表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
415/572

久木陽奈の暗躍 95 浄化

 ちびっこ一行を見送り、アキさんと千明様が復帰された。が、連絡はヒロさんがすべて終わらせておられた。ゲームの『バーチャルキョート』もゲーム内もシステムも問題なし。安倍本家への報連相も終わったとのこと。主座様と一緒に晴臣さんも戻ってきておられた。


 ということで、改めてやることを確認し役割分担。


 ナツさん佑輝さんが準備してくれた補給物資を安倍本家に届けてもらう。ヒロさんのアイテムボックスに物資を積み込み、晴臣さんの運転で本家へ。アキさんと護衛のコンさんも同行。補給物資の分配を安倍本家のひとにお願いし、現在とこれからの人員配置を確認。アキさんは安倍本家の夜食と朝食の指示を後方支援担当のひと達に出し、シフトを組ませる。デジタル担当のひとにも交代で休むよう指示。細かいところまで目が届きかゆいところに手が届くアキさんはさすがです。


 タカさんは変わらずあちこちを確認中。千明様も一緒に確認してもらう。普通のひとには気付かない異変も違和感も千明様ならば気付ける。気付くことができればタカさんなら対応できる。そちらも安心しておまかせしよう。


 私とコウは引き続き『異界(バーチャルキョート)』で亡くなった方のリスト作成。前前世の記憶を取り戻して記憶容量も処理能力も上がったけれど、グロ耐性もスルー力も上がったけれど、さすがに数が多い。コウとふたり休み休みでどうにか全部の情報をリストアップできた。


 事前に入手していた行方不明者リストとの照合はヒロさんか晴臣さんに頼むとして、私達が次にやることは転移させた遺品や遺骨のラベリング。

 タカさん千明様に一言挨拶をして、転移場所に移動した。


 コウに抱かれ移動した先でヒロさんが合流。タカさんから連絡がいったと。安倍本家は晴臣さんとアキさんで間に合ってるので手伝いに来たと。ありがとうございます。


 遺品や遺骨は予想以上にあった。量があるから染み付いた瘴気がにじみ出てきてる。どれだけかかるのかと途方にくれそうになったけど、コウが「やる」と覚悟を決めてるから付き合わないと。

 主座様からいただいた時間停止の結界を展開させる。これで時間を気にせず腰を据えて取り組める。


 コウが対象物を手に取り、その記憶を『視る』。そうして名前を調べる。

 すぐに名前がわかるものはいいけど、ぼんやりとしかわからないものもある。さっきリスト作成で『視た』記憶をヒントに「多分このひと」と絞り込んでいく。


 ヒロさんがチャック付の袋を用意してくれていた。そこに名前が判明した対象物を入れ、油性ペンで記名していく。大きいものはダンボール箱に入れて記名。

 対象の記憶を『視る』のは『記憶再生』の特殊能力持ちであるコウしかできない。残留思念とか霊魂とか残っててぼんやり『視える』のもあるけど、名前がわかるほどの記憶を得られるのはこの場ではコウだけだった。


 コウが名前を特定し、私が記名して対象物を袋に入れる。ヒロさんは先程作ったリストを使って情報記入していってくれた。


 途中休憩をはさみながらもどうにか全部済んだ。

 やっぱり例の『水』に完全に溶けたり鬼に喰われたりで遺品も遺骨もないひとが多かった。

 これをどうするかは安倍家に丸投げ。よろしくお願いします。


 対象物を入れたチャック付袋をやはりヒロさんが出したダンボール箱に詰めていく。なにも指示しなくてもヒロさんがちゃんとラベリングしてくれる。ダンボール箱の詳細リストも作ってくれる。素晴らしい。かなりしごかれたんですね。ヒロさんは順当に教育が身についていると言えるだろう。


