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柊君へ ~Another Story~  作者: Taさん
第二章
59/201

後谷さん ~3~

後谷さんの話です!

その10分後に戻ってきた2人であったが、

自信満々の東原君に対して、ため息をつく柊君。


「後谷さん、柊との話し合った結果、

 俺と柊で別々に後谷さんが気にいると思われるパンを

 用意したから、好きな方を選んでよ!!」


嬉しそうな東原君。

気がつけば2人の勝負になっていた。



「まずは俺からで。」


そう言って私に差し出してくれたのは、

“マンハッタン”と言われるチョコレートがかかった

サクサク生地のドーナツであった。


「あ!私、これ好きなんだよー!!」


週一で自分のご褒美で食べているパンを持ってきてもらえるとは

思っておらず喜んでしまう。


「な、なんだって!?・・・さては柊、お前・・・後谷さんのストーカーだな?」


「ちょっとまて!人聞きがめちゃめちゃ悪いからな!

 俺は美味しそうなパンを選んだの!

 このパンは人気ですぐになくなるのを知っていたから選んだんだって!」


「そういって、逐一後谷さんをチェックして・・・。」


「邪推をするな!!」


柊君と東原君のやり取りに思わず笑っていると、


「さてさて、じゃあ、俺からの提案は・・・これだ!!」


そういって、私に差し出してきたのは・・・


ハンバーグが二枚入っているパンであった!


まあ、そこまでは許容範囲なんだけど・・・


“ガーニック入”


これは・・・ちょっと許容できないかな・・・


「ガーリックはちょっと・・・。」


思わずこぼれた言葉に柊君は大爆笑しながら、


「ほら!女子には不評だって!!」


「なぁ!?ガーリックうめーじゃん!」


「うまいかもしれないけど臭いがきになるだろうに!」


「えー!?そんなの気にしなきゃいいのに~。」


「お前は気にしなくても、女子は気にするは!」


結局は、今回のパンはおごりとなった。

一応は柊君のを選んだのだが・・・



「ところで、東原君は何のパンを買ってきたの?」


私の質問に嬉しそうに、


「これ♪」


そういって、見せてくれたのが・・・


コッペパン6本入りだった・・・


「え?」


思わず驚くと、


「これ、中に切れ目があって、ホットドックに使えるんだよ~。」


「え?けど・・・ウインナーとかは入ってないんだよね?」


今、東原君が食べているのはコッペパンであって、

ホットドックではない・・・


「大丈夫・・・


 俺のイメージの中では入ってるから。」


「イメージ!?」


私が驚く中、柊君は大声で笑うのであった。


「なに?そんなに変かな?」


「・・・変だと思うよ・・・。」


そりゃ~、ホットドックで言い張って、コッペパンを食べてたらおかしいはずだ。

私も思わず笑ってしまったのだから。




その後は午前中の授業を受けて、ついにお昼休みになった・・・


当然・・・


私が入る輪はそこにはなかった・・・


そんな時だった、


「後谷さん、こっちにおいで。」


何と私に声をかけてくれのは柊君であった。

柊君の前の席には東原君が座って、お弁当を広げている。


「・・・食堂じゃないんだ?」


「今日は俺も東原もお弁当だったから。」


そういって、柊君もお弁当を広げる。

ただ、私が広げてもいいようにスペースを開けてである。


「・・・いいの?」


「むしろこっちだろう。

 俺みたいなイケメンで爽やかなら、食事も一緒にしても楽しいけど、

 柊みたいなヤンキー上がりだと飯もまずくなるだろう?」


今度は東原君が私に声をかけてくれるのであった。

東原君も私が座れるようにとイスを隣から持ってきて、準備してくれたいた・・・。


嬉しくて涙が出そうになっていた・・・


「あめちゃん食べる?」


「大阪のおばちゃんかよ!

 しかも食事の前に出すな!!

