本村さん ~1~
陸上部マネージャーの本村先輩の話です!
「・・・家に忘れてきました・・・。」
今日は1年生の中で、数人が初の試合に出る日である。
私はマネージャーとして、1年生数人分のユニフォームを準備して持ってきていたのだが、
大事なものを私は家に忘れて来ていた・・・・
“ゼッケン”
これがないと試合に出ることが出来ないのである。
ユニフォームは同じ学校のメンバーに借りればいいが、
ゼッケンだけに関してはそんなわけにはいかないのだ。
それぞれ固有の番号を割り振られているため
借りることもできないのである・・・
昨日、私の家に持って帰り、家でそれぞれのゼッケンに安全ピンを準備していたのだが、
そのまま家の私の机の上に置いてきてしまった・・・
「ど、どうしよう・・・。」
途方に暮れている私に、周りのみんなが
なんて声をかけたらいいのか迷うような状況である。
ゼッケンがないと試合に出れない!!
ここまで一生懸命練習してきた人達に大変申し訳ない!!
私のミスで試合に出れないなんて!!
しかも今日は一番大きな大会のインターハイ予選である!!
これに出れないなんてありえない!!
私のせいだ!!!
私はすぐにみんなに、
「今から、取りに帰ります!!」
そう宣言する。
往復で、早ければ2時間で返ってこれるはず!!
ギリギリだけど1年生たちの出場する試合には間にあう!!
そう決意した時に、
「本村先輩の家って、僕の家のすぐ傍でしたよね?」
柊君が私に尋ねてくる。
「あ、うん・・・。」
「じゃあ、知り合いに取りに行ってもらって、
ここまで届けてもらうようにしますよ。」
そう言って、電話を掛け始めた柊君。
すぐに相手が出たようで、用件を話始めると、
「OKみたいです。
本村先輩、本村先輩の家に今って誰かいますか?」
「あ、お母さんはいるけど・・・。」
「じゃあ、お母さんに言ってもらっていいですか?
ちょっとヤンキーがゼッケンを取りに行くけど、怖くないんでって。」
その柊君の声が聞こえていたのだろう、
「おまえ!?誰がヤンキーだ!誰が!!」
・・・まさにヤンキーのような怒鳴り声と言い方だ・・・
これは・・・お母さんに伝えた方がいいな・・・
「う、うん・・・。」
「宜しくお願いしますね。」
そう言って、柊君は私が教えた住所をその人に教える。
その間に私はお母さんに電話して、
「あんた!!また人様に迷惑をかけて!!!」
それからしばらく説教を受けるハメになったのだが・・・
その説教もすぐに終わって、
「あら?そのヤンキーさんが取りに来たみたいね~。」
そう言って電話を切るのであった。
その後、母からそのヤンキーさんにゼッケンを渡したと連絡が来て、
私はホッとしたのであった。
「受け取りとかは、やっておきますんで、
本村先輩は別の仕事しててください。」
「え、でも・・・。」
「大丈夫ですよ!
それにあとは待つだけですからね~。
ゼッケンは今日試合に出る一年生の分ですよね?」
「う、うん・・・。」
「了解しました!どうせ30分もすれば奴なら来ますって!
こっちは気にせずに仕事してください!
何なら手伝いましょうか?」
「いやいや!
さすがに今日試合に出る人に手伝いなんてさせれるわけないじゃん!!」
「そうですか?今日なんて、何本か走れば終わりですからね、
そんなに大変だとは思ってないんですけど。」
「そ、それでもやっぱり・・・。」
そこまで言いかけたところで、
「おい本村!車まで道具を取りに来てくれ!」
顧問の先生が到着して、私に荷物を取りに来るように言ってきたのであった。
私は言われるがままに車へと向かうのだが・・・
「どうして柊君も来るの?」
「だって、どうあがいても本村先輩一人じゃ無理でしょう?」
「それは・・・そうだけど・・・。」
「別にそんなことをしたくらいで試合で負けるようなことないんですから
気にする必要はないですよ。」
「だ、だけど・・・。」
「はい!決まり!!じゃあ、行きますよ!」
「わ、分かったから!走らないで!!私、足遅いんだって!!」
柊君は軽く走っているつもりなのだろうけど、
私にとっては全力も全力である。
しかもそれでぐんぐん差をつけられる始末である・・・
・・・はぁ~、私って本当に運動神経がないな・・・
その後、先生の車まで付く前に、
柊君が荷物を抱えてこっちにむかってきていたのだが、
「ちょっと柊君!?」
柊君は、いっぺんにすべての荷物を抱えていたのであった!!
「・・・さすがにこれだけあると重いですね・・。」
思いっきり肩で息をしながら歩く柊君。
すぐにいくつかの荷物を受け取るのだが、
圧倒的に柊君が荷物を持っており、全然役に立ててはいなかった・・・
「ふ~・・・これで一回で済みましたね。」
無事に荷物をみんながいるところまで運ぶことが出来た。
「う、うん・・・ありが・。」
お礼の言葉を言おうとしたところで、柊君の携帯が鳴りだして、
「え!?もう着いたの!?早過ぎだろう!?」
そう言って、また走ってどこかへと行くのであった。
・・・お礼、言えなかったな・・・
また・・・
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




