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第二百十八話 ひなさんによる脅迫

 現在起こっている『バーチャルキョート』のシステム崩壊が保志の仕業だと、それを止められるのはタカさんと俺たけだと説明される。

 が、それ、俺関係ないよな? 俺がやることじゃないよな?


 そう思うのにタカさんは「システム崩壊を食い止めるのに協力してくれ」と言う。


「オレとトモがいたからこそ取った手だ」

「オレとトモならばこの崩壊システムを食い止めることができると――すぐに元通りに、あわよくば元よりも良いシステムに復旧することができると、信じてくれたからだ」


 そしてまたガバリと頭を下げる。


「頼むトモ」

「オレに協力してくれ」


 ……………ええぇぇぇ………。


 渋っていたら顔を上げたタカさんがさらに言い募る。


「これはもちろん仕事としての依頼だ。報酬もちゃんと出す。色付ける。ボーナスも出す」


「………何時間?」

 拘束時間を確認すれば「わからない」とタカさんが顔をしかめる。それでも大体の工程計画を立てたらしい。


「最低一週間。場合によったら一ヶ月」

「断る」

 キッパリ即答。


「俺は竹さんのために戦ってきたんだ。世の中のためでも『世界』のためでもない」

「もちろん保志のためでもタカさんのためでもない」

「このあとも竹さんは後始末がある。体調だって崩すかもしれない」

「俺がすべきは竹さんのサポートだ。保志の尻ぬぐいじゃない」


 俺の言葉は同じ『半身持ち』として理解できるものだったのだろう。タカさんは顔をしかめ、黙った。


 タカさんは理解している。俺がなにを最優先するかを。無理強いできないことを。だから「頼む」と頭を下げてきた。

 でもいくら恩師でも頭下げられたとしても譲れないものがあるんだよ。


 俺は竹さんが一番。

 これから彼女に負担がかかるとわかっていて、離れるなんてあり得ない。


 だから断固拒否したのに、タカさんは諦めきれないらしい。

「………お前の気持ちはわかる」と絞り出すように言い、また土下座で「頼む」と懇願してきた。


「いくら言われても無理だよ」

「頼む」

「タカさんだってわかるだろ? 千明さんだったらって考えてみなよ」

「頼む」

「だからさぁ」


 いくら言っても聞かない師匠に辟易していたら。

「トモさん」

 愛しい妻がそっと腕に触れてきた。


「私はいいから、」

「!」

「タカさんのお手伝い、してあげて?」

「!!」


 妻の言葉に俺は絶句し、タカさんは顔を上げた。

 困ったような妻は生真面目に俺を見上げている。


「私、大丈夫」

「でも」

「大丈夫」


 そんなこと言ったって、何が起こるかわからないじゃないか。実際俺がついてても何度もヘロヘロになったし、寝てる間にいなくなって死にかけたじゃないか。このあとの後始末で何が起こるかなんて誰にもわからないじゃないか。


 そう思うけれどそれをそのままこのひとにぶつけると責めてるみたいに受け取られると理解できるから口にすることもできず黙っていた。


 ぶすっとふてくされる俺に愛しい妻は困ったように微笑み「聞いて」なんてかわいいおねだりを仕掛けてきた。


「私は貴方の妻だから」

「貴方の妻にふさわしい私でありたいの」

「貴方に守られるだけでなく」

「支えられるだけでなく」

「甘やかされるだけでなく」

「私も貴方を守りたいの」

「支えたいの。甘えてもらいたいの」

「貴方のそばにいられる私になりたいの」


 ぎゅっと俺の左手を両手で握り、愛しい妻が一生懸命に訴えかける。


「信じて」


 ズキュンと。

 胸を貫かれた。


「頼りないかもしれないけど」

「がんばるから」

「貴方の妻だと胸を張って言えるように」

「がんばるから」


「信じて」


 ―――ぐっっはあぁぁぁ!

