柳田くん ~4~
柳田君の話です!
ある日いつも通り、部活を終えて帰宅している最中だった。
「柳田君だよね~?」
俺に声をかけてきた女子達がいた。
着ている制服から近所の馬鹿高校の女子なのが分かるが、
俺の知っている顔ではない。
「誰ですか?」
「うんうん、柳田君は私らのこと知らないよね~。
だけど、私らは知ってるんだ。それでね、あそこにいる子が柳田君に話をしたいって
言うからさ声をかけてんだよ。」
そう言って、指をさした方向には同じ馬鹿高校の制服を着た女子が立っていた。
この女もスマホをいじってやがる・・・
この場面でスマホをいじるか?告白するだろう?
思わずそう突っ込みたくなるが、見た目がまずまずなのが分かるので、
そこは言わない。
というか、呼びに来た女達もそこそこイケてる連中だ。
どいつもこいつもさすがは高校生で発育がいい。
いつもの取り巻きの園田、島田に比べて全然違う。
・・・取り巻きならこいつらの方がいいだろう。
高校生を取り巻きに持つ俺となられば、うちの中学の連中は尊敬するし、
男どもは妬みを持つだろうな・・・
いい・・・
いいな、それ・・・
俺はその女子に誘われるがまま、俺に用事があるっていう女子の元へと向かった。
「何か用事ですか?」
俺が声をかけると、手に持っていたスマホを扱うのを止めてこちらに顔を向けてくる。
・・・及第点だな。
こちらを見た顔は上の中はいくであろう容姿だった。
更には制服を着ていても分かるそのスタイルの良さ。
見た目はOKだ。
あとは中身だが・・・馬鹿高校の生徒なんだから期待はできないけど・・・
「初めまして。君と話がしたくてさー、ここで待ってたんだよ。」
笑みを浮かべて話す感じでは全然バカさを感じさせない話し方をする。
「話ですか?」
「そうそう。この界隈で可愛いって有名じゃん柳田君って。」
「まあ、そうですね。」
「実際見て可愛いじゃん。だから、お姉さんは柳田君にお近づきになりたいな~と思ってるわけよ。」
そう言いながら距離を詰めてくる。
俺よりも少し身長が高いため、視線を俺の視線に合わせるために少しかがむのだが、
そこには誘惑のものがバッチリと見えてしまっている。
「とりあえず、お互いのことを知るために仲良くしてくれるかな?」
そんなことは当然答えは決まっていた。
「宜しくお願いします。」
「宜しくね。」
ここから俺は楽しい時間を過ごすことになっていく。
鈴木と言ったこの女は、決して馬鹿ではないことが分かった。
話し方一つとってもいつもいる取り巻き達よりもずいぶんしっかりした話し方をする。
頭の回転も速いし、食事のマナーも知っており、
いつも行くイタリアンでも難なく食事をこなしていた。
他にも寿司屋にもフランス料理屋にも行ったのだが、
及第点の対応をする鈴木。
支配人やオーナーなどとの会話もしっかりとしていた。
まさに大人の女性といったところだろう。
この頃には俺が一つ策を施していた藤森のことで柊から
「俺、藤森と付き合うから。」
そう言われたのだが、そんなの今更どうでも良かった。
そんな女ならくれてやるよ柊!
所詮、ガキのお前にはふさわしい相手でだろうからね。
島田、園田に関しても最近は俺よりも伊達ちゃんに気持ちが移ったのを感じるが、
ちょうどいいタイミングだ。
鈴木が俺の傍にいるから、お前達がウロチョロしても邪魔だろうと思っていたところで
どうやって切り捨てようかと思っていたのだから。
好転しだした運命はこんな簡単に転んでいくんだな・・・
とある休みの日、俺は鈴木を連れて、ママの行きつけの店に行く。
「私、来週誕生日なんだ。」
鈴木の言葉を聞いて、俺は鈴木に欲しいものを買ってやろうと思っていた。
鈴木はだいたい、
「バッグが欲しいんだ。」
「靴がほしいな。」
「洋服が欲しいな。」
欲しいものがある時は遠慮なく言うが、
別にブランドにはこだわっていないようで、
どこのとは言わない。
だから、俺がいつも言っている店に行って、
選ばせるというのが、買い物のパターンである。
「何か欲しいモノでもあるんの?」
「う~ん、欲しいモノってあんまりないんだよね・・・・。」
悩んでいるのだが、答えはなかなか返ってこなかった。
俺はゆっくりと鈴木を観察しているとあることに気づいた。
そう言えば・・・
「腕時計が必要なんだよね。」
彼女は高校卒業後に看護学校に行きたいと言っており、
看護師なら腕時計が必須と言っていたのを思い出す。
「腕時計でも見に行く?」
「え?」
俺の提案に不思議そうな顔をしたと思ったら、すぐに気づいたようで、
「あんなこと覚えてたの!?」
驚かれるのであった。
ママといつも行っているせいか、店に入るとすぐにいつもママの担当をしている店員が
俺達の接客を対応する。
俺達は奥の部屋へと通されると、店員がどういったモノをと聞いてくる。
鈴木が応えるとすぐに店員は退席して、しばらくすると商品を持って現れたのであった。
「これなどは鈴木様にピッタリかと思います。」
そういって、進めているのだが、俺にとっては納得いかないモノであった。
値段が安い・・・
数万程度の価格帯と言ったところだ。
いつもママが見ているものと格段に劣る。
それに俺が身に付けている腕時計でもこの100倍の値段のモノなのに・・・
この店員の対応に苛立ちを覚えるので、自分で見繕うことにした。
入って、奥の部屋に来るまでに鈴木が「きれい」と言っていた時計が一品あるのを知っている。
「これを奥の部屋に持ってきてくれ。」
トイレと言って、部屋から俺は出て、別の店員に伝える。
俺が部屋に戻ると同時に、その店員が一緒に入ってきて、
その手には俺の指示した時計を持っていた。
「こっちにしたらどう?」
俺が鈴木に進めると、鈴木は驚いた顔をしていた。
それだけではなく、俺達に対応していた店員も驚いていたのであった。
「だけど・・・。」
鈴木は断ろうとするのだが、俺はそれを制止して
「これを買うよ。」
そういって、店員にカードを差し出すのであった。
しばし、無言のままであったが、
「かしこまりました。」
そういって、処理をしに行く店員。
それと何かを言いたそうにしていた鈴木であったが、
「俺と一緒にいるのなら、それにふさわしいモノを身に着けて。」
そういうと「わかったわ」と言って素直に受け取っていた。
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