 そのダンボール箱を一箇所に積み上げる。ここからが本番。


 あの『異界(バーチャルキョート)』には瘴気をまとった鬼がいた。その鬼がひとを喰った。恐怖。無念。憎悪。そんな悪感情は瘴気の多い場所をさらに悪化させる。そうして『異界(バーチャルキョート)』は何年も何十年もかけて瘴気の多い『場』に成った。


 そんな場所に長時間残っていたこれらの品には瘴気がこびりついている。モノによっては持ち主の残留思念や魂が残っている。

 それをこれから浄化する。


 亡くなったひとリストを急いだのも、遺品や遺骨のラベリングを急いだのも、このため。

災禍(さいか)』がこれまでためていたエネルギーを開放する前に遺品や遺骨を浄化するため。


 ヒロさんが指定したこの場所は安倍家の敷地内。主座様の結界の内側。だからそこまで大きな影響を受けないと思うけど、こと『災禍(さいか)』に関することは想定外があって当たり前。

 もし万が一この遺品や遺骨が放出されるエネルギーを受けることで瘴気を増して『悪しき場』に変質したり『呪いのアイテム』に成ったりしたら目も当てられない。


 実際、まとめて転移させたこの場所はジワジワと瘴気がにじんできている。

 ひとつひとつだったときにはただ『瘴気に染まったモノ』だったのに、一箇所に集められたことにより互いに影響しあいどんどん瘴気を増していった。

 私達は『竹さんのお守り』を身に着けているから大丈夫だったけど、『霊力なし』のひとでも不調になるくらいには瘴気が増えてた。


 ラベリングしながら袋に入れているときにひとつひとつ浄化してもよかったんだけど、それだとコウが全部『視』きれない可能性があった。


 だからまずはラベリングを優先。

 それが全部済んだら土地も併せてまとめて浄化。

 それが私達の立てた策だった。


 ――せっかく(のこ)ったんだもの。かえしてあげたい。


 コウの記憶で『視た』記憶が。

 目の前の対象物から伝わる思念が。

 私に訴えかけてくる。


《帰りたい》

《会いたい》

《伝えたい》


 コウは『異界(バーチャルキョート)』にいたときからそれを感じていた。だから連れて帰りたかった。どんな状態であれご遺族のもとにかえしてあげたかった。


 菊様がうまいこと『災禍(さいか)』の『管理者』に成れたおかげで手っ取り早く確実に全部を『現実世界(こっち)』に持って帰れた。

 それをちゃんとご遺族のもとにかえすのがコウの『願い』。

 だけど瘴気が染み付いたままでかえすと受け取ったひとや場所に悪い影響が出る可能性がある。だから綺麗に浄化しておかえしする必要がある。


 もしかしたらご遺族のなかには私達みたいな精神系能力を持ったひとがいるかもしれない。そのひとにとっては浄化して魂や残留思念を『視る』ことができなくなることは『余計なこと』かもしれない。