 俺の妻、天使!


 そんな、自分のこと『俺の妻』って自覚してくれてんのか。『俺の妻にふさわしく在りたい』って願ってくれてんのか。そんなに俺のこと愛してくれてるのか!!


 ああもう好き。好きが過ぎる。なんだこのかわいいひと。こんなかわいいひとが俺の妻だなんて。俺のこと愛してくれてるなんて! しあわせだ。しあわせが過ぎる。


 握ってくれてる手を俺も両手で握り、彼女の頭に額を重ねた。

 ホントはぎゅうぎゅうに抱き締めたいけれどギャラリーがいるからこれで我慢。


「俺の妻は貴女以外いない」

「信じてるよ」


 パッとうれしそうに俺を見上げたのがわかったから頭を離して彼女の目をまっすぐに見つめた。


「でも、それとこれとは別だ」


 そう断言すると途端に顔を曇らせる妻。

 悲しそうな彼女に罪悪感が浮かんだが、こればかりは譲るわけにはいかない。


「俺が貴女のそばにいたいんだ」

「俺の知らないところで貴女が苦労したり具合が悪くなったりするなんて、考えただけでつらいんだ」

「これは俺の我儘」

「俺が貴女のそばにいたいんだ」

「貴女を信じていないんじゃなくて。俺が貴女のそばにいたいんだ」


 正直に言ったのに彼女は納得してくれない。悲しそうに眉を寄せ俺を見つめ、チラリとタカさんに目を遣った。

 つられてタカさんに目を遣るとじっとこちらを見つめていた。『頼む』とその目が言っている。


 ……………あああ。もおぉぉぉ。


 なんでわかってくれないんだよ。俺には竹さんが一番なんだよ。わかるだろ同じ『半身持ち』なんだから。だから無理だって。諦めろよ。崩壊食い止めたいのはタカさんだろ。ならタカさんがどうにかしろよ。


 ぐるぐるとそんなことを考えていたら。

「トモ」

「!」


 晃がタカさんの隣で正座をし、手をつき頭を下げた!


「お願いだよトモ。タカさんに協力して」

「トモが竹さん大事なのはわかってる。でも、今は譲ってくれ」

「トモにしかできない」

「頼むよ」


 大恩ある晃まで土下座で頼んできた!

 なんてことしやがるんだこいつ! そんなことされたら断われなくなるじゃないか!


