鳥谷(妹)さん ~2~
・・・ブラコン?
「体験入部が終わったけど、お前はどうするんだ?
マネージャーって大変じゃないか?」
「いいえ、お兄様のお役に立てる崇高なるお仕事ですので、
これからもしっかりと頑張っていきたいと思っております。」
「・・・そうか・・・。
だけど、俺もあと半年もすれば引退するんだぞ。
その後はどうするんだ?」
「・・・そんな先のことは考えられません。
今は、まずは目の前のことを一つ一つこなしていくので精一杯ですから。」
「・・・そうか・・・。」
「はい。そろそろ登校の時間ですよお兄様。
お忘れ物がないように確認してくださいね。」
「もう、そんな時間か・・・・。
というか、俺と一緒に登校しなくてもいいんだぞ?」
「お兄様と登校できるほどの幸せは他にないですから。」
「・・・そうか・・・。」
俺は残ったご飯を食べて、歯磨きをして、急いで準備をする。
妹はすでに準備を整えており、玄関で靴を履いて俺を待っているのであった・・・
まあ、小学校の時から一緒に登校していたので、
今更なのだが、それでも歳を重ねてきて、
お互いが一緒にいることへの恥じらいが出てくるかと思ったんだけどな・・・
松山にも妹がいるらしいのだが、
当然、松山がここの高校にいるから嫌だと言って、別の高校を選択した。
柊にも妹がいると聞いているが、同じ中学に通っているせいで、先生から兄と比べられて
散々な思いをしているためか、高校は絶対に別の高校を選ぶ!と宣言しているらしい。
・・・それが正常な兄妹だよな?
うちはちょっと・・・まあ、仲が悪いよりかはいいか・・・
ただ・・・
オカンからは、
「間違っても妹に手をだすんじゃないよ!!」
そう忠告されている・・・
誰がだすか!!!
妹はどこまでいっても妹でしかないんだからな!!!
俺の中では!!
というか、俺に注意するくらいなら、妹に注意をしろよ!!
と思っていると・・・
「毎日のように言っているけど・・・
伝わってる気がしないのよ・・・。」
・・・どうやら母の思い子に伝わらずのようだ・・・
「オトンはどう思ってるの?」
「あの人が、あの子に注意出来るわけないじゃない。
溺愛も溺愛よ・・・。」
「・・・そうですか・・・。」
俺にはやたらと厳しいのに、妹には激アマなのは今だに変わってないようだな・・・
昔の思いでが思い出される・・・
「どんな服でも買えばいい♪」
そういって、片っ端から服を買ってもらう妹・・・
俺の場合は、
「ランニングシャツと短パンがあれば十分だろ?」
そう言われて・・・
真冬もランニングと短パンで過ごしたんですけど!!!
死ぬから!
ほんとうに死ぬから!!
うちの地域、毎年雪が積もるんだけど!!
そんな中を俺はランニングと短パンで過ごしたんですけど!!
「子供は風の子元気な子。」
って、母親もいうけど!
普通に子供でも風邪ひきますから!!!
・・・よく生きてたよ俺・・・
中学の制服を初めて着た時には、
「制服って・・・いや、長袖ってこんなに暖かいんだ・・・。」
感動して涙が止まらなかったな・・・
台風の多い、この地域。
雨も風も強い中、登下校をするのだが、
俺の場合は当然迎え何ってくるわけがない。
どんな警報が出たとしても、
「帰ってこい!!」
オトンとオカンからそれ以外の言葉が聞かされたことはない。
だけど、妹の場合は違う。
「すぐに迎えに行くから!!」
そういって、何度オトンは仕事を有給で休んだことか・・・
オカンは免許を持っていないため車の運転ができないから
オトンが迎えに行くのは分かるけど・・・
あまりに差をつけすぎじゃないだろうか?
まあ、これは妹は可愛い女の子だから仕方がないと思う・・・。
あと一番気になるのがお小遣いの件である!
今の俺のお小遣いは月5000円!!
高校生はずっと5000円と言われている。
中学生の時は3000円だったので、
それから比べればずいぶんとアップした。
妹の方は・・・
中学時代は・・・
1万円!!!
・・・中学生でそんなに使うか?
俺、3000円でも余ってたのに・・・
ちなみに高校になると、妹のお小遣いは・・・
3万円!!!
どこかのサラリーマンのお小遣いと間違えてはいないだろうか?
高校一年生で3万円のおこづかいを貰うって・・・
ちなみに我が家では部活の費用は自分の小遣いから
出すように高校から言われた。
そうなるとさすがに5000円では苦しくて、
中学の時の貯金やお年玉から出していたのだが・・・
「お兄様、こちらを。」
そう言って、俺が買おうとしていた部活の道具を妹が買ってくれるのであった・・・
・・・何って兄思いな妹なんだろうか・・・
だけど、それはさすがに悪いと思って、
「いや、これは悪いわ!お金払うよ!」
そう言うのだが、
「私はお兄様の走る姿が見たいのです。
だから、その姿を見せてくれませんか?」
そういって、俺にウルウルとした目をしてくる妹の申し出を無下にできずに
今、俺は妹に養ってもらっているのであった・・・
「お兄様!登校の時間ですよ!」
おおっと、ちょっと思い出にふけってしまったようだ。
俺は慌てて1階に下りて、玄関で待っている妹の傍に駆け寄る。
「じゃあ、行くか。」
「はい!」
嬉しそうに、はち切れないばかりの笑顔で俺に返事をしてくれる妹。
「お兄様、途中でお腹がすくと思いますので、
私、おにぎりを握りましたので。」
そういって、俺におにぎりを渡してくれる妹・・・
「ありがとう、わざわざすまないな。」
「いいえ、これも妹の務めですから。」
・・・いい妹だと思うけど・・・
思うけどさ・・・
ちょっと重くはしませんかね?
っていうか、明らかに兄妹愛を超えてる気がしますけど!!!
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




