柳田くん ~3~
柳田君の話です!
「いらっしゃいませ、柳田坊ちゃま。」
支配人が俺の姿を見るとすぐに挨拶をしてくれる。
「俺はいつものを。みんなは好きな物を食べていいよ。」
そういって、メニューを見ずに決めると取り巻き達から「かっこいい!」と言われる。
まあ、ここら辺が行き慣れている人間との違いだろうね。
「ナポリタンで!」
勢いよく頼む伊達ちゃんだったが・・・
「申し訳ございません。当店ではナポリタンは扱っておりません。」
「マジですか!?あんなに美味しいのに・・・。」
「申し訳ございません。ただ、ナポリタンは日本発祥でございます。
そのためイタリア料理店では他店でも取り扱いはないと思います。」
その言葉を聞いて、取り巻き達も驚いているのだが・・・
俺の内心は、
そんなことも知らないのか・・・
今後のことを考えるともう少し常識を知っている人間と一緒にいる必要があるな・・・
食事を終えて、俺はいつも通りカードを副支配人に渡す。
取り巻き達もゆっくりと珈琲をすするのだが・・・
「ニガ!!!こんな苦いコーヒーは飲めないぞ!!」
・・・伊達ちゃんが叫ぶが・・・
本当にこいつは品がないな。
まあ、元々こいつの使い道は別なのだから仕方がないか。
それよりも・・・
スマホをひたすらいじる女とひたすら自分のことしか話さない女の子の二人。
こいつらは、容姿もイマイチなのに、中身までもイマイチなのがいただけないな・・・。
早急に手を打つようにしようか。
食事を終えて、いつも通り副支配人が俺への挨拶をする時だった、
「お供の方はしっかりと選ばれた方がよろしいかと思います。」
「ああ、俺も思うよ。」
どうやら俺の心配をしてくれたようで去り際に忠告までしてくれたのであった。
俺が店を立た時である、伊達ちゃんがいなかった。
「・・・あれは?」
「あっちでタカられてる子達がいるみたい。」
そういって、指さした方向を見るとそこでは2人の小学生らしき男子の傍に
馬鹿高校の制服を着た4人組が絡んでいたのであった。
そこに一人小学生たちの前で立ちはだかっている伊達ちゃんがいたのであった。
それもここまで聞こえるような大声を叫びながら・・・
「愛と・・・
正義の・・・
学生服美男子戦士!!!
セーラームーン!!!
月に代わってお仕置きよ!」
見事にアニメのポーズをバッチリ決めて、ケンカを始めるのであった。
殴りかかった当初は伊達ちゃんが優勢ではあったのだが、
すぐに形成が逆転した。
数の暴力相手にはどうしようもなかった。
しかし・・・
「ぐはぁ!!!」
「き、貴様!やるな!!」
あのバカの頭の中がどうなっているのかを確認したくなる。
一発殴られるたびに大声で叫ぶし、ケンカをしている最中にも
声を出していた・・・アニメの世界じゃあるまいし・・・。
「だが!!これで終わると思うなよ!!」
そう言いだしたかと思ったら、その場でくるくると回りだして、
「ムーン・・・
プリズムパワー!!
メイクアップ!!!」
頭がおかしくなったように回りながら叫ぶ伊達ちゃん。
俺も含めてだが、取り巻き達も唖然とするのであった。
「これが俺の本気だ!!!」
そう言って、折りたたみ傘を取り出すのであった。
「さっきのセリフいらなくない?」
取り巻きの1人がそんなことをつぶやいた時だった。
まさに目にも留まらない速さとはこのことで、
いきなり高校生1人が地面に倒れ込んだのであった。
「どうだ!俺のムーン・ティアラ・アクションは!!」
そう叫ぶ伊達ちゃん。
「いやいや!ただ腹に突きを入れただけだし!!」
そんなつっこみを入れる取り巻き女子。
次を倒そうと伊達ちゃんが動こうとした時であった。
その現場の周りには人だかりが出来ており、
だれかが、警察に電話をしていたのだろうパトカーが猛スピードで現れたのであった。
「そこの高校生、動くな!!」
スピーカー越しに聞こえる音声が耳に入った瞬間逃げ出す高校生たちだったが、
残念ながら一人が地べたを這いずっていたためその一人はあえなく御用となった。
他の3人は見事に逃げったようだ。
「ありがとうございます!」
小学生2人からお礼を言われて、
「ふ、気にする必要なんかない。当然のことをしたまでだ。」
そう言って、立ち去ろうとしたところで、警察官に捕まったのであった。
俺達は関わらないようにその場から立ち去って、
俺の家に行って、その日を過ごしたのであった。
俺の取り巻きの1人のスマホばかり扱っている女子の島田が、
伊達ちゃんを見て呆れたように、
「何であんな無謀なことをしてんのよ。」
「無謀?俺には余裕があったからな。そして、優れた人間は人を救う義務があるのだ!」
「・・・で、警察に説教をうけるの?」
「あれは・・・まあ・・・だが、小学生を助けれたのだから甘んじて俺は受け入れよう!!」
「バッカじゃないの・・・・。」
次の日、学校に登校すると俺達の教室に伊達ちゃんが来て、
一緒に過ごせなかったことを謝罪しに来た時、
島田が呆れたように伊達ちゃんが責められていたのであった。
「まあまあ、いいじゃん。」
そう言って、2人の間をもう一人の取り巻きである園田が取り持つ。
この一件は伊達ちゃんの校内でのランクアップにつながって、
その伊達ちゃんを下に持つ俺への影響力にかなり役に立つのであった。
実際、めんどくさかったテニス部の先輩達も
伊達ちゃんの名前が3年生にまで届くようになってからは
一切絡んでくることはなかった。
それまでは、先輩風を吹かせて、部室の使用は駄目だとか、
テニスコートの準備、パンやジュースを買いに行かせるパシリ等々してこなくなったのだ。
特に良かったのは俺の見た目が気に入らない一つ上の奴が
散々俺をいびっていたのが、ピタリと止んだことだ。
あいつの彼女が俺を好きになったらしいのだが、
そんなの本人が引き留めきれなかっただけなのだから
ただの逆恨みでしかない。
しょうもない男は行動もしょうもないな・・・
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