「頼む」晃が重ねて言う。

「頼むトモ」タカさんも言う。

「トモさんお願い」愛しい妻までそう言い、握る手に力を込める。


 ……………ぐうぅぅぅ。


 ぐるぐると迷い考える。

「お願い」「頼む」と恩人と最愛が俺に決断を迫る。だが。だが。


「……………断る」


 やはり駄目だ。現状で竹さんと離れるなんて、できない。

 一、二時間程度ならまだ許せるかもしれないが、最低でも一週間なんて許容できるわけがないだろう。


 肩を落とすタカさん。悲しそうな目を向ける晃。『なんで』とマイナス思考にとらわれそうな妻。三者三様にがっかりしているのがわかる。わかるが、こればかりは譲れない。

 それでも責めるような周囲の視線に、仕方なく、仕方なく本心を明かした。


「俺は………こわいんだ」


 普通に言ったつもりだったのに、情けない声になった。


「俺がそばにいない間にまた貴女になにかあったら? また貴女を喪うことになったら?」

「そばにいないと安心できない」

「そばにいて、視界に入れて、触れて、『生きてる』と実感してないと」

「また『あのとき』みたいに貴女がいなくなるかもしれないと、思ってしまうんだ」


 繋いだままの手をぎゅっと握る。すがっているようだと自分でも思った。

 じっと見つめてくれる彼女の目を見ていられなくて目を伏せた。

 それでも見つめ続けてくれているのがわかって、たまらなくなって吐き出した。


「……………こわいんだ……………」


 情けない。

 こんな情けない心情を吐露するなんて、ますます情けない。

 それでも言わないと理解してもらえない。竹さんのそばにいられない。

 それなら俺が情けないくらいこらえなければならない。竹さんのそばにいられること以上に重要なことなどないのだから。


「………トラウマになっちゃったのかぁ………」

「青羽のときのこともあるしねぇ……」

「覚えてないんじゃないの?」

「魂レベルで染み付いちゃってるんでしょ。ものすごく後悔してたらしいし」


 守り役達がボソボソ言っている。が、丸聞こえだぞ。くそう。

 そうだよ。トラウマになってんだよ。青羽(前世)のことは知らないよ。今回のアレだけでも充分恐怖のどん底に突き落とされたよ。


 ますます情けなくなってさらにうなだれる。

 そんな俺の手を彼女がぎゅっと握ってくれた。


「トモさん」


 やさしい声におずおずと視線を上げる。

 声のままのやさしい顔が俺を見つめていた。


「大丈夫よ?」

「私、あきらめないから」

「『貴方のところに絶対帰る』

 そのためにがんばるから。

 そのためなら、どれだけでもがんばれるから」

「今回だって、ちゃんとがんばったでしょ?」


「ね?」とかわいく首をかしげて俺を説得しようとするけど。でも違うんだよ。そうじゃないんだよ。


「貴女が諦めるとはもう思ってない」

「貴女ががんはってくれることも疑ってない」


「なら」とうれしそうな妻の言葉を「でも」とさえぎり、続けた。


「いくらがんはっても。どれだけ願っても。どうにもならないこともあるじゃないか」

「事故。災害。病気。

 俺がいないときにそんなものに遭っていなくなることがないなんて、誰が保証できる?」

「貴女が望まない結果になることがないと、誰が証明できる?」


 俺の言葉に愛しい妻は口を閉じた。長い時間を生きてきた彼女には俺の言葉を否定できないらしい。守り役達も、他の姫達も、ヒロ達も心当たりがあるようで一様に黙ってしまった。


「喪いたくないんだ」

「そばにいたいんだ」


 そう訴えれば、誰も何も言わなかった。

 愛しい妻も困ったように俺を見つめるだけで何も言葉が出ない。このまま押し切れるか?



「………菊様」

 唐突に問いかけたのはひなさんだった。

 なにかと目を向けると、ふたりはやり取りを始めた。


「竹さんに死相はありますか」

「ないわ」

「災厄が降りかかる可能性は」

「今のところはなさそうね」


 ……………。


 何も言えないでいる俺を無視し、ひなさんは次に声をかけた。


「梅様。蒼真様。

 竹さんが体調を崩す可能性はありますか」

「まあ間違いなく体調崩すでしょう」


 梅様がきっぱりと答える。


「トモがくっついていられなくなるなら『賢者の薬(エリクサー)』で蘇生した後遺症が出てくるだろうね」


 今竹さんが平気そうなのはこれまでずっと『半身』である俺がくっついていたからだろうとおふたりが推測する。その俺がいなくなるならば「まず発熱するだろう」と断言する。


「なら」と俺が口を出すより早く梅様が続ける。


「とはいえ、一番悪くても生命に支障はないと思うわ」


 そう断言し、梅様は蒼真様に命じた。


「蒼真。竹についててくれる?」

「まかせといて!」


 明るく請け負う守り役に満足そうにうなずいた梅様はそのまま俺に顔を向けた。


「蒼真をつけとくわ。なんかあったら私も対処する」


「……………」


 無言で梅様をにらみつけている間にひなさんは次に声をかけた。


「黒陽様。竹さんの護衛としてそばについてもらえますか」

「当然だ」


 優秀な守り役はきっぱりと答える。


「私は姫の守り役だ。我が姫は私が必ず護る」


 ひなさんに答えた守り役は俺に向け「まかせろ」と自信満々に告げた。


 ………ぐぬうぅぅぅ。


 外堀をあっという間に埋められた。言い訳を全部ふさがれた。有能だなくそう。

 憎たらしくてひなさんをにらみつけた。が、まったく平気らしい。社会人経験ありの転生者は一筋縄ではいかない。憎たらしい!


