竹中さん ~9~
竹中さんの話です!
「竹中ちゃん!ひ、柊君に彼女が出来たって!!」
慌てて私の傍に来た森田ちゃんに、
「知ってるよー。」
「ええ!?大丈夫なの?」
「何が?」
「だって・・・。」
「大丈夫だよ。別に私は柊のことが好きではないからね。」
ニッコリと森田ちゃんに返す。
・・・私は・・・
ちゃんとうまく返せているのだろうか?
森田ちゃんには出来るだけ平静を装って返したが、
当然私の中では同様が走っていた。
だって・・・
私は柊のことが好きなのだから。
柊はまあ、モテる・・・
正直言えば彼が告白されるたびに、
どうなるかと毎度毎度ドキドキしているのだ。
我ながら、なんでこんなことで一喜一憂しているのかと言いたくなるのだけどね・・・
しかも今回はうまくいってしまった・・・
相手はこの学校内で有名な藤森ちゃんだ。
お似合い・・・か?
見た目は可愛らしい藤森ちゃんだけど、中身が相当な奥手。
それに対して、柊はまじめではあるけど、どう頑張っても目立つ側の人間だ。
・・・釣り合いが取れてないな・・・
私の中では、すでに長くは続かないと踏んで、
柊をどうやって慰めようかと考えているのであった。
まあ、その前に、
誰か私を慰めてほしいけどね・・・
「帰りは家が近い者同士はみんなで帰るように!」
塾で先生から最近不審者が出ているとの情報があって、
みんなに注意勧告がなされた。
「というわけど、帰ろうか。」
「何がというわけなんだ?」
「まあまあ、家も近いんだしさ。」
私の家と柊の家は500メートルほどしか離れていない。
ただ、塾を基準にすると私の方が柊の家から
500メートル遠くに行くことになるのだが・・・
「・・・分かったよ。」
渋々感を出しながらもちゃんと送ってくれるのが柊である。
ついでに私の家の傍の女子も一緒に帰宅するのだが、
本当に柊が一緒にいてくれて良かったと思えることが起きたのであった。
「しっかし、本当にここって治安が悪いわね。」
「そう?まあ、俺はここしか住んだことないから分かんないけど。」
「大阪だってこんなに治安は悪くないわよ。」
「へー、意外だな。てっきり向こうの方が治安が悪いと思ってたけどね。」
「・・・拳銃で警官が撃たれるなんって事件は発生しないわよ。」
「・・・たまたまだよ。」
「家に銃弾数十発撃ち込まれるニュースも見たことないわよ。」
「・・・偶然だよ。」
「病院のVIPルームが防弾ガラスって話もここに来て初めて聞いたけどね。」
「備えあれば憂いなしってね。」
「・・・この間、大阪に帰った時に友達から、
『ユニクロで・・・
防弾チョッキが売られてるってホント?』
って、真顔で聞かれた時はどうしようかと思ったわよ。」
「ははは!で、何て答えたの?」
「売ってわよって答えたわよ。
それと、入国審査があるからパスポートを持ってこないと、
駅から出れないって教えておいた。」
「別の国!?」
「そう考えておかしくないって伝えといたわ。」
「ひどいな~。」
皆で笑いながら帰っていたのだが・・・
「・・・ねぇ・・・。」
友達が急に笑うのを止めて前方を指さすと、
そこには黒いシルエットが見えた。
「まあ、この時間だと帰宅している人もいるはずよね。」
私はそう告げるのだが、柊は表情を険しくして、
友達はスッと私の後ろにくっついてきた。
・・・私も一応女なんだけどな・・・
「俺の後ろに。」
柊が声をかけてきたのだが、
「何で?」
「何か変。」
そう言われて私もジッとその影を見ると確かに変だ。
その影は服を着ているシルエットが全くない。
「・・・・。」
私達は無言になって、警戒してその場で立ち止まって固まると
その影が急にこちらに向かって走ってきたのであった!
「うわぁああ!?」
悲鳴を上げる友達の横で、私は言葉にならない言葉を発する。
目の前に飛び込んできたのは
全身網タイツ!!
しかも大事な部分はポロリと出している!!
気持ち悪いビール樽のオッサンだった!!!
「ひぃ!?」
短い悲鳴が出たのを聞いたおっさんはますます興奮したようで
こちらに猛然と近づいてきたのであった。
ただ・・・
それを許さないやつがいた!
「気持ち悪いわ!!」
その声と共に、鮮やかに投げ飛ばす柊。
「ぐぇええ!!」
そんな悲鳴を上げて地面に叩きつけられたオッサンであった。
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




