深田くんと宮本さん ~5~
深田くんと宮本さんのほんわかストーリーです。
最終話です。
中学三年生にとなり、季節が秋口になった時であった。
「深田、ちょっと職員室に来い。荷物すべて持ってこい。」
急に担任の先生が俺のもとに来たのである。
先生と一緒に職員室に行くと、まじめな顔をした先生が、
「お前のおじいさんが倒れたらしい。だから、家に帰ってこいということだ。」
その言葉を聞いた時点で頭で何かを考えることが出来なくなっていた。
俺はすぐに職員室を飛び出して、家へと帰っていくのであった。
家に帰るとすでに母が玄関で待っており、すで着替えはまとめられて、
私服に着替えるのだが、制服は持ってくるようにと言われた。
駅につくと、すでに姉がここにおり、母が渡した着替えを受け取ると
すぐに着替えて、一緒に東京に向かう新幹線に乗って、向かう。
病因に行くとおじいちゃんは無事であったものの、介護を必要とする状況になっていた。
「私は東京の大学を受けるつもりだったわよ。」
姉が俺にそう言う。
おじいちゃんが倒れたことで、母と姉は東京の実家に戻ることにし、
父は会社の独身寮に入ることになった。
俺も母と一緒に行くことになったのだが・・・
「お母さん、話がある・・・。」
俺は母とある約束を交わすのであった。
「そっか・・・。大変だったね。」
東京から戻ってきて、家の近くのカフェでコーヒーを飲みながら
宮本さんと話す。
今後のことを考えるとすべてちゃんと話しておかないといけないだろう。
「だから、高校は向こうの高校を受けることになったんだ。」
「うん・・・。」
今日一番で暗い顔を浮かべる宮本さん。
当然、こうなるよな・・・
遠距離・・・
最悪は別れることも考えなければならない状況だけど、
俺は・・・
「高校さ、製菓科がある高校を受験するつもりなんだ。」
その言葉に目を見開いて驚く宮本さん。
当然だろう・・・
彼女はこの意図が何を示しているのか分かっているのだろうから。
「俺、高校卒業したら宮本さんのお義父さんが
オーナーのケーキ屋で働かせてもらうつもりだよ!!」
母とある約束を取り交わした時のことである。
「俺、製菓科がある高校を受けたい。」
「・・・それは宮本さんのことがあって?」
「当然あるよ。だけど、それと同じくらい製菓を作ることも好きだから。
この決心をしたんだ。」
「そう・・・・。」
それ以上何も言わない母であったが、
すぐに携帯を取り出してとあるところに電話をする母。
しばらく話した後で俺に携帯を渡してきて、出るように促す。
「もしもし・・・。」
「や、深田君!」
明るい口調で電話越しに話しかけてきたのは宮本さんのお義父さんであった。
「こ、こんばんは!?」
「はい、こんばんは。先ほどお母さんから聞かせてもらったけど・・・。」
「僕を雇っていただけませんか!!!」
食い気味で自分の思いを伝える。
それを笑てしまったようで、お義父さんは笑いながらも、
「深田君が趣味として製菓づくりをしているのも知っているけど、
やはりそれを生業としていくには生半可な覚悟ではできないよ?」
「それは・・・そうかもしれません。
だけど、その覚悟はあるつもりです!!」
「・・・そっか。なら、まずは高校を卒業してみなさい。
そこで大変さを学ぶだろうから。それでも折れない気持ちであるなら
私は喜んで君を雇うことにするよ。」
「あ、ありがとうございます!!!」
「な~に、こちらこそ。跡取りが出来る可能性が出てきたんだ。
喜んで手伝わせてもらうよ。」
その言葉に思わず顔を赤くしてしまい、言葉も詰まってしまう。
「娘には君から直接伝えるといい。
なぁ~に、たかだが3年間だ。
3年後に会えるとわかっていれば何の問題もないだろう!!」
豪快に笑うお義父さんに何と言葉をかけていいかわからずオドオドしていると
母が電話を代わってくれて、話をしてくれたのであった。
「もう、お義父さんには話はしてあるよ。」
「・・・そんなこと聞いてないのに・・・・。」
その時だった、目から一本の涙がこぼれだし、宮本さん。
俺は思わず、席を立ち、宮本さんの傍にいき、抱きしめる。
「高校卒業する3年間、遠距離になるけど待ってもらえますか?」
「・・・はい。」
その小さな小さな声であったが、涙声ではあるものの
笑みが込められた返事を俺は受け取ることができたのであった。
「お義父さん!まだ腰が完治してないんだから寝てなきゃダメですよ!!!」
「なあに、これくらい!すべてを息子に任せる何って申し訳ないだろう!!」
そういって、豪快に腰のコルセットを叩きながら、作業場へと入ってくるお義父さん。
そして、作業に入っていく。
・・・まったくこの人は・・・
寝っからのパティシエなんだろうな。
腰が痛くても、腕が痛くてもお客様の笑顔をみれるのなら
頑張れるのだろうな・・・
「それに・・・孫があそこで座ってるんだぞ!!
おじいちゃんとしてカッコいいところを見せておかないとな!!」
その嬉しそうな満面の笑みを自分の娘と娘が抱いている孫がいるテーブルにむけるのであた。
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




