伊達くんと島田さん ~6~
伊達くんと島田さんの話です!
「じーーーざーーーすーーー!!!」
年始に家の近所に初詣を島田と一緒に行ったのだが、
そこで引いたくじが・・・
見事に・・・
凶!!!
「・・・凶って本当に入ってるんだね・・・。」
驚きの声を上げる島田。
だが、すぐに、
「こんなの気にする必要はないよ。所詮くじなんだしさ。」
そう言うのだが、自分は大吉を引いているので、
いそいそと自分の財布にしまっているのであった。
「・・・とりあえずくくてくる。」
そう言って俺は括りつけて、
「もう一つ神社に行こう!!」
そう言って、すぐ近所にある神社へと島田と一緒に行き、
そこでまたくじをひく。
「じーーーざーーーすーーー!!!」
そこに書かれていたのは・・・
凶!!!
しかも、
待ち人 : 来ず
失せ物 : 出ず
旅行 : 行くな
争い事 : 負ける
恋愛 : 叶わず
縁談 : やめろ
どれも良くない!!!
「大丈夫!これを括れば、良くなるはずだからね。」
そう言って、島田がいそいそと括りに行ってくれたのであった。
「甘酒飲む?」
そういって、甘酒を勧めてくれるので俺は受け取って島田と飲むのだが、
「まあ、ここで運を使わなくて良かったね。」
「・・・そういう考え方もあるか・・・。」
「そうだよ。本番はこれからなんだからさ!」
島田の優しがこの身に染みた一日となったのであった。
「受かったよーーー!!」
泣きながら島田が俺に抱き着いてきた。
島田と一緒に俺は発表を見に来ていた。
実際、受験直前の模試では島田の合格率は50%であり、
安心できる範囲にはいなかったのだ。
「良かったな!島田!!」
そう言って、俺も島田に熱い抱擁を交わす。
「く、苦しいよ!」
お互いがダウンコートを着ているために
更には島田は俺よりもだいぶ身長が低いため顔が埋もれてしまっていた。
「悪い、悪い!」
そういって、離れると涙で顔がぐちゃぐちゃになっている島田がいた。
俺はゆっくりとその顔をハンカチで拭ってやりながら、
「来月からも一緒の高校だ!よろしく頼むぞ島田!」
「うん!」
嬉しそうに微笑む島田だ。
最近はいつも受験が近かったせいで笑顔がどこか硬かったのだが、
今はそんなことはなく、本当に子供の時から知っている島田の笑顔がそこにはあったのだ。
その帰り道に、島田が、
「たまにはカラオケに行こうよ。」
「いいぞ!」
俺の人生で初めてのカラオケ体験である。
今まで一度も誘われたこともなく、そして自ら行くこともなかった。
「俺、初めてカラオケに来たぞ。」
「え、マジで!?」
「・・・いや、厳密にいえば2回目だが、1回目は柳田の救出だったからな。」
言いながら苦笑していると、島田も一緒に苦笑していた。
「それじゃあ、伊達の初めてを堪能しようか。」
そう言って、2人でカラオケに行き、
「セーラームーンの曲歌ったら。」
「いいのか!?」
「別に2人だけだし・・・。」
島田の好意でセーラームーンの曲を選曲して、歌う。
ああ・・・
何って幸せな時間なんだ・・・
思う存分歌っても歌っても誰も苦情を言わないのである。
家で声を出して歌うと両親から近所迷惑だと言われるので、
聞くだけにとどまっていたが、こんなに歌うと総会何って・・・
「気分よく歌えた?」
「ああ、大満足だ。」
そう言って、ジュースを飲もうとした時である。
不意に部屋の扉が開いたと思ったら、
「誰が歌ってるかと思ったら、お前かぁ!!」
そう言って、笑いながら見知らぬ男達が入ってきたのである。
「なんだ貴様ら?」
「なんだって・・・。」
そう言いながら大爆笑をする連中が、
「男がセーラームーンとかキモイ悪いんだよ!」
「なんだと!!」
侮辱されて俺はいきり立ってしまうのだが、
「ちょ、ちょっと伊達・・・。」
腕を引く島田に俺は冷静さを取り戻す
「なんだ!やっぱり腰抜けか!」
そう言って、笑いながら島田を見て、男達が、
「そんな男ほっといてこっちに来て、俺達とあそぼうや!」
そういって、島田の腕を掴もうとするので、俺はその手を弾くのであった。
「島田に触るんじゃない!!!」
そう言って、島田の前に立ちはだかっていると
「お前たち、警察呼んだからな.」
そういって、店員のおっさんが来たのであった。
その言葉を聞いて、連中はすぐに部屋から出ていったのであった。
「大丈夫だったかい?」
「ええ、ありがとうございました。」
俺は店員に俺を言うのだが、俺の横には震えている島田がいた。
「ちょっと待ってなよ。」
そういって、部屋から出ていった店員が次に来た時に持ってきたのは・・・
大きなグラスになみなみとつがれたジュース!
そして・・・
そこには・・・
日本のストローがささっていたのである!
しかもストローはハート形!!
島田がそれを見て、すぐに震えが止まり、
「ええぇ!!!」
と驚嘆の声を上げる。
「・・・さすがです・・・こんな風に女の子を落ち着かせる何って・・・。」
「落ち着いてないから!!驚いているから!!」
「だけど、さっきまで震えてたじゃないか・・・。」
「それは当然だよ!あんな状況で怖くないわけないじゃん!!」
「けど、今は・・・。」
「そんな怖さも忘れるぐらい驚かされてるんだよ!!」
「ならやっぱり・・・。」
「何がやっぱりよ!!」
そんな俺達のやり取りをニヤニヤしながら、
「それは私からの合格祝いですよ。」
店員がそう言って、俺達にプレゼントしてくれたのであった。
「ありがとうございます!」
「ちょ、ちょっと!店員さん!何か勘違いを!!」
島田が言葉を話し終える前に店員さんは出ていったのであった。
「絶対に勘違いしているし・・・。」
ブツブツという島田に、
「飲まないのか島田?」
そう言いながら俺はジュースを飲む。
「ああぁ!?」
「?何でそんなに驚いてるんだよ?」
「・・・別に・・・。」
顔をそっぽむく島田。
「?飲まないのか?」
「・・・飲むわよ!飲めばいいんでしょう!!」
そう言って、顔を真っ赤にしてジュースを飲む島田。
「このジュースなかなか美味しいな!」
「・・・そうね・・・。」
「・・・顔が赤いぞ?」
「・・・!?ほっといてよ!」
「そうはいかないぞ!体調が悪いのか?それならすぐに帰ろう!」」
「大丈夫だから!このままカラオケしよう!はい、曲入れてあげるから。」
「う、うむ・・・。」
こうしてこの後もしばらくカラオケを堪能したのだ
ただ、帰り際、
「ありがとうございました。」
俺は店員さんにお礼を言ったのだが、
「余計なことをしないでください!!」
島田はなぜか店員さんに釘を刺していたのであった。
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