「竹さんは大丈夫です」

「トモさんはトモさんにしかできないことをお願いします」


 ひなさんの言葉に続くように晃と妻までが「お願い」とすがるような目を向けてくる!


 理由を全て封じられ、従わなければいけないと頭では理解している。それでも感情が納得しない。彼女のそばにいたい。離れたくない。

「だが」「しかし」とグズグズしてしまう。情けないがどうにもならない。だって彼女から離れたくない。発熱だって俺がついていたら起こらないんだろう。それなら俺がついていたらいいじゃないか。なにも苦しむことはないじゃないか。


「頼むトモ」

 タカさんが重ねて頭を下げる。

「トモさんお願い」

 愛しい妻が俺の手を握り必死に言う。

「頼むよトモ」

 大恩ある晃まで捨てられた犬のような顔を向けてくる。


 ………ぐうぅぅぅぅ。


 竹さんのそばにいたいのに。

 あのジジイの尻ぬぐいなんかしたくないのに。

 断りにくいひと達が集団で俺を責め立ててくる! なんだこの状況! どうしたらいいんだよ!


 歯を食いしばり妻の手を握り葛藤していたらため息が聞こえた。

 呆れたようなそれに誰がと目を向けた。

 ひなさんが偉そうに腕を組み馬鹿を見る目を俺に向けていた。


「やるべきことを放棄し、自分がやりたいことだけを主張するなんて。とんだ甘ったれのお子様ですね」


 その台詞に。言い方に。カチンとキた。

「は?」と低い声をもらす俺にひなさんは涼しい顔でさらに言った。

 

「そんな我儘で身勝手な人物が『黒の姫』の伴侶にふさわしいと思いますか?」


 ………カッチーン。


「………喧嘩売ってんですか?」

「そう受け取るならそれでも構いませんよ?」


 フフン。と偉そうに馬鹿にしたように鼻で(わら)うひなさんにムッとすればすぐさま晃がひなさんをかばうように間に立った。


「トモ」

 晃が俺に向けるその目は初めてのもので。


「ここで引いてくれ」

「ヒナと敵対するなら、おれはヒナにつく」

「たとえトモでも許さない」


 晃が真剣であると、本気だと、嫌でも突きつけられた。


 大恩ある晃を敵に回すことはできない。それでもこれは譲れない。妻から離れることは許せない。

 ひなさんはわざと俺を(あお)っている。ブチ切れた俺が売り言葉に買い言葉で「やってやる」と言うように仕向けている。それがわかるから応じられない。


 冷静になれ。俺の最優先は竹さん。どんな状況でも、何を対価に持ち出されても変わらない。

 竹さんの生存が最優先。竹さんのしあわせが第一。他のことは捨て置いておけばいい。システム崩壊を止めるのは俺である必要はない。他の人間に任せればいい。


 竹さんの隣で彼女を護るのは俺にしかできない。『半身』である俺にしか。ならば他のことは他の人間がやればいい。実際それで事足りるはずだ。


 そう考えていたら、じっと俺を見つめていたひなさんが「ふう」とため息をついた。

 わざとらしく(かぶり)を振り、『やれやれ』と言いたげなゼスチャーをするひなさんにムカついていたら、ひなさんは偉そうに腕を組んだ。


「………わかりました」


 やれやれ。よくやくわかってくれたか。

 そうホッと息をついた。

 そんな俺にひなさんは淡々と告げた。


「最終手段です」


 は?


