本村さん ~3~
陸上部マネージャーの本村先輩の話です!
「うぅ~ん、ちょっと突っ張ってる感がある。足首の方。」
「あぁ・・・ちょっと、張り直すわ。」
「お願い。」
そう言って、柊君に施したテーピングを再度貼り直し始める。
私はその手際の良さに見惚れながら、
更には柊君がテーピングをしなくてはいけない状態であることを認識して、
思わず心配してしまい、
「・・・怪我してるの?」
「ええ、まだ完治はしてないんですよ足首。」
「・・・そんな状態で走って大丈夫なの?」
「まあ、こいつのテーピングがあるんで大丈夫だと思ってますよ。」
「そうそう、俺のテーピングあれば怪我も気にせず走れるからな!」
「・・・ちょっと褒め過ぎたかもしれないな・・・。」
「いやいや!もっと褒めてくれてもいんだぞ!!」
2人のやり取りを聞きながら、思うことは・・・
「・・・テーピングって大事?」
「そうですね・・・。なかったら僕は走ってないと思いますよ。」
まあだから、こいつには感謝してます。」
「・・・そういう人がいてもいいんだね。」
「?そう言う人がいなかったら、僕は走れないですよ。
表だって走る人の後ろには、それを支えてくれている人がいるんです。
支えてくれる人がいなければ僕は走れてないですよ。」
「・・・それって、私もできるかな?」
「出来るでしょう。
だって、こんな雪の中でも観に来るくらい陸上が好きなんでしょう?」
「・・・うん。」
「じゃあ、出来ると思いますよ。」
「・・・そっか・・・。」
私が無理に選手になる必要はなくって、支えに回るということもあるんだ・・・
「私・・・高校に入ったら、陸上部のマネージャーする。」
「いいと思いますよ。きっとできますよ。」
その言葉に私は大きな勇気をもらったのであった。
柊君と話しているとついつい思わず本音が出てしまい、
「今・・・高校をどこにするかを迷ってるの。」
「へぇ~、選べるってすごいですね!」
「・・・いやいや、全然凄くないんだ。
ギリギリの学校に行くか、それとも一つ落として楽な方に行くのか・・・。」
「それなら断然楽な方じゃないですか?」
「・・・え?」
「だって、そんなぎゅうぎゅうにされてたら、
息が詰まりそうじゃないですか!」
「・・・。」
「まあ、僕はどこでも勉強は出来ると思ってる質なんで、
どこでもいいかな~って感じですよ。」
「だけど、いい高校の方が・・・。」
「自慢できるって?」
「・・・う、うん・・・。」
「まあ、体面って気にしますよね~。」
「・・・。」
「だけど、自分の目的がどこかを考えればいいんですよ。」
「・・・え?」
「例えば、世界一の研究者になりたい!って目標があった場合に、
どうすればなれるかを考えるんです。
じゃあ、いい企業に入らないとダメかな?
それだといい大学に入って、ならそこの大学に入るにはここの高校にって決まってくるでしょう?」
「それはわかるけど・・・そんな夢が・・・私は思いつかないよ・・・。」
「そりゃ~、そうですよね!だって、まだ中学生ですし。
だったら、さっき言ってたように陸上部のマネージャーになりたいのなら、
陸上部があるところ、それとか陸上部強いところを選べばいいんじゃないですか?」
「・・・そっか・・・。」
「いま、二つで迷ってるなら、陸上部で選ぶのはありでしょう。
どっちを選んだにしろ、チャレンジしたことは決して無駄にはならないですからね。」
「・・・うん。」
「おぉ~い!柊!そろそろ最終コールかかるぞ!!」
「おう!じゃあ、応援してててくださいね!」
「あ、うん!」
その言葉を残してすぐに柊君は審判団のところへと向かって行ったのであった。
その後は、選手であるため近寄ることもできずに、
結局その後はお礼すら言うことはできなかったのであった。
それから私はネットで調べて、今の高校の陸上部が強豪校だと知って、
高校をこっちに決めたんだよな・・・
“陸上部のマネージャーになるため!”
決して、成績で諦めたわけじゃないっていう理由であるため
体面的にも恥ずかしいとは思わなくなっていたし・・・
このことを考えて、柊君は言ってくれたのかな・・・
しかし、我ながら、あの時は一つ下の子に進路の相談なんて・・・
ううう・・・、思い出しただけで顔から火が出そうになる。
そう言えば、他にも驚いたことがあったな・・・
駅伝が終わってから、柊君が来ていたユニフォームを見て、
どこの中学かが分かっていたので、ネットで調べてみると
名前がヒットしてこなかったのだ!
駅伝のメンバーになるくらいだから、
きっとそこそこ早いとおもったんだけどな・・・
残念に思っていたところで、
“ハードルで傷だらけ”
という言葉を思いだして、私は徐に“ハードル”、“柊”、“○○中”で検索をしてみると
すぐに出るは出るは・・・
・・・
地元ではちょっとしたスーパースターじゃないかって成績に驚かされるのであった!!
何でそんな子が駅伝に出てるのよ!?
思わず部屋で叫んでしまったのを思い出す!
そして、その叫び声が一階にいた両親にまで届いており、
駆けあがってきてくれたのをおもいだすと
また顔から火がでそうになったのであった・・・
そんなに私が大声出したのに驚かなくてもいいのに・・・
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




