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久木陽奈の暗躍 20 取りに行こう

 スマホを手に取り、気になった企業を検索。

 会社概要を確認。

 わりと街中にあるその会社は、『バーチャルキョート』の広告ポスターを印刷納入する業者だった。


 その社長の名前に、見覚えがあった。

 

「マジか」


 こんなことがあるのか。これもお守りの『運気上昇』の効果か。


 かくして私はわずかな光明をつかんだ。



 ここから攻めるのはどうすべきか。

 いきなり女子高生がたずねて行ってどうにかなるとは思えない。

 どこから攻める。どう攻める。


 ポン、と浮かんだ手に、思わず顔をしかめる。

 ……でもなあ。可能性は高いんだよなぁ……。

 でも絶対怒られるよなぁ……。


 うーん、どうしよう。タカさんなら調べられるかな。

 でも待てよ。あのひと達の性格からして、もしかして。

 でもまだ生きてるかわかんないし。でも。


 スマホで検索。調べられない。そりゃそうか。

 じゃあどうする。


 考えを巡らせる。策略を立てる。

 あれがああだったら、こうして、こっちに連絡して、うまくいけばああなって――。


 ――うまくいく可能性があるな……。


 ホントはこんな手、使っちゃいけない。

 私はもう『死んだ人間』だ。

 こんなことしたら未練になる。悔いになる。

 でも。


 晃のため。

 そのために、なんでもすると誓った。

『私』の全部を使って晃を守ると。


 ならば躊躇(ためら)う必要はない。

 どんな手段を使っても、七月十七日のバージョンアップまでに『災禍(さいか)』をどうにかしなければ!


