鳥谷(妹)さん ~8~
カミングアウト!!
俺は実田大学に見事に受かって、明日東京へと旅立つ。
それで今日は最後の晩餐ということで、
家で母親と妹が作るご飯を食べることになっている。
今は俺はリビングで料理が出来上がるのを待っていて、
父親が目の前にいる。
「無事に合格できてよかったな。」
「本当に・・・おやじ、受からずに別の大学に行ったら、
入学金や授業料って払わなかっただろう?」
「当然だ。というか、他の大学にいかせるつもりすらなかったからな。
少なくとも一年は浪人させるつもりだった。」
「・・・その後は?」
「一年勉強して駄目だったら、もうお前には見切りをつけるだけだ。」
「・・・あぶね~。」
おやじの目は本気であり、本気でやるつもりだったのだろう。
そんなに実田大学に行かせたかったのか・・・
「それよりも住むところのことなんだけど・・・。」
「不満か?」
「いや、まったく不満じゃない。
というか、疑問しかわかないんだよ・・。」
「何がだ?」
「だって、1人暮らしをするのに、2LDKはいくら何でもおかしくないか?」
「問題ない。」
「いやいや!問題だらけだろう!?
俺一人で暮らすには広すぎるし!!」
俺の言葉におやじが反応する前に、なぜか妹が反応してきて、
「大丈夫です!
あと二年後には私も行きますから。」
「・・・は?」
「そうだぞ、2人で暮らすのなら、それぞれの部屋が必要だろう?」
あ・・・なるほど・・・
「って、ちょっとまて!!何で妹と俺が2人で暮らすことになってんだよ!!」
「大丈夫です、お兄様。私、後二年のうちにしっかりと炊事洗濯をしっかりと
お母さんから習っておきますので、いつでも鳥谷家の味を食べれるようにしておきます。」
「・・・いや、そんな心配はしていないぞ・・・。」
「・・・あ・・・その・・・それの準備ももちろん・・・・。」
「それこそちょっとまて!!
その心配は本当に何もしていないからな!!
全くしてない!!」
「・・・お前は不能か?」
「おやじ!!いったい何をぶっこんで来た!?
何でここでいきなり不能の話になるんだ!!!」
「こんな可愛い妹に言い寄られて出来ないのなら、不能かと思ってな。」
「いや、不能じゃないからな?」
「・・・もうすでに実践済みか?」
そのおやじの言葉に妹がありありとしたショックを受けた表情をする。
「ちょっとまて!まだ・・・経験はしてないからな。」
俺の言葉を聞いて凄い満面の笑みを浮かべてくる妹。
「良かったです・・・。お兄様の初めてはすべてこの身でお受けします。」
「そんな決意はいらんから!」
「まあ、避妊だけはしろよ。」
「おやじ、そんな忠告はいらない!!
他にもっと言うべきことがあるだろうに!!
それに以前は妹に手をだすなっていってただろう!?」
「アレはまだまだ幼いんだから当然だ。
だが、大学に行く時には18歳・・・もう大人だ・・・
それなら自分が選んだ道なら、俺が止めることはない。」
「いや、それは止めてくれ!!全力で止めてくれ!」
そんなことを話しているタイミングでどんどん料理が出来上がってきたようで、
おかんが料理を盛ってきながら、
「はいはい、まずは温かいうちに料理を食べてください。
話も料理を食べながらすればいいでしょう。」
「そうだな。せっかくの料理は温かいうちに食べよう。」
「いや、料理よりも大事な話をしているんだけど・・・。」
だけど、この家族はもうなにを言っても俺の言葉は聞かないだろう。
俺は渋々ながら料理を食べる。
「大体妹にもいきたいところややりたいこともあるだろうに・・・。」
「いいえ、お兄様!
私のやりたいことはお兄様のお世話をしたいだけです。
そして行きたいところはお兄様のいるところです。
ですから、2年後は私は実田大学を受けるつもりです。」
「他にもいい大学はいっぱいあるぞ?
それに両親も実の妹には傍にいて欲しいだろうに?」
「可愛い子供には旅をさせろというからな。
「そうね~、それに彼女が実田大学に行きたいというのなら、
それを止めることを私はしないわよ。」
「いやいや、止めようよ!
だいたい目的が不純すぎるだろう?
俺と一緒にいたいからって理由で実田大学を受けるか?」
「理由がどうであれ、理由があうということは頑張る目標になるだ。
そして、その目標があるからこそ頑張るんだぞ。」
「言葉自体はいい言葉だけど・・・
その目標があまりに不純すぎて・・・。」
「お兄様、手が止まっておりますよ。
料理の味はいかがですか?」
「ああ・・・美味しいよ。
・・・これも今日でしばらく食べ納めだな。」
「大丈夫です!ゴールデンウイークはそちらに遊びに行きますので、
料理をしますわ。」
「ちょっとまて!陸上部があるだろうに!!」
「・・・え?あ、大丈夫です!
体調不良で数日休む予定ですから。」
ニッコリと微笑むのだが、
「いやいや、それは大丈夫じゃないだろう!!
何で先の未来のことなのに、体調が悪くなることになってるんだよ!!
しっかりと部活はやるんじゃなかったのか?」
「?あの時は、その時になって考えると言っていたじゃないですか。
だから、その時が来たので今考えているんです。」
ダメだ・・・
何を言ってもたぶん妹の意見は代わることはないだろう・・・
それに両親も妹が来ることに賛成だ・・・
しかも父親の方はあわよくばを狙っている・・・
どんな倫理観をしているおやじなんだろうか!?
それなら・・・
俺はあることを言わなくてはならないな・・・
「みんな、聞いてくれ・・・。」
神妙な面持ちをする俺にみんなの視線が注がれる。
俺は・・・
覚悟を決めて、ある言葉を発する・・・
「俺・・・ゲイなんだ。」
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




