東原くん ~4~
誤解はなかなか解けません!
「まあ、八木が柊のことが嫌いなのは分かったけど、
俺は別に柊と一緒にいて実被害があるわけじゃないからな。」
「あるじゃないか!!
こんな理不尽なことをする柊と一緒にいる何って、
お前の良心を疑うぞ!!」
・・・俺はお前の頭を疑いたいよ・・・
こいつに何を言っても無駄だろうな・・・
そう思って、俺は今後こいつとは距離を置くようにしたのだが・・・
それからしばらくすると、
「良かったな、東原?」
練習を終えて自主練習をしている時、
バスケ部の先輩が俺に声をかけてきた。
「どうしたんですか?」
「お前、八木にガッツリと嫌われてるぞ。」
「・・・はぁ?」
俺は先輩の言葉に呆然とする。
ただ、思い当たる節はある!
それは今でも柊と仲良くしていることだ!
「柊と一緒にいるからですか?」
「いや、違うぞ。」
「え!?・・・じゃあ、なんですか?」
「お前、この間の試合活躍しだろう?
うちで最多得点を挙げて、1人だけ一年生ながらに試合に出てただろう?」
・・・
まさか・・・
「・・・え?まさか、俺が試合に出たことにですか?」
「そうそう。一年生でお前だけが出たことが気に入らないらしい。
しかも彼女が試合を観に来てたらしいんだが、
そこで活躍していたのを彼女が見てて、
お前をほめたことが気に入らないらしいぞ。」
「・・・俺にどうせーちゅうんですかね・・・。」
「あはははは、お前の代にはめんどくさい奴がいて、
ホント同情するわ。」
そう言いながら、去っていく先輩に何とかしてほしいと思ってしまうのであった。
ちなみにこの日から俺は八木からの無視をされるようになったのは言うまでもない・・・
まあ、こいつとは何をやってもうまく行かないだろうから
別にいいんだけどね・・・
それは1年生の3学期期末テストのことであった。
うちの学校の無慈悲なところが一つある。
それは赤点を取ると追試等なしで、留年させられてしまうことだ。
先輩に聞いたところ、卒業する時には1割ぐらいが留年して、
更には留年した生徒が通信高校へと言ってしまうと聞いていた。
そんな中で・・・
「なあ、東原。」
急に今まで無視していた八木が俺に話かけてきたのである。
「・・・何だ?」
教室でこいつが話しかけてる何って珍しいな?
何より・・・
目の前に柊がいる時に話しかけてくるのが珍しい。
「お前・・・自分だけ柊から勉強教わってるのズルくないか?」
「・・・は?」
俺は八木の発言に呆然としてしまう。
「俺達は留年かかってるのに・・・汚いだろう!!」
突然の言いがかりに固まってしまう。
周りのクラスメイト達も何事かとこちらを向くのだが、
八木の発言が全く的を得ていないためか、
鳩が豆鉄砲を食ったような感じになっていた。
「別に俺は誰にでも教えてるけどね。
東原だけってわけではないよ。」
「・・・上から目線で・・・。」
柊の言葉に舌打ちをする八木。
・・・こいつってこんなにおかしな奴だったんだろうか?
「上から目線でもないし、どうでもいいけど・・・。
何か勉強を教えった方がいいの?」
「お前なんかに教えてもらいたくないわ!!
どうせ、先生から出るところを教えて貰ってるんだろう?
汚い手で成績を上げてる奴に教えて貰う気はないわ。」
「・・・言いがかりもそれくらいにしとけよ。
根拠もないことをベラベラと憶測で言ってんじゃねえよ。」
「じゃあ、なんで俺と同じくらいだった東原がここまで成績上がってんだよ!!
ズルしないと上がる分けねえだろう!!」
・・・八木から見たら、俺ってそういう風に見られていたのか・・・
するとその言葉に柊の堪忍袋の緒が切れたのだろう。
立ち上がったと思ったら、八木の胸倉をつかんで、
「人の努力した結果にケチ付けてんじゃねえよ。」
そう言って、手を離した柊だったが、
「ほらみろ!!お前の本性何ってそんなもんだろう!!
暴力で何事も解決できると思うなよ!
今のは先生に言いつけてやるからな!
ここにいるみんなが証人だ!!」
そう言って、職員室へと向かう八木。
「・・・柊・・・。」
思わず柊の心配をしてしまう。
こいつは俺のために怒ってくれたのだから・・・
「まあ、気にするなよ。とりあえず勉強しようぜ。」
何事もなかったかのようにまた勉強を始める柊。
周りのクラスメイト達の方が慌てていた。
すぐに先生が来て、柊をどこかへと連れていく中、
担任がみんなにどうしてこんなことが起きたのかを聞いてきた。
「八木君が言いがかりを東原君につけてきたんです。」
先生の問いにまず第一声に応えたのは後谷さんであった。
全然柊君に落ち度がないと主張して、
それにクラスメイト達も同意していく。
まあ、一部の人間は同意しなかったものもいたのだが・・・
「柊の人気ってすごいな・・・。」
俺の言葉に後谷さんが、
「そうだねー。さっきのやり取りだってカッコよかったしね。」
「そりゃそうだな~。あれやられたら・・・惚れてるわ。」
その発言に生暖かい目を向けてくる後谷さん。
・・・
あれ?
もしかして・・・
「・・・私は・・・男性同士の恋愛は認めてるからね。」
「いやいや!そんなことないからな!!」
「大丈夫!大丈夫だから!!」
「いや、ほんとうに!頼むからその誤解を・・・。」
慌てて後谷さんが受けた誤解を解こうとするのだが、
「皆までいうな!大丈夫!・・・私は・・・いいと思う。」
・・・なんだか後谷さん・・・カッコイイな・・・
って!違うから!!
「決して男色家じゃないからな!!」
「そっか・・・学年一のイケメンは・・・。」
「だから!!違うって!!」
親指を立てていなくなる後谷さん。
彼女の誤解は結局高校生活で解くことはできなかったのであった・・・
柊とは1年生の時に同じクラスになったきりで、
2、3年生では違うクラスとなったのだが、
なぜか後谷さんとはずっと3年間一緒のクラスになり・・・
ずっと・・・
誤解が解けることはなかったのであった・・・
「東原!教科書貸してくれ!」
柊が教科書を借りに来た時の菩薩のような顔で俺達を見るのをやめてくれ!!
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




