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柊君へ ~Another Story~  作者: Taさん
第一章
50/201

竹中さん ~10~

竹中さんの話です!

数十分後には警察が来て、おっさんは御用となったのだ。

私達は事情を聴くために近くの警察署に連れられて行かれた。


事情聴取を終えて、柊と合流した時に、


「怖くなかったの?」


私は同じ現場にいて、ただただ震えることしかできなかった。

なのに柊は淡々と相手を取り押さえていたのだ。


「怖いにきまってるじゃん!」


笑いながら柊は言うのだが、


「体は恐怖のあまり震えてたよ。」


「・・・本当に?全然そんな風には見えなかったけど。」


「そう?自分でも怖くって、思わず大声をだして、

 恐怖心を打ち消したくらいなんだけどね。」


「そう言えば大声出してたね。」


「そうだろう?あれで気持ちを奮い立たせて、頑張ったって感じだよ。」


「・・・ねえ、別に本音を話してくれるのはいいけど。

 普通はそこは当然だろう!みたいなことを言うんじゃないの?」


いつも平静を装っている柊がいつもより饒舌に話しているところをみると

本当に恐怖心があったんだろうということは分かる。


まあ、恐怖心で相手に反撃したんだろうな・・・


「それは・・・今回は無理だね~。

 たぶん俺一人だったら逃げてたよ。」


苦笑しながら、頭をかく柊。


「何で?ケンカ慣れしてるじゃん?」


「ケンカとはまったく別だったな~。

 変質者に襲われるのがあんなに怖いものだとは思ってもみなかったよ。」


「そんなに怖かったのに何で逃げ出さなかったの?」


「そりゃ~竹中が後ろにいたからね。

 逃げ出すっていう選択肢はなかったよ。」


・・・グッとくる!


思わず、抱き着きたくなる気持ちを何とか抑える。


まずは気持ちを抑える!!


抑えないと言ってはいけない言葉を口に出してしまう!!


落ち着け私・・・


柊の顔を見るだけで言葉が漏れそうになってしまう!!


我慢しろ!



やっと落ち着いてきた・・・。


「助けてくれてありがとう。」


「自分の身の危険もあったからね。」


「おっさんに襲われる?」


「そうそう。本当にトラウマになりそうな絵図らだったわ。」


「まったくね。当分夜は歩きたくないわよ。」


「俺は・・・新聞配達があるから無理か・・・。」


深いため息をつきながら親が待つロビーへと向かおうとすると、


パシャパシャ!


カメラのフラッシュが突然たかれて、


「すいません。○○新聞の者ですが・・・。」


何と私達は取材を受けることになったのだ!!


柊はどう答えていいものかと悩んでいたので、

私が少し盛って新聞記者に話をした♪



翌日の新聞には・・・


“お手柄中学生!”


の見出しに、昨晩のことが書かれていた。


一緒にいた女子中学生の証言と書かれていた欄には、


“彼が突然陰から出てきた変質者に対して、

 私達の前に自分の身を盾にするように立ちはだかったんです!

 そして、変質者を諭したんですけど、その諭した言葉も届かずに

 こちらに向かってきたので、彼が鮮やかに変質者を捕縛しました。


 私達は恐怖のあまり声を上げて、震えていたのですが、

 彼だけは凛々しく、まさに男の中の男のように力強く私達を守ってくれたんです。

 元々一緒に帰ったのも、こんな時間に女子が歩くのは危険だと言ってくれて、

 私達を送ってくれたんです。同級生にこんなに頼りなる男子がいてくれて本当に助かりました。


 それに素晴らしいことに、最初はその変質者のことも考えていたようで、

 諭す感じで話しかけていたんです。ですが、その声も変質者には届かなかったようで・・・。

 あえなく警察に連絡を入れてました。


 私達に変質者にも家族がいて、きっとこのままだと大きなことになってしまうと言って、

 変質者のことまで考えて発言をしていたんです。

 私・・・そこまで考えが及ばずに、すごく素敵だなと思ってしまいました。”



「・・・盛ったな?」


ただいま柊が私の教室に来て、私の目の前に新聞を突き出しております・・・


「え?そんなことないよー。」


とりあえず可愛い女の子風の返事をしたのですが、


「・・・半分くらいしかあってないだろう?

 言った覚えがない言葉が羅列しているんだけど。」


「ああ・・・あの時興奮してたからね。きっと忘れてるんだよ。」


「ああ、なるほど。俺も確かに興奮してたしね・・・って、そんなことあるか!!!」


「お!ノリツッコミがうまくなったね。

 本場の人間の私も太鼓判を押すよ!」


「そんな太鼓判なんかいらんわ!」


大きくため息をつく柊をけらけらと笑う。

やっぱり面白い奴だ。


「とりあえずケガとかはない?」


「え?あ、うん。ないよ。」


「なら良かった。」


そういって、柊が立ち去った。

あいつ、わざわざそれを心配しに来てくれたのか?


はぁ~・・・そんな気を使われると・・・


いかんいかん!

気をしっかり持たないと!!


もう一度ねじを回す。

絶対に柊に自分の本心を漏らさないようにしなければ・・・


柊には彼女がいる。


それがすべてだ。


私はきっと彼の中では仲のいい友達だ。


私はそれでいいと思っている。


だって、あと私がここに入れるのも1年ちょっとしかないのだから・・・


そして、この気持ちがいい関係を壊すわけにはいかない。


落ち着け私・・・



気づいた点は追加・修正していきます。

拙い文章で申し訳ないです。

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