ライオン日和2
ライオンを見に行って数週間後、私の夢の中にライオンが現れました。
神の啓示と判断した私は、『ライオン日和2』を執筆する事にしました。
ライオン、
アフリカ在住の猫科の大型哺乳類。猫科にしては異例の『プライド』と呼ばれる群れを作り、生活を営んでいる。
雄が数頭に対して、雌が約二十頭ほどの群れである。俗に言うハーレムと言うヤツだな。羨ましい。
狩り・子育て全般は雌の仕事で、雄はただ用意された食事を貪り、子供を作るだけ・・
えっ!?ヒモ!?これは日本では『ヒモ』と呼ばれている現象ではないのかい??
っと思ったら、雄は群れ・縄張りの死守と、子孫を残すのが仕事らしい。外部の雄ライオンが襲撃に来た時には、血みどろの対決になる事もあるらしい。
なーるほど、ちゃんとやる事はやってるのね。ヒモでは無かった様だ。日本在住のヒモにゃ、そんな根性は皆無で、保身で精一杯ですからの。
雌が発情したら、雄は雌を連れ出し、丸一日かけて何度も交尾を繰り返す。それはライオンは妊娠しづらいからだそうだ。
うむー、ライオンさんはアッチの方もお強いご様子で。羨ましい。
私なんか・・
いや、、ここで私のアッチの話を赤裸々に大公開する必要も無いか。一応まだ嫁入り前ですからね。
子育ては親が育て上げるのでは無く、群れ全員で面倒を見るという、珍しい形態のようだ。
体重は200キロオーバー。同じ猫科のヒョウやチーターが約50キロ程度と言うから、あまりの体格差に驚いてしまった。
しかし体長が約2メートルで、体重が200キロオーバー。
人間の物差しでは全く意味不明な、体長と体重のバランスだ。
ライオンはよくテレビで見るが、知らない事だらけですね。
ライオンはあまり足が早くないので、狩りはチームプレーで行う。
相手を捕えたら、爪や牙を使って動きを封じて、相手の喉元に噛み付き、窒息死or首の骨を噛み砕き、息の根を止めるらしい。
ここまでは想像通りだったが、ライオンにはもう一つ武器があった事は全く知らなかった。
その名も『ライオンパンチ』である。
可愛いネーミングとは裏腹に、草食動物の首を、豪腕一閃でへし折るという、恐怖の殺戮パンチである。
皆さんもライオンと対峙した際には、注意をして頂きたい。パンチだけに、ライオンは奥の手を持ってやすぜ。
ちなみに日本で一番有名なパンチと言えば、満場一致で『アンパンチ』が上がるだろう。
言わずと知れた、日本パン社会の頂点に君臨するパンキング、アンパンマンの必殺技だ。
不思議とアンパンチには癒しを感じてしまうのは、私だけだろうか。少なくともライオンパンチとは対極の位置に存在する、パンチと言えよう。
もし『アンパンチ』に『ライオンパンチ』ばりの殺戮性があったら大変だ。
殴られたバイキンマンも、『ハ〜ヒフ〜ヘホ〜』などと奇声を発しながら、空の彼方に飛んで行く暇もありゃしない。なんせ即死ですからね。
バイキンマンが殴り殺された日には、ドキンちゃんがバイキンマンの遺影を胸に、アンパンマンに対して『あの人を返してっ!!』などと、半狂乱で訴える姿が目に浮かぶ。
普段はバイキンマンに対して素っ気ない態度のドキンちゃん。きっと失って初めて、バイキンマンの存在の大きさに気が付く事だろう。古今東西、失って初めてその大切さに気が付くと、相場は決まっていますからね。
そうなったらもう子供向け番組では無く、二時間サスペンスになってしまう。
やはりアンパンチはあのぐらいでちょうどいいのだ。
ライオンネタのはずが、何故か『アンパンチはあのぐらいでちょうどいい』と言う結論に至ってしまった。話を元に戻さねば。
さらに調べた所、気になる事実を発見した。
『マサイ族の成人式はライオンを狩る。ライオンを仕留めて、初めて一人前のマサイ族。』
なんじゃそりゃ〜!!
いくら何でも、それはあんまりでは無いか?酷くは無いかい?
マサイ族では無く、ライオンの話だ。
ライオンもマサイ族を襲ったり、マサイ族の家畜を狙って、殺されるなら諦めもつくだろうが。そこは人間とは関係のないサバンナ、呑気に昼寝をかましていたら茂みの中から、『キエ〜』だか『クケ〜』やらの奇声を発しながら、マサイ族が襲ってくる訳だ。
ライオン達も『一年に一回、マサイ族が凶暴になる』と不思議がってるに違いない。
多分、マサイ族と言うからにはヤリか弓矢で仕留めるのだろう。
いくら何でも、正面からタイマンでは返り討ちにあってしまう。
きっと風下からそっと近づき、茂みに隠れて、見つかる前に一撃で仕留めねば、成人式がお葬式に早変わり。ご祝儀を包んだ直後に、香典まで包まされた日には、近隣住民からは大ブーイングだろう。
まぁ闇討ち、不意討ちの類ですな。
若いうちは『努力は実る』やら『頑張れば夢は叶う』やらの、青春根性が身についている物。だがそれは『理想』であり『現実』は違う物だ。
ライオンと対峙する事により、その現実を知るのだ。だからと言って、悲観的になれとも、腐れとも、言ってる訳ではない。正面から挑んでダメなら、不意討ち、闇討ち上等ではないか。
周りからは『汚い』やら『ズルい』などと言われ、後ろ指を刺されるかもしれない。だがそれは他人事だからこそ、みんな好き勝手な事、きれい事を並べてるに過ぎない。
実際にライオンと対峙してるのは自分。
理想を捨てる必要はない。ただ理想通りに行かない事だらけ、それが現実。
人は誰でも、必ずぶち当たる壁では無かろうか。ライオンに正面から挑むもよし、不意討ちでもよし、逃げるもよし、道は無限にあるのだ。
格好など気にせず、地べたに這いつくばってでもやらなきゃならない。
真に頼れるのは己。それを知る事が『自立』につながり、それこそが『大人』なのではないかと思う。
なーんて意味合いが、マサイ族の『ライオン狩り』にはある!っと私は勝手に睨んでおります。
ライオンからしてみれば、迷惑千万の話ですがね。
『百獣の王』なんて勝手に人が言ってる事。別にライオンはそんな物を目指してもないし、そんな称号を欲してもいないだろう。
ライオンはただ、普通に生きてるだけなのだ。