ライオン日和
初めまして、中森 狸と申します。これはただの珍妙なエッセイです。寛大な心で読まれる事を、切に願います。「こいつ、ただの馬鹿だな。」と思ってもらえれば、これ幸いです。読んだ方々の「時間の無駄だった。」と嘆かれる姿が、目に浮かびます。ただその無駄な時間のつながりが、私の人生かと思われます。それを胸に、のんびりと書いて行きます。よろしくお願いします。
ライオンに会いたい。
休日の朝に目覚めた時に、まだ半分は覚醒していない状態でそんな事を思った。
神のお告げと判断した私は早速、友人にアポを取りライオンを見に行く事にした。
車で二時間・・
目的地の富、、ここは実名は伏せるべきだな。F士サファリパークに到着した。
入場料を払い、早る気持ちを押さえつつ、いざ園内へ突入を開始した。
動物園と違って、サファリパークは自然に近い状態で観察出来るのが好きだ。しかし気を抜けば、自分自身も野生に戻りそうになってしまう、、気を付けねば。
まずは小腹が減ったので、サファリレストランで腹ごしらえ。
私と友人はサファリレストランだけに、『ライオンのタタキ』やら『ゾウの煮っころがし』があるのでは?などと夢膨らませて入店。
しかしメニューを見て愕然、、普通のカレーやら普通のラーメンやら。
あまりにも気落ちしてたせいか、店員さんには怪訝そうに見られる始末。しょうがないので普通のカレー&普通のラーメンをオーダー、、まぁ味まで普通でしたよ。
お通夜の様に静かに食事を終えた私たちは、本日のメインイベントのライオン観察に足取り重く向かいました。
サファリウォーク、
サファリパークの外側を歩いて、金網越しに観察&餌付けが出来る、心ときめく素敵なウォーク。
一周約4キロで、森の中を散策しながら楽しめるという、運動不足の私たちに有難いイベントだ。
そんな事になるとわ思わなんだから、私も友人もサンダル。靴のレンタルもあったが・・
友人が『これも修行』との一言に、私も『たしかに』と何故か容認。今思えば何で容認したかわからない、、サファリ効果恐るべしだ、うんうん。
サファリマップを片手にウォークスタート。
しかしサンダル効果により数分後にゃ足が痛みだし、元気一杯にはしゃいでる子供達を、恨めしそうに見る私達。
もう大自然を満喫する余裕も無くなり、一歩、、また一歩、、歩くだけで精一杯。歩調に合わせて歌う『森のくまさん』が、自己を認識出来る唯一の手段。
そうこうしてるうちに、目の前にライオンを型どったモニュメントが出現。どうやらライオンゾーンに入ったらしい。
消沈してたテンションも盛り返し、ライオンゾーンに向かう、
しかし近づくにつれてすげー臭い。『ライオン臭い』という日本語を初めて使った、記念すべき日になった。
そのライオン臭い場所を歩く事、数十秒、、ついにライオンが目前に出現。餌付けが出来るから客付きも上々。早速、可愛いライオンちゃんの観察スタートだ。
前言撤回、
可愛いじゃなくて、怖い。金網越しとは言え、数十センチ先で生肉を待っライオン、、もう目付きが完全にヤクザである。
そんな事を思ってたら、ライオン同士が喧嘩を始めて、、その恐ろしい事と言ったら、ゲゲゲの鬼太郎もビックリだろう。
猫科らしいが、猫とは別物ですな。
アフリカは凄いな。
きっと日本で言う『野良猫』感覚で『野良ライオン』がおるのだろう。
お魚くわえた ドラ猫〜 だったらサザエさんも追いかけるだろうが、さすがに『ドラライオン』だったら・・サザエさんも追いかけてる場合では無い。
きっとアフリカのお母さん達は、お魚くわえたドラライオンを、ホウキ片手に追いかけ回しているのだろう。
まったく、たかがゴキブリくらいでギャーギャー騒いでる、日本人にも見習ってもらいたいもんだ。
日本人は危機意識が低く平和ボケしてると思う、だがそれは実際に、日本が平和だからこそなのかも知れない。
これでいいのか?
良くは無いが、悪くも無いのかもしれない。
そんな事を考えていたら、目の前のライオンが私を見ながら、ヨダレをダラリと垂らした。
暑くて垂らしたのか・・
私を餌と認識して垂らしたのか・・
前者と願いたい。。
その時初めて蒸し暑い事に気が付いた。着ているTシャツも汗でグッショリと湿っている。私は持参したペットボトルのお茶を、グイッと一気に飲み干した。
そんな私をライオンはジッと見ている。しばし見つめ合う両雄、続く沈黙。
そして私はライオンゾーンを後にした。