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柊君へ ~Another Story~  作者: Taさん
第一章
28/201

曽田くん ~5~

曽田君の最終話です!

「曽田君、どこの高校を受ける?」


個人面談で担任の先生から尋ねられた時、


「吉本の養成所に行こうかと・・・。」


それまでにこやかだった先生の表情が一変するのである!


最初はにこやかに、次は困惑の顔をして、最後には大激怒をするのである。



「私は、真剣に聞いているのよ!!」


「いや、だから、俺も真剣に答えていますし!!」


どうやら2人の話し合いは交わることがないようなのだが・・・


その日は帰れたのだが、次の日から先生方が集まって俺と面談をするようになった。


「貴方は学年1よ!県でも1位の成績なの!分かってるの?」


「はぁ・・・。」


まあ、それは知っている。

自分の手元に県内の中学生が受ける模擬テストの結果が返ってきて、

そこには総合1位と書かれていたのだから・・・


まあ、先生が言いたいことは違うのは分かる。


それだけ頭がいいのに何で吉本の養成所?って言いたいのだろう。

まあ、それは分かるけど・・・



だけど、俺は自分の可能性を確かめたいんだ!!




「じゃあ、応募したら?」


面談の後、柊から言われた一言。

あっさりと言われたのだが、予想外の発言に俺はイマイチ理解が出来ていなかった。


「テレビで素人漫才の応募やってるよ。」


そういって、俺にスマホの画面を見せて教えてくれる。

それは県内で行われている素人が出るお笑い番組のことが書かれており、



そこに出場する素人を募集と書かれていたんであった!


「・・・よし!出るぞ!」


「ガンバレ!」


「いやいや、これに出るには相方がいるじゃないかよ!!」


「断る!」


「いや、そんな即断してないでさぁ~!」


「だいたい、俺はお前みたいに本気じゃないんだよ?」


「そうかもしれないが・・・


 俺には柊しかいないんだ!!」


「いやいや、いるからな!本気でやる奴いるだろうに。」


「・・・もしかして・・・。」


「そのもしかしてだよ。」


ここまで言われると俺はある奴を思い出した。

それは俺と一緒に文化祭で漫才をしたことがある奴だ。


ただ・・・


面白いんだけど・・・


バカなんだよな・・・


だから、俺は柊を選ぶ!!


その後の俺の毎日押し掛ける攻勢で何とか柊を落とすことに成功した!!


「・・・はぁ~、仕方がない。」


不承不承の柊であったが、

やると決めたらしっかりやる奴である。


連日俺と遅くまで漫才の練習をやってくれた。

そして、意気揚々と会場に向かったのだが・・・




「・・・大丈夫か、曽田?」


そういって、俺に水のペットボトルを渡してくれるのだが、

俺はあまりに震える手のためにペットボトルの蓋を開けれないのだ!!


これには自分自身も驚いてしまう。


「ふ、ふたが開けれないって・・・。」


思わず声までも震えてしまう。


「・・・ほら。」


そういって、俺のペットボトルを取って、開けてくれる柊。


「柊は緊張はしてないのか?」


「してるよ。」


そんな風に言う割には全くそんな風には見えない。

落ち着いてコーヒーを飲みながら、周りの人を観察しているのである。


「あの人、さっきから何回もつまずいてる」


とか、


「また煙草吸いに行ってるよ。あの人。」


など、余裕で人を見ているのである。

俺なんか、今にも口から心臓が出そうになっているのに・・・



そんな中で、いざ、予選が始まった。

予選はテレビ局内の大きな会議室で行われていて、

更には出場が全員後ろの壁に立っているのである。


・・・こんな中で漫才をするんだ・・・


もう漫才をすると考えただけでガクガクと膝が震えてしまう。

周りの声もだんだん聞こえてこなくなった頃に

柊から肩を叩かれて、


「俺達の番だ。」


そう告げられたのであった。


正直言いましょう!


ハッキリと言ってこの先は全く覚えていません・・・



気がつけば柊と共に元いた場所へと戻ってきて、

周りにいた出場者達から労いの言葉をかけられていたのであった。


「お、俺しっかりできてた?」


「うん?ああ、しっかりできてたよ。」


そう言ってくれるのだが、全くそんな実感はない。

思い出そうとするのだが、思い出すことは出来ない・・・


ところどころのイメージだけが頭に思い出されて、

審査員の前で、お辞儀をしたところや

柊に漫才をしているところでツッコミをいれられたところ、

あとは歩いてここに戻って来るときに審査員の横を通った時の優しい笑顔と拍手の姿だ。



・・・俺喋れたんだろうか・・・


もうそんなところを思い出すことすらできないのであった。


自分達が終わると徐々に落ち着いてきて、

ゆっくりと出場者たちのネタを見るのだが、


おもしろい・・・


俺達のネタとは違って、万人受けするネタで、

しっかりと笑いがとれていた。


「柊、俺達の時も笑いってあった?」


「ああ、あったよ。」


そう言ってくれる。


・・・あったのか・・・


少しホッとするのだが、それも覚えていない自分に苦笑してしまう。


結局、俺達は予選敗退となり、テレビに出ることもなかった。



「残念だったな。」


柊が俺にそういってくれるのだが、


「良く分かったわ己の器が。俺に芸人は無理だわ。」


それを実感できたことが大きい。


文化祭でやった時もそうだけど、緊張する。

それも記憶がないくらいだ。


ハッキリと言ってこれは致命傷だろう。

所謂あがり症なのだ。


いつもみんなの前で、笑いを取っているのとは全然違う。


今回の出場がでハッキリと自覚出来たのであった。


「俺・・・芸人目指すのは止めようと思う。」


「?呆れめた?」


「ああ、俺には無理だ。人前であんなに緊張するとは自分でも思ってみなかったよ。」


「それは慣れじゃねえの?」


「いやいや、同い年の柊が緊張したと言ってもそれでもしっかりできているのに

 俺は、記憶がないくらいの状態なんだよ。」


そう、出来る奴は最初から出来る。

それができないのだから、仕方がない。


「そうか?俺は慣れだと思うけどな・・・。」


柊らしくて、夢を進めてくれるのは分かるのだが、

だけど、俺はしっかりと自覚出来た。

そして、自分の進むべき道が分かったのである。


だから・・・


「俺、普通に高校行くわ。」


そうハッキリと断言できたのであった。


「・・・そうか・・・。」


残念そうに柊は言ってくれるが、俺の心の中はスッキリとしていた。



高校も大学も一応進学校に進んでいく。

高校では成績発表はなかったので言えなかったが、

中学校では何度も1位を獲って、そのたびに、


「ひれ伏せよ下民ども!」


それを言っただけで民から笑いを取っていた。


途中からはお約束のようになっており、

先生も苦笑して何も言わなくなったのであった。


俺にはこのくらい身内の笑いが十分なのだ・・・




ちなみに俺は現在、歯科医院を経営しております!

皆さん、どうぞ虫歯の時には当院をご来訪ください!!


可愛い歯科衛生士がいますよー!


豊満な・・・おほん!スタイルが良く綺麗な歯科助手がいますよー!


そして当院の一番のサービスは・・・



私の小粋なお笑いが聞けますよ♪


歯科医としての腕は保証しませんのであしからず~♪



気づいた点は追加・修正していきます。

拙い文章で申し訳ないです。

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