 覚悟を決めて、メッセージを送った。


 しばらくして、返信が届いた。


『探し物は、おたずねの人物が現在も所持』

『住所は以前と変わらず』

『番号、使えるよ』


 スマホをにらみつけ、さらに策を練る。

 そうして再度メッセージを送った。


『明日の夜、お時間をください』

『策のご提案をいたします』




 翌日の夜。

 いつものように主座様に迎えに来ていただき、御池の安倍家へと転移する。

 いつもの安倍家の皆様に加えて、今夜は白露様がいらした。

「なんか策を思いついたんですって? ひな」

「はい」


 そうして説明をした。


「――あくまでも『うまくいけば』の話ですが。

 やってみるだけの価値はあると思うんです」


 そうまとめると、皆様一様に黙ってしまわれた。

 それぞれに検討しているのがわかる。

 だから私も黙って見守った。


「――ひなさんは」

 最初に口を開いたのは主座様だった。


「本当にいいんですか?」

「いいです」


 はっきりと告げた。


「私は晃の『半身』です。

 私は『私』のすべてを使って晃を守ると誓いました」


「ならば、今回のことも、当然のことです。

 むこうは困るでしょうが、もしかしたらしつこくつきまとってくるかもしれませんが、晃のためならばそれも止む無しです」


 主座様は黙ってじっと私を見つめられた。

 だから私もじっとその目を見つめた。


 やがて主座様は目を伏せ、ひとつため息を落とされた。


「――わかりました」


 そうして詳細を打ち合わせた。


「――その策でいいだろう。

 ひなさんがこちらに行かれるときには僕も同行。

 認識阻害と幻術をかけて、夢の中のことだと思わせる。

 それでいこう。いいですねひなさん」

「ありがとうございます」

「それと、晃も同行させてください」

「晃を?」


 あの阿呆は関係ないんだけど。

 そう思っていたら、主座様は心底嫌そうに顔をしかめられた。


「ひなさんと『夜に』『ふたりで』出かけたなどと晃に知れたら、面倒なことになります」

「なるほどです」

 ウチの阿呆が申し訳ありません。


 そうしてさらに策を詰め、決行日を決めた。




 二日後。

 主座様に迎えに来ていただき、晃とともに京都の街中に立った。


 時間は夜の十時。住宅街は歩くひともおらず、家々の窓から明かりが漏れるだけ。


 ぐるりと辺りを見回す。すっかり変わってしまった。

 そりゃそうだ。あれから何十年経ったというんだ。

 それでも道筋は変わらない。少し懐かしく感じながら、改めて目の前の一軒家を見上げた。


 あの頃はまだ多く残っていた典型的な町家は、今風のモダンな家になっていた。

 表札を確認。間違いない。


「隠形をかけていますが、急ぎましょう」

 主座様に急かされて足を動かす。――あれ? 動かない。どうした? 私。


「ひな」

 晃がそっと手を握ってくれた。

 顔を向けると、にっこりと穏やかに微笑む。

 その目に、あたたかさに、身体のこわばりが溶けた。


「行こ」

「うん」

 うなずく私の手を軽く引く。つられるように足が出た。


 そんな私達を見守ってくださっていた主座様が当たり前のように玄関の扉を開く。

 鍵は。あ。関係ありませんかそうですか。


「一階がご両親のお部屋。二階がお兄様ご夫婦のお部屋です」


 打ち合わせで聞いた説明を再度してくださる。

 玄関で靴を脱ぐ。すぐに晃が自分の靴と一緒にアイテムボックスに収めてくれた。


 主座様を先頭に家の中へ。

 一階のリビングダイニングは共用なのだろう。大きな机が置いてあった。

 その奥の部屋に進もうとして、足が止まった。


 そこは、仏間だった。

 仏壇の前に遺影が置いてあった。

 その前にはケータイにパソコン、花に飲み物に食べ物が並んでいた。

 週刊誌も単行本も供えてあった。


「……これ、ひな?」

 晃の問いかけにうなずく。


 そう。

 これが『私』。

 日崎(ひさき) (ひな)。享年三十八歳。

 季節はずれのインフルエンザでぽっくり死んだ、間抜けな女。


 もう死んでから二十年経っている。

 それなのに花は瑞々しく、食べ物も新しい。

 私が愛読していた週刊誌はどれも最新号だ。


 ――急に涙がこみ上げてきた。

 あわててまばたきしてそれを散らす。

 つないだままの手を晃がぎゅっと握ってくれた。


「美人さんだね」

「そお?」


 明るく言う晃に、わざとなんてことないように答える。


「今のひなとちょっと似てる」

「そうかしら?」

「目のかんじが」

「そうかしら?」


 私の目は今生の父と同じ目なんだけど。

 ふたりの兄と同じ目なんだけど。

 単に吊り目気味の一重ってだけじゃない?


