、ゴクリと唾を飲み込んだ。
「安倍家でお嬢様をお預かりして、できることは、妖魔などからお守りすることだけです。
身の内の霊力が馴染むかどうかは、お嬢様次第となります。
万が一、お嬢様が霊力を納めきれなかった場合。
その場合は――」
そっと目を伏せ、しかしすぐに顔を上げ、意を決したように彼は告げた。
「――最悪も有り得ると、お覚悟願います」
―――安倍家に預けなければ、霊力が馴染むかわからない。
―――安倍家に預けなければ、いつ喰われるかわからない。
―――安倍家に預けても、必ず助かるとは限らない。
そんな。
そんな。
「――どうやっても、死ぬかもしれないと、そういう、こと、ですか……?」
震える声をなんとか絞り出し問いかける。
彼は、痛そうに顔を歪め、それでもうなずいた。
「――ちょっと、時間を、もらえますか?」
「もちろんです」
わけがわからなかった。
だが伯父が、従兄が「預かってもらえ!」と強く勧める。
「このままここにいるよりは生き残れる可能性が高い」と。
「ここにいてはいつ喰われるかわからない」と。それほどの事態なのだと。
判断ができなくて妻を見る。母を、父を見る。
三人共強張った顔をしていた。
「預かってもらったほうがいい」母も言う。
「可能性があるほうに賭けたほうがいい」父も言う。
「このままここにいても、衰弱して死ぬだけだ」と。
「霊力の多い場所ならば延命の可能性がある」と。
妻もうなずいた。
だが。
同じ死ぬのなら、少しでも側に居たい。
少しでも俺の手元に居させたい。
だが。
生き残れる可能性があるのなら。
それならば。
長く長く葛藤した。
悩んで悩んで、結局藁にすがることにした。