竹中さん ~15~
竹中さんの話です!
昨日、売店に行った時に、
「柊、明日のために制服ボタン30個ほど買っておいた方がいいよ。」
「はぁ?何でまた?」
「卒業式と言えばボタンを渡すのが礼儀でしょう?」
「・・・そんな礼儀は知らないけどね。」
「買っておいて損んは絶対にないんだから、買っておきなさいよ!!」
そういって、強引に買うのを進めていると、
「柊君はモテるんだから、50個くらい買った方がいいわよ。」
売店のお姉さんも柊に進めてくる。
「さすがに50個は多いんじゃ・・・。」
私の言葉に、
「そう?間違いなく取られると思うけどね?」
「・・・売りつけたいだけじゃないんですか?」
「そんな・・・ひどい・・・私は柊君のことを思って・・・。」
そういって、顔を伏せる売店のお姉さんに柊は冷静に、
「涙が出てませんよ・・・。」
「・・・バレた?」
そういって、ひょいっと顔をこちらに向けて舌をだすお姉さん。
「だけど、30個は買っておいたほういいって言うのには賛成だよ。」
そういって、5個入りの小袋を6個取り出すのであった。
そして何も言わずに袋に詰めていく。
「・・・分かりました。」
1500円のお代を渡して、
「まずは、ここで1個喪失よ!」
そう言って、柊の第二ボタンをすっと獲る売店のお姉さん!
「え!?」
「さあさあ、写真を撮りましょう!」
そういって、私にスマホを渡して、2人のツーショット写真を撮るのであった。
「卒業おめでとう!会えなくなるのはさみしいけど、頑張ってきてね!」
握手を交わして、ハグも交わすお姉さん。
ただ・・・
私とは一切しませんでしたけどね!!!
まったく油断も隙もあったもんじゃない!
「何か嵌められたような気がするけど・・・。」
そう言いながら柊は第二ボタンを補充する。
だけど・・・
「おお!わざわざありがとう!」
そういって、付けたばかりの第二ボタンを貰うのであった。
そしてお姉さんと同じように写真を撮る。
数枚撮って、1枚はボタンを咥えた状態で撮ったのだが・・・
「何かちょっとエロイな・・・。」
「ねえ・・・。」
今でも大切な思い出として保管しております。
「どうだった?補充しておいてよかったでしょう?」
告白を終えた柊とやっと会話が出来た。
まあ、こっちもあの後も数人から告白されたのだが・・・
「・・・ホントにね・・・。」
柊は苦笑しながら、ボタンをつけていた。
「あと何個残ってるの?」
「この5個と・・・予備は・・・4つか。」
すでに昨日買った予備30個+元々あった5個の合計35個から
9個まで減っているとは・・・
そんなことを言っている間にも
「柊!後輩が来てるぞ!!」
そういって、次の告白者が来るのであった。
結局、無事に戻ってきたにもかかわらず柊のボタンは
クラスメイトの女子から奪われて、残すところ3つとなっていた。
「・・・モテすぎじゃない?」
「ただ何となくってのもあると思うよ。」
「それもあるだけろうけど・・・。」
「それよりも竹中のポケットがパンパンになっているのはどうした?」
ボタンをみんから回収した?」
「いや・・・なんか、告白していった奴らが、勝手に置いていった・・・。
だから安心して、足りなくなったら補充できるよ。」
「・・・ちょっと嫌な思いがこもり過ぎてそうなので遠慮しておきます・・・。」
「そう言えば、ボタン入れていた袋ある?」
「ああ、ここに。」
そう言って柊からもらった袋にボタンを入れていく。
そして・・・
ごみ箱へと投入した。
「・・・・。」
何とも言えない顔で私を見てくるのだが、
私からすれば何の思いも入っていない品物なので捨てて当然だ。
柊のは・・・家で大切に保管しているけど・・・
結局、この後少し話して正門で写真を撮り終えると
私も部活のメンバーと柊も部活のメンバー&彼女と過ごすので別々となったのであった。
何か・・・卒業式には甘酸っぱい思い出が出来ると思ったのだけど、
意外と淡々と終わった気がするな~・・・。
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