 それでも、このままにしてはおけない。


 このままの瘴気に染まった状態では誰かを害してしまう。そんなことさせない。


「じゃあコウ、お願いね」

 いつもの浄化の儀式をしてもらおうとコウに声をかけたら「え?」とキョトン顔を返された。


「おれがやるの?」

「あんた以外誰がやるのよ」

「え? ヒナ」

「―――はあぁぁぁ!?」


 当然のことのように答える阿呆に思わず叫び声を上げてしまう。

「できるわけないじゃない!」と叫んだ私に阿呆はかわいいキョトン顔をかしげた。


「なんで?」

「『なんで』って」

「伊勢の頃はやってたじゃないか」


「やり方、思い出したでしょ?」なんて当然のように言う。これだから精神系能力者は。


「霊力足りないわよ」


 私の霊力はコウの『願い』を叶えるための『対価』として前前世で神様方に献上した。だから今の私には一般人並みの霊力しかない。

 伊勢にいたときは歴代でも五本の指に入ると言われるくらいの霊力を持ってたからいろんな術も使えたし数々の儀式も執り行ってきた。

 当然浄化の儀式だって執り行ってたし浄化の術だって使えた。でもアレ、かなり霊力を使う。今の私では無理。


 私はそう判断したのに、阿呆は簡単そうに「おれが霊力補充するよ」なんて言う。

「おれとヒナ、『半身』だから。大丈夫だと思うんだ」


 そんなあんた簡単そうに。


「それに、おれの浄化は『火』で清めるやり方だろ? 土地の浄化はそれでもいいんだけど、今回はヒナの『光』で浄化したほうがいいと思う」


「ヒナのほうが『道』を示せる」

「『導き』になる」


「……………」


 ……………これは、あれか。また『神託』か。


 まっすぐに見つめてくるわんこは私ができると信じて疑ってない。疑うことなん考えることすらない。キラキラおめめのわんこのかわいさに「うっ」と息を飲む。


 ……………仕方ない。とりあえずやってみよう。


 コウと手順を確認しあい、どうにかなりそうなところまで理論が組み立てた。あとは実践。実際にやりながら不具合が出たら都度修正しよう。こういうとき精神系能力者同士は話が早い。いちいち手を止めなくても思念で手順確認や修正ができるからね。


 コウとふたり、緋炎様から預かったままの『赤』の神職の衣装にチェンジ。神楽鈴(かぐらすず)は安倍家にあるというのでヒロさんに取りに行ってもらう。

 聖水はヒロさんが持っていたものをいただく。他にも細々としたものの準備をお願いした。


 コウが主座様にいただいた結界石で展開していた時間停止の結界を解除。同時にダンボール箱の山の周囲に結界を展開。でないと瘴気が広がっちゃう。

 さらに火の玉を四つ出し、私達の外側の東西南北それぞれに配置。火の玉同士が炎の帯で結ばれて『火』の結界が展開された。


 戻ってきたヒロさんと三人で準備。祭壇組んで。神楽鈴はコウの『火』で浄化したあと私達の霊力をこめる。聖水や榊やらを祭壇に献上して。うん。どうにか体裁が整った。


 ということで、早速やってみることにする。


 祭壇の前にコウと並んで座り、深く平伏した。

 頭を上げてコウとふたりそろって柏手を打つ。タイミングバッチリ。再び平伏し、祝詞をつむぐ。

 私に続いてコウも祝詞を奏上。最後にふたり揃って対象物と土地の浄化を行うことを宣言した。そのために「お力をお貸しくださいませ」とお願いし、ふたりそろって頭を下げた。


「祓えたまへ」「清めたまへ」


 立ち上がり、再び深々と頭を下げた。

 そうしてふたり揃って頭を上げ、晃が半歩下がった。

 呼吸を整え、ゆっくりと手にした鈴を持ち上げた。


 シャラララララ…。

 清らかな音が響く。


 四方に向け鈴を鳴らし、天に向かって鈴を鳴らす。ウン。イケる。確信とともに舞いはじめた。

 動き出したらあとは勝手に身体が動く。『まぐわい』のための体力作りと柔軟のおかげで記憶のとおりの動きが再現できている。

 そしてあの特訓の成果でコウとの息がバッチリ合う。ひとつひとつの呼吸。ひとつひとつの動き。霊力を込めるタイミング。


 舞う私の周りをコウの『火』が取り囲む。まるで私が『火』を操っているかのよう。その『火』が私の足りない分の霊力を注いでくれる。私のナカで私の霊力とコウの霊力がまじる。ひとつになる。


 私が鈴を鳴らすごとに金平糖のようなちいさな『光』が生まれ、コウの『火』に吸い込まれる。『光』を吸い込んだ『火』は強くなる。パチパチと花火のように火花を散らし弾ける。その火花が周囲を浄化する。


 積み上げたダンボール箱にもコウの火花が散る。

 火花を浴びてもダンボール箱は燃えず、次々に火花を吸収していく。

 私の手に持つ神楽鈴にコウの『火』がたまっていく。連なった鈴のひとつひとつに『火』が吸い込まれていく。


 シャンシャンシャン。シャララララララ……。


 シャンシャンシャン。シャララララララ……。


 鈴を振り、音を響かせ、『光』を生み出す。

 鈴を振り、音を響かせ、『火』を集める。


 くるりと舞う私の動きに鏡合わせになるようにコウもくるりと舞う。手を伸ばせば同じく手を伸ばす。

 私の『光』とコウの『火』で周囲を浄化していく。同時に鈴にふたりの霊力をためていく。


 どうか不浄を祓えますように。

 このひと達を清められますように。

 苦しみも。痛みも。かなしみも。つらさも。

 なにもかも、コウの『火』で燃やせますように。

 そうして()くべき『道』を見つけられますように。私の『光』がこのひと達を照らし導けますように。


 私は『日の巫女』。

 人々の日々の安寧を祈る者。

 天を見上げればそこに在る太陽のように。

 人々を慈しみ、成長を助け、照らす。


 それが私。『魂守(たまも)り』であるコウのカタワレ。

 コウが守る『魂』を照らす存在。


 舞っているうちに伊勢のときのそんな気持ちも蘇ってきた。

 そうだった。私は、私達は、そうやって生きてきた。

 その気持ちを思い出したなら、これからもそう生きていかないといけないだろう。


 とはいっても一般人並の霊力しかない現状では大したことはできないけど。でもできる範囲でできることをしていくべきだ。

 だって私はコウの『半身』だから。

 愛する男のそばに立つのにふさわしく在りたいから。


 鈴を振り、舞を舞う。

 目が合った私の唯一がニコリと微笑む。

 きっと私のナカに浮かんだ思考は全部伝わっている。

 コウの『半身』としてふさわしく在りたいという気持ちも。どれだけコウが愛しいかも。


《ヒナ》

《ヒナ大好き》


 視線で。思念で。飛び散る火花で。

 私が好きだと伝えてくる。

 私の唯一。私の『半身』。私の最愛。


 コウの『火』が私の迷いを燃やす。

 私の弱気も、浮かぶ悪意も燃やす。

 だから私は強く在れる。正しく在れる。清く在れる。


 コウはいつもまっすぐにひたむきに愛してくれる。

 だから私は強く在れる。正しく在れる。愛する唯一にふさわしく在りたいと願う。


 さあ。祓いましょう。清めましょう。

『日の巫女』の名にかけて。

 愛する唯一の『願い』を叶えましょう。


『迷えるモノを救いたい』『魂を守りたい』

 いつもそんなことを『願う』お人好しのわんこ。

 そんなあんたが好きなの。

 そんなあんただから手助けしたいの。

 私のできる限りで支えたいって思うの。


 何度生まれ変わっても。

 いつでもそばにいる。

 私達は『半身』だから。

 あんたは私の唯一だから。



 鈴にたっぷりと霊力が込められた。これならイケる。

 舞を終え、深々と拝礼。

 コウとふたりダンボール箱の山の前に立つ。

 呼吸を整えて手にした鈴を差し出した。


 シャララララララ……。

 シャララララララ……。


 振りながら右へ、左へと鈴を動かす。

 鈴から金平糖のような光のカケラが降り注ぐ。

 それがダンボール箱の中身を浄化していく。黒いモヤが徐々に薄まっていく。まだまだ。もっともっと。骨の髄まで清めなきゃ。表面は清められた。もっと中まで。中心まで。奥の奥まで。


 キラキラ。キラキラ。『光』が粒子になり降り注ぐ。対象物に吸い込まれ清めていく。

 残留思念がほどけていく。魂が清められていく。

《ありがとう》

 いえいえ。どういたしまして。

 次の生で幸運がありますように。


 霊力を込める。『願い』を込める。『祈り』を込める。

 コウが霊力を注いでくれる。足りない分を補充してくれる。大丈夫。最後まで。やりきる。私が為すべきを。


 示せ。『光』を。逝くべき『道』を。

 鈴を鳴らし、天へとつながる『道』を照らす。

 残っていた魂が、思念が、天へと昇る。


 さっき神様方からうかがった『裏話』のおかげでしっかりしたイメージが作れる。おかげで昔よりもはるかに霊力少ないのに効率よく浄化できる。コウの補助もうまく私の霊力に変換できてる。これならイケる。最後まで。気を抜かない。諦めない!


 黒いモヤは完全に消えた。残っていた魂も思念も在るべきところに還った。それでもさらに浄化を進める。これらの遺物を手にしたご遺族のココロが救われるように。清める。祈りを、『願い』を込める!


 シャン!


 やった。やりきった!

 すべての遺物の浄化が完了した。

 土地に侵食していた瘴気も消えている。今いるコウの『火』の結界の内側は清らかな空気に満たされている。


 シャン、シャン、と鈴を鳴らし、祝詞をつむぎおしまいにする。

 鈴を鳴らしながら最初の位置に戻り、コウとふたり並んで深々と拝礼。柏手を打ち神様方に感謝を捧げる。

 最後にコウと並んで座り、深く深く平伏した。



 凛と張り詰めた静寂が広がる。 

 どこかで虫が鳴いている。ホウ、ホウと聞こえるのはなにか。静寂のなかにも山の息吹を感じる。

 そんな周囲を感じているうちに少しずつ『日の巫女』モードが解けていった。


 『日の巫女』モードになって神事を行うと、なんか神様方の一部が私のナカに入ってくる感覚がするのよね。『神降ろし』してなくても。さっき神様方から『裏話』うかがったときみたいな感覚。あ。それで私『裏話(あんなの)』聞けたのか? 聞けるだけの素質が元々あったということか? ああ。これも菊様曰くの私の特殊能力か。『看破洞察』? イヤイヤ私のはただのヲタク力ですよ。ヲタクはなんでもかんでも考察したがるんですよ。


 そんなとりとめもない思考が浮かぶごとに張り詰めていたものがほどけていく。

 コウと揃って頭を上げた。途端に「ふうぅぅぅ…」と息がもれた。

 同時にドッと疲れが押し寄せた。重力が増したかのように身体にかかる重さが増して咄嗟に両手をついた。


「ヒナ!」

 ハア、ハア、と肩で息をする私をコウが抱き上げ、包んでくれる。ああ。好き。

「これ飲んで」

 肩を抱かれ仰向けにされ、口になにかを当てられる。ああ。ペットボトルか。そっと口内に水が注がれる。竹さんの水か。冷たくておいしい。霊力補充される。ゴキュゴキュと飲んで、結局一本飲みきった。

 飲んでる間もコウが霊力を循環させれくれる。私のわんこ、やさしい。好き。


「おつかれさまヒナ。立派だったよ」

 やさしい笑顔に誇らしくなる。どうにか笑みを返すけど、もう動けない。疲れた。眠い。


「ウン。すぐに戻ろうね」

 そうしてわんこがヒロさんに指示を出し、ダンボール箱はすべてヒロさんが安倍本家へ運ぶことになった。

 周囲の結界も全部解除し、あたりに問題がないのをコウとヒロさんが確認。「じゃあ」とヒロさんは本家へ向かった。

 コウが私をヒョイッと横抱きにしてくれ駆け出した。

「もーちょっとがんばってねヒナ。すぐだから」

 やさしいわんこの励ましにうなずくこともできず、ただただ身を任せた。

蛇足

作中で『かえしたい』をひらがな表記しているのは故意です

『返す(返還)』『帰す(帰宅)』『還す(輪廻の輪に還元)』全部の意味が込められています


次回は3/26 (火)投稿予定です

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