平田くんと山口さん ~1~
勘違いの後輩平田君の話です!
そして可哀想な幼馴染の山口さんも出てきます。
俺はいつもどんな時でも優雅に歩くことを忘れない。
なぜかって?
せこせこと歩いたり、走ったりしたら・・・
せっかくセットした髪型とこの制服の着こなしが駄目になってしまうじゃないか!!
まあ、陸上部入っているので、どうしても練習後には
どうしても乱れてはしまうのだが、
その時用に部室には全身鏡を置いてるし、髪型を整えるための整髪料もバッチリと準備している。
どうにかして全力走っても髪型、服装が崩れないようにできないものかな?
家を出てるといつも感じるのだが、
俺は常に見られている・・・
街を歩けば女子達はもちろん、男性も俺のかっこ良さに目を奪われている。
その証拠にいつも俺がすれ違う時には俺の方を見る人がいる!!
今朝のことだが、いつものように通学のため
最寄りの電車の駅まで歩いて行く途中、
俺を見るなり女子高生が、
「きゃぁ!?」
短い悲鳴を上げるのであった!
しかも赤い顔をしてまでも俺を見続ける女子高生・・・
・・・
もしかして・・・
一目惚れをさせてしまったか・・・
だが、中の下くらいのスペックの女子では俺とは付き合えないよ。
俺は全人類の男の中で、上の上にはいる男だからな!
ごめんね、自分にあった相応の相手を見つけることをお勧めするよ・・・
そう心の中でつぶやきながら、
俺を見つめていた女の子の横を通り過ぎたのだ。
その後も電車の駅に向かうまでに色んな人に出会う。
するとすれ違う人、すれ違う人が俺を見て、
驚きの表情を浮かべてくるのである。
今日は確かに髪型が理想のセットが出来たし、
肌のノリが良かったのか、制服の着こなしも完璧だ!!
・・・そっか・・・俺が完璧だとこんなに人の注目を集めてしまうのか!!!
まあ、みんなにとっては素敵な男が見れて、
きっと最高の日になっただろう!
俺に感謝しろ!!
みんなにとって最高の一日にした俺に!!
「はぁ~・・・・。」
私は深いため息をつく。
目の前には私の幼馴染である、
“平田 (きちがい)”
が、歩いているからである。
幼稚園の時から一緒で、なんで高校まで一緒にならないといけないのか・・・
しかも!たらたらと歩いているせいで、すぐに私が追いついてしまうのだ。
・・・横に並んだら、絶対にあいつは私に話しかけてくるからな・・・
朝から平田と話をする何ってそんな苦痛の一日なんて、
人生での最も最悪な一日の候補にあがることは間違いない!!
このまま無難にあいつに気づかれずに、
話しかけられないようにゆっくりと歩いて行くしかないな・・・
「はぁ~・・・・。」
そんなことを考えるだけで、また不快ため息が出来るのであった・・・・
何で朝から平田のことを考えなきゃいけないのよ!!
私も平田に合わせてゆっくり歩いていると
前を歩く平田に対して、なぜかすれ違う人みんなが視線を送っているのに気づいた。
何で?
素朴な疑問。
平田の意見では、俺のカッコよさがうんたらかんたら言うんだろうけど、
あんたの容姿は中の中がいいところだから!
ザ!平凡!!
それに加えて内面を評価項目にいれようものなら、
下の下にだだ下がりよ!!
・・・は!!
思わず、平田のことを考えただけで、不平不満が次々に出てきてしまった!
ダメ!あいつの考えるだけで時間の無駄遣い!!
意識を取りも出して、前を歩く平田へと視線を向ける。
・・・
やっぱり今日はなぜかみんなが平田に視線を送ってる!
どうしてだろうと視線を送った人達の視線を追うと
不自然なくらいに下に視線を落としていた・・・
ズボン?
別に変じゃない・・・
靴?
も別に変じゃない・・・
・・・
もしかして・・・・
はぁ~・・・覚悟を決めるか・・・
「おはよう。」
私は平田に追いついて、挨拶をする。
すると平田はクルリとターンをするようにこちらに体ごと向けて、
「おはよう、山口!いい朝だね。」
・・・今日は3割増しぐらいでウザい顔をしている。
それに体ごとこっちを向ける必要はなくないか?
とりあえず、こっちを見る顔が気持ち悪いので、
前を向いて返事だけをしてもらいたい・・・
・・・とっとと用事を済ませてすぐにでも離れたい・・・
そう決意するとすぐに用事をすませるため私は視線を下に向ける。
やっぱり・・・
しかも想定していたよりもひどいし・・・
「平田・・・社会の窓が開いて、
ポケモン柄のパンツがはみ出てるんだけど。」
「え!?」
すぐに自分の下腹部を確認する平田。
「なぁ!?」
どうやら自分で自分がどういう格好をしているのかを理解したようだ。
はみ出ているパンツをすぐにひっこめて、社会の窓のジッパーを上げる。
そこまでは素早かったのだが、その後いきなりその場で停止するのである。
その年でポケモン柄のパンツを履いていることに恥じらいをやっと覚えたか?
それとも社会の窓が前回の俺ってかっこいいっていう
訳の分からないことに気づいたとかいいたいんだろうか?
「?平田、早くしないと電車来るわよ?」
だけど、私の声にいっこうに反応を示さない平田。
駅までもう少し歩かねばならないのに、
電車の来る時間が刻一刻と近づいてい来ていた。
そのためもう一度、
「ちょっと!平田!!」
そう言うとやっと動き出したかと思うと、
「おはよう、山口!いい朝だね。」
・・・
こいつ・・・
ここまでのことをなかったことにしやがったな・・・
「平田、いくらなかったことにしても、
現実自分が失態を犯したことは何も変わんないんだよ。
なかったことにするくらいなら、これから気をつけるように反省しなよ。」
「何を言っているかちょっとわかんないな。」
「・・・私はあんたが何を言っているのかがわかんないわよ・・・
ああそう、じゃあ、次同じことがあっても絶対に教えないからね。」
「ふ!俺に失敗何ってない!!」
だめだ・・・こいつに何を言ってもダメだ・・・
私は平田に対する用件は終えたので、
そのまま平田から足早に駅を目指すのであった。
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