「私はヒサキヒナ。ヒムラコウの『半身』」


 突然名乗りを上げるひなさんに何を言い出すのかと黙って見守る。


「我が『半身』ヒムラコウの代理人として、ヒムラコウの権利の行使を申請します」


「………は?」


 意味がわからずポカンとする俺に、ひなさんはニヤリと(わら)った。


「西村智の『名』にかけて行われた『誓約』の履行(りこう)を請求します」


「―――!!」


 それは。

 それは!



 中学二年の春。

(まが)』と戦い死の淵まで追い込まれた俺達が死ななかったのは晃のおかげだった。だから「いつかこの恩を返す」と俺は己に誓った。


 そして今回。

 あと一秒遅かったら死んでいた妻が助かったとき。

 俺は助力いただいた皆様に誓った。



「『今後皆様が求められることがあれば、自分にできることであれば、どのようなことでも致します』

 あなたは『名にかけて』そう『誓約』しましたよね」


 ひなさんがニヤリと嗤う。


『西村 智の名にかけて』、そう『誓約』した。

 その『誓約』を『果たせ』と言う。



『名』をかけた『誓約』。

 それは己の魂を賭けた、絶対の誓い。


『誓約』を破ることはできない。だからこその『誓約』。簡単に(たが)えることは許されない。

 もしも『誓約』を破ればそれ相応のペナルティを負う。不運続きになったり、場合によっては生命を取られたり。最悪俺が『誓約』を破ることで竹さんに危害が及ぶ可能性だってある。


 ついでに言うと『誓約』を破る人間なんて信用されない。当然だ。なんのための『誓約』かという話だ。


 さらに『名にかける』という行為は生半可なものではない。文字通り己の魂を賭けた宣誓。それを(たが)えるならばどんなペナルティでも受け入れるという覚悟で行う『誓い』。


 つまり、『名』をかけた『誓約』を破るということは、自ら『名』を(けが)し魂を(けが)し誰からも信用を失う行為。生命を奪われても魂を破壊されても文句は言えない行い。たとえ生命を奪われなくても不運続きになり坂道を転がるように悪い方へと突き進む。周囲の人間だって『名を汚した人間の知り合い』というだけで(さげす)まれたり不幸になったりする。


 最低最悪の所業。

 人間(ひと)として赦されない行い。



「今回の件は『あなたにできること』――むしろ『あなたにしかできないこと』です」

「であれば、『どのようなことでもする』んですよね?」


 ニヤリと悪魔が(わら)う。

 俺を最愛の妻から引き剥がそうと刃を向ける!


「『名にかけて』『誓約』、しましたよね?」


 ぐうぅぅぅ。

 ぐぬぅぅぅ。


 ダラダラと汗が落ちる。(かわ)せない。逃げられない。外堀は埋められた。逃げ道も全部ふさがれた!


「さあ。どうしますか?」


 キラキラとまばゆいくらいの笑みを浮かべ、ひなさんが最後通牒を突きつけてきた!


「トモさん」愛しい妻が俺の手を握る。

「トモ」物心ついたときからの恩師が真摯な目を向けてくる。

「トモ」大恩ある親友がまっすぐに見つめてくる。


 ………ぐうぅぅぅ!

 くそおぉぉぉ!

 くっっそおぉぉぉ!!


 歯を食いしばり、愛しい妻を見つめる。

「私は大丈夫だから」「お願い」

 目が合った妻がかわいい声でおねだりしてくる!


 ………ぐぬあぁぁぁ!

 くっそおぉぉぉ!

 くっっそおおぉぉぉ!!



 追い込まれた俺にはもうこの答えしか残されていない。


「―――わかりました……」


 血反吐を吐く気分で吐き出した。


「やりますよ! やればいいんでしょう!?」


 ヤケクソで叫ぶ俺にタカさんと晃は喜び、愛しい妻は「ありがとう」と満面の笑みを浮かべた。

 ひなさんは偉そうにニヤリと笑い、他の面々は同情とあわれみのこもった眼差しで黙っていた。

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