赤羽さん ~1~
大分さんの話でちょこっと出た赤羽さんについてです!
どうしよう・・・
私が陸上部の柳川先輩から告白された。
「赤羽さんのことが好きだから、付き合ってください。」
真剣な表情で言われてドキッとしたのは事実だけど、
それでも・・・私には好きな人がいるからと断ろうとするところで、
「お似合いだよ赤羽ちゃんに!」
本気かウソか分からないけど、上田ちゃんが私