 せめてご飯を食べてから進めろ!」


東原君が飴を渡しに渡そうとしてくれて、

それに柊君が突っ込んで・・・


たぶん私を笑わそうとしてくれているのだろう・・・


私が泣いているのがバレたんだな・・・


呆然とお弁当を持って立っていた私からお弁当を取って

机の上においてくれた柊君。


私がおずおずとイスに座ると、


「・・・ちぃ!」


舌打ちがある方向から聞こえて来たのであった。

当然舌打ちをしたのは・・・


「っていうか、なんでもうお弁当食べ終わろうとしてんだよ、東原。」


その声に私を思わず顔を上げる。

するとすでにお弁当のほとんど平らげている東原君がいた。


「はや!?」


思わずそんな声が漏れてしまうのであった。


「ほらみろ!みんなから見ても早いんだって!」


「馬鹿!急いで食べないと無くなるかもしれないだろう!」


「ここは学校だっての!何で学校でなくなるんだよ弁当が!!」


「そうだった!家だとさ、3兄弟だから一気におかずが無くなっていくんだよね。

 だから、急いでたべないと!って思っちゃうわけよ。」


そんなことを話している東原君達、まるで先ほどの舌打ちが聞こえてないようだ。

というか、聞こえてるけどあえて無視しているのだろう。


本当にこの人達は優しいよ・・・


ただ、それも許せない人がいる。


「・・・男に媚うってんじゃねえよ。」


今度は先ほどよりも小さくもなく、確実に教室内で聞こえる声量であった。

そして、その声を聴いたクラスメイトたちは一瞬で静まり返るのであった。


そんな中で、第一声を上げたのは、


「くそくだらん、いじめをやってる奴がどの口で言ってんだよ。」


クラス内に柊君の声が響き渡る。

その声を向けたのは須藤さんに対してだ・・・


「口が悪いな~、柊は。いじめとかじゃないかもしれないだろう?」


そこでフォローをするのが東原君であった。


ただ、目元はまったく笑っておらず、

須藤さんグループへと視線を投げかけていたのであった。



「ねえ、一緒に食べもいい?」


そんな時に、私達の席のところに声をかけてきたのが、


伊東さんと片山さんだった。


柊君派!?


「いいよ。」


柊君は笑顔で迎え入れて、東原君は、


「・・・ご飯が喉を通らなくなるかも・・・。」


東原君は伊東さんとは同じ中学校出身であり、

伊東さんの武勇伝をかなり詳しく知っているようで

若干怯えていたのである。


「ああ・・・それは私に見惚れて?」


ニッコリと微笑む伊東さんであったが、

その笑みがこんなに恐ろしいとは思ってもみなかった・・・


美人の笑みがこんなに心臓に悪いとは・・・


「お、おっしゃる通りです!!」


今にも敬礼をしそうになる東原君。

伊東さん達も自分の席を持ってきて、私の横に伊東さんがきて、

反対側には片山さんが座った。


「後谷って料理部だったよね?このお弁当はもしかして手作り?」


「ううん、自分で朝起きて作ってるよ。」


「えらいね!!」


たぶん、私が伊東さんと話したのはこれが最初である。

入学して数ヶ月が経過しているにもかかわらず。


その後も気を使ってくれて、話してくれる伊東さん。

お弁当食べ終えてもお菓子を分けてくれて5人で食べていると、



「あぁ~!ずるい!私にも頂戴よー、伊東!」


そう言いながら、私達の席に近づいてきたのは東屋さん達であった。

彼女達はどうやら学食に行っていたようだ。


「いいわよ。」


そう言って、伊東さんからお菓子を受け取りながら、

私の方をジッと見てくる東屋さんに、


「たまには私達と一緒に食べるのもいいじゃない。

 同じクラスメイトなんだしね。」


伊東さんがそんな風に東屋さんに説明してくれるのであった。

それですべてを察してくれたようで、


「そうだね。色んな人と交流することはイイことだよね~。」


そんな風に言いながら、伊東さんにガムを渡したと思ったら、


「食べなよ、後谷さん。」


そういって、ガムを渡していたのであった。


「あ、ありがとう。」


つい言葉がどもってしまったのだが、


「ぷぷ!ビビられてやんの!!」


東原君が指をさして東屋さんを笑うのであった。


「何でよ!!私、何にもしてないじゃなん!」


「怖いんじゃない。」


今度は伊東さんもそんなことを言い出すのであった。

私はハラハラドキドキしていたのだが、みんなはゲラゲラと笑うのであった。


昨日の心配が嘘のような楽しい昼休みを過ごせたのであった。


気づいた点は追加・修正していきます。

拙い文章で申し訳ないです。

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