「未来のひなを見てるみたい」


 にっこりとうれしそうに言う晃に、虚を突かれた。


 過去の、前世の写真を前にして、この男はそこに『未来』を()るのか。


 なんだかおかしくて、でもなんでか胸があたたかくなった。


 きゅ。つないだままの手を握る。

《ありがと》

《晃のそういうとこ、好き》

 こっそり思念で伝えると、途端にごきげんになるわんこ。

 にっこりとうれしそうに笑ってくれるから、つられて私も笑みが浮かぶ。


「これ、手を合わせるべき?」

 晃の質問に「どうかしら?」と考える。

「『私』はここにいるわけだし。あ、でもご先祖様には手を合わせたい」


 そうしてふたりで仏壇の前に座り、手を合わせた。

 お線香とおりんは省略で。ご先祖様、お許しください。


 待っていてくださっていた主座様にお礼を言って、本命へ。

 両親の寝室の扉を、主座様が開けた。




「眠りの術をかけています。ひなさんが声をかければ目を覚まします」

 主座様がこっそりと教えてくださる。


 晃と手をつないだままそっと顔をのぞくと、そこには老夫婦が並んで眠っていた。


 ああ。歳をとった。


 記憶にあるよりもずっと皺の増えた顔に、じわりと涙がこみ上げてきた。

 ぎゅっと晃の手を握ると、晃もぎゅっと握り返してくれた。

 顔を向けると力強くうなずいてくれる。

 それに励まされるようにひとつうなずき、老夫婦に向き直った。



「――おとうちゃん。おかあちゃん」


 もう二度と呼ぶことのなかった呼び名。

 口にするだけで喉の奥がきゅっと締まる。


 私の呼びかけに、老夫婦はゆっくりと瞼を開いた。


 私だけ隠形を解いて、この部屋には時間停止の結界を張ったと主座様が先程ご説明くださった。

 だから目を開けたふたりには私の姿が見える。

 主座様が術をかけて、あの当時の姿形になった私が。


 父は目を大きくして固まり、母はせわしなくまばたきをしていた。


「――ひな――?」

「うん。ふたりとも、元気?」


 なんてことないように言った。

 途端に両親はボロボロと涙を落とした。


「ひな!!」

 ガバリと父が私にすがる。

 母もベッドの上を這うように移動して、私の手を取った。

 晃は気を利かせて手を離し、さっと一歩下がった。


「ひな! 本当にひなか!?」

「まあね」

「――ひな!!」

「――ひなあぁぁぁ!!」


 オンオンと泣く両親に申し訳なくなった。


「この馬鹿者! 親より先に死ぬほどの親不孝があるか!!」

「ごめんね。まさか死ぬとは思わなかったのよ」

「なんで電話してくれなかったの!! 連絡くれたらすぐに行ったのに!!」

「いやー、大したことないと思ったんだけど。甘かったわ」

「『甘かった』じゃありません!!」

「ホントにお前は昔から物事を簡単に考えすぎるところが!」

「ごめんなさい。反省してます」

「反省で済むか!! お前、死んでしまうなんて」

「いやほんと、熱出ただけで死ぬなんてね。まいったまいった」

「―――っっっ、この―――」


 殴られる覚悟で立っていたら、父はガバリと私を抱き締めた。


「ひな! ひなぁぁぁ」

「ひな!! 会いたかった! 会いたかった!!」


 父に続いて母までも私を抱き締める。


 ああ。ちいさくなった。

 そう感じて、過ぎた年月を突きつけられたように思えた。

 それだけの長い間、それでも想ってくれていた。愛してくれていた。

 それがわかって、私もふたりをぎゅうっと抱き締めた。


「ごめんねおとうちゃん。ごめんねおかあちゃん」


「「わあぁぁぁぁ!!」」


 しばらく三人抱き合って泣いた。


 だから来たくなかったんだ。

 絶対怒られるってわかってたから。

 親不孝を突きつけられるってわかってたから。

 両親がこうやって泣くって、わかってたから。


 泣いて泣いて、ようやく落ち着いた。

 両親はグズグズと鼻をすする。

 晃が見つけたティッシュの箱を差出してくれたので、受け取って差し出すとふたりともチーンと鼻をかんだ。


「今日来たのは、頼みがあるからなの」

 そう言うと両親はキョトンとした。


「私のケータイとパソコン、持ってっていい?」


 このふたりなら私の持ち物は大事にそのまま取っていると思った。

 予想通りケータイもパソコンも仏壇の前に置いてあった。

 ホコリをかぶることもなく、まるでついさっきまで使っていたかのように。


「お前のものだ。持って帰ればいい」

 父の言葉に母もうなずく。


「……ありがとね」


 きっと死んだあとの手続きも遺品整理もアパートの退去も何もかもやってくれた。

 自分達より先に死んだ、間抜けで親不孝な娘のために。


 きっとずっと棘になっていた。

 先に死なせたと。なにかできたんじゃないかと。


 精神系能力者はこんなとき嫌ね。

 そんな気持ちまで感じ取ってしまうんだから。


 なにか言わないとと思うけれどなにも言葉になってくれない。

 ずっと大事にしてくれた。死んでからも想ってくれた。

 その感謝を。謝罪を。伝えたいのに。


 喉の奥にこみ上げてくるものをこらえていると、ぎゅうっと抱き締められた。


 晃だった。

 晃が私ごと、両親を抱き締めていた。


《おれが伝える》

《ひなの想い。ひなの感謝。ひなの愛情。

 全部おれがご両親に伝える》


 ――私の『半身』。私の唯一。

 やさしくて、素直で、思いやりがあって。

 精神系能力者で、『記憶再生』の特殊能力持ち。


 ああ。晃がいれば大丈夫。

 私の火。私の炎。

 晃の火はいつでも私をあたためてくれる。


 ぽ。


 胸のなかにちいさな光が灯る。

 それを晃が拾ったのがわかった。


 ぽ。ぽ。

 灯る光を晃が集める。


 ありがとう。愛してくれて。

 ありがとう。育ててくれて。

 ごめんなさい。先に死んで。

 ごめんなさい。後始末をさせて。

 ありがとう。死んでも大切にしてくれて。


 たくさんの『ごめんなさい』と、それよりもたくさんの『ありがとう』が光の花になる。

 それを晃が花束にする。

 ふたつに分けた花束を、おとうちゃんとおかあちゃん、それぞれの胸に手渡してくれた。


 ありがとう。『私』を愛してくれて。

 これからは自分を責めないで。

 どうか『しあわせ』に暮らして。

 これからも元気で、長生きして。


 声にならない『感謝』と『願い』を晃が花束にする。

 両親は光の花束を胸に抱き、泣きながら笑った。


「会いにきてくれて、ありがとうひな」

「死んでも、あなたは私達の娘よ」


「……ありがとう」


 もう一度ぎゅうっと両親を抱き締めた。

 両親も私を抱き締めてくれた。

 あたたかくて、まぶしくて、涙があふれた。


 晃の渡した花束はすうっとふたりの胸に消えた。

 ふたりともどこか呆然としたような、それでも憑き物でも落ちたかのようなさっぱりとした顔をしていた。


「……ところでひな。そちらは?」


 父の指の先を追うと、晃がいた。

 あれ? 隠形はどうしたんですか主座様。

 主座様は……見えてない。

 晃は見えてる!?


「ご両親に触れた上に特殊能力発動させましたからね」


 あ。そうですか。

 それで主座様のかけた隠形が解けたと。


 ………ぎゃあぁぁぁ!! どうすんのよ!!


《落ち着いてひな》

《『落ち着け』ってあんた、これどうすんのよ!? 不審者でしょう!? 不法侵入でしょう!!》


 私は内心慌てふためいているのに晃ときたらいつもどおりに落ち着いている。なんなのよ阿呆のくせに!!


