でもなおのこと疑問なんですよねー
──その後、どうなったかというと。
「なあジャック?その立場でその発言、責任が伴うってわかってるよな?なぁ?」
「ヤホホホ、落ち着きたまえよキング。もちろん、分かっているとも」
──ということで。
「ふふふ〜ん♪ジャックさんと〜♪二人っきりで〜♪狩〜り♪狩〜〜り♪」
「ヤホホホ、カノン。あまり離れ過ぎないようにね?」
「ハーイ!」
──エリクサー五本分!500万ゴルドを稼いでこい!
「無茶苦茶なこと言いますよねー、キングさんも。早々稼げるものじゃないのに」
「ヤホホホ、まあそれで丸く収まるならいいじゃないか。ワタシとの狩りを楽しむついでに、とでも考えておけばいい」
「そうですね!」
輝かしい笑顔でニッコリ微笑む健康的な少女。
随分楽しそうでなによりだ、と思う。入りたての頃のオドオドした彼女とは比べ物にもならない。
「でもなんで怒られたんでしょう?」
「キングは効率重視な所があるからね。カノンのようなロマン重視とはなかなか意見が合わないんだろう」
「なるほど!さすがジャックさん!よく見てますね!」
いつものベタ褒めを笑って流す。彼女は私のことをかなり過大評価しているから、何の変哲もないことでも「スゴい!」と褒めてくれるのだ。別に本気にしている訳では無いが、“現実”では滅多に言われないことを言ってもらえるのは、やはり心が温まる。
──だから癒しなのだろう。
「でもなおのこと疑問なんですよねー」
「何がだい?」
少し晴れない顔でカノンは呟く。
「私達ってみんながみんな、その、こう…あぶれ者じゃないですか?」
「…ヤホホホ」
誤魔化すように笑うが、「騙されないぞ」と言わんばかりに彼女はじっと見つめてくる。回答する義務を強いられているようだ。仕方ない。
「……そうだね。“私達”は、あぶれ者、なんだろう」
──敢えてそういうメンバーを集めた。
「──ですよね?だから、気になるんです」
「どうして、キングさんは“普通”のキャラを選ばなかったんですか?」
秋風のような緩やかさが、カノンの銀糸の髪を撫でる。
瞳は答えを求めていた。はぐらかす訳にはいかない。
「…なに、簡単な話さ」
カボチャ頭の空洞の奥、青い炎を強く、そして静かに燃やして。
「────────────」
突風が吹く。私の紺色のステキマントを強く揺らし、彼女は耳元を抑え耐えた。
「──え、なんて?」
「…ヤホホホ、どうやら答えるなと言われてしまったようだね」
──またおいおい話すとしよう。
──えーっ!
そうしてまた、私達は歩き出した。
狩場はもうすぐ。早く行かないと、就寝時間が遅くなってしまう。
キングくんの秘密というカードはここで切るべきではないのダ!