 ピッと姿勢を格した晃は、両親に向かってキチンとお辞儀をした。


「はじめまして。ひなさんとお付き合いしております、日村 晃と申します」


《―――!!》

「「は?」」


 両親キョトン。

《――この阿呆おぉぉぉ!! なに言い出してんのよ!?》


 殴ろうとしたらサッと避けられた。阿呆のくせに生意気な!!


「ひなさんはおれの太陽です。一生大切にします。

 どうぞご安心ください」


 えっへんと胸を張り、堂々と言い切った阿呆は両親に向かってにっこりと微笑んだ。

 人好きのする、かわいい笑顔。


 そんな阿呆に、両親は呆然としていた。


「……お付き合い……」

「はい!」

「というと、その、……結婚、とか……、」

「はい! します!」

《阿呆!》


 ガッと後頭部を殴りつけた。なのに阿呆はさするだけで平気な顔。反対にえへへとにやけている。この阿呆が!!


 どう言い訳しようかと両親を見ると、なんだかうるうると目をうるませていた。

 そうして父が晃の右手を、母が晃の左手を取った。


「――まさかひなが結婚できるなんて……。

 ひなの結婚は諦めていましたが……」

「本当に? 本当にひなと結婚してくださるの?」

「はい! 今すぐはひなが嫌がっているのでできませんが、数年後にはします!」


「「―――!!」」


 感動に打ち震えている両親に、阿呆を叱れなくなった。

 そんなにか。そんなに私の結婚を喜んでくれるのか。なんかゴメン。


「――なにくん、だっかな」

「晃です。『晃』と呼んでください」

「コウくん」

「はい」

「ひなを、ひなを頼みます」

「もちろんです。

 ひなはおれの大切なひとです。

 おれの生命をかけてしあわせにします」


 ―――拷問かー!!

 なんだそりゃあ!! 前世の両親に恋人が自分への愛の告白をするのを見させられるとか! どんな罰ゲームよ!!

 まさかこれが罰なの!? 親より先に死んだ罰なの!?


 私は恥ずか死ぬ寸前なのに、阿呆は堂々と両親に挨拶をしている。


「コウさん。ひなをよろしくね」

「はい! おまかせください!」

「こんなうれしい夢が見られるなんて。

 長生きはするもんだ」

「まだまだ長生きしてください。お元気でいてください」

《いつかおれとひなの子供を抱いてください》


 ………口にしなかっただけ偉い。

 もう好きにしてくれ。私は恥ずかしくて立ち上がれない。


 しゃがみ込んで頭を抱える私をよそに、両親と晃はほのぼのと話をしている。


「ではこれで失礼します。お義父さん。お義母さん。どうぞお元気で」

「!! コウくん――!」

「コウさん――!!」


 ……この天然タラシめ。


 両親がまたも泣きながら「ひなを、ひなをよろしく」と晃にすがりついている。


「きりがない」

 主座様が眠りの術をかけてくださり、両親は泣き笑いの顔で眠りに落ちた。


 晃がそっとベッドに横たえてくれ、掛け布団もキチンとかけてくれた。


「……ありがと」

「うん」


 にっこりと微笑む晃。


「行くぞ」

 主座様に急かされて部屋を出る。

 そうして仏壇に置いてあったパソコンとケータイを回収して、ようやく家を出た。




 私は最初黙って持ち出すつもりだったんだけど、タカさんに止められた。


「遺品が突然無くなったら、ご両親がどれだけかなしむと思ってるの?」

「親より早く死んだだけでもひなちゃんはご両親を傷つけたのに、今またさらに傷つけるの?」


 そう言われたら「そのとおりだ」と思えて、申し訳なくなった。

 でもこんな高校生が突然「死んだあなた方の娘です」って行くわけには行かないでしょう。


 そう言ったら「そこはハルがうまくやるから!」とタカさんが策を出した。


 隠形をかけて自宅に侵入し、幻術で私を当時の姿形に見せる。

 主座様の眠りの術で『夢の中のこと』だと思わせる。


「『夢の中』でもいいんですか?」

「いいよ。ちゃんと『持って行くね』って言うことが大切なんだから」


 ……ごめんなさいタカさん。

 タカさん近くにいるから、まっすぐに『想い』をぶつけてくるから、思念を読んでしまいました。


 ご両親と弟さんとの思い出の品がいつの間にか無くなってて、そんなに痛かったですか。

 かろうじて残っていた思い出をかき集めて引きこもり、自分を守っていましたか。

 夢の中にご両親が来てくれて救われましたか。


 へらりと軽薄に笑うこのひとが見た目どおりのひとでないことは知っていた。

 それでもこれほどの苦しみを背負っていたとは知らなかった。



 私は私の両親にも同じ苦しみと痛みを背負わせていた。

 それを忘れずにこれからは生きよう。

 そう、誓った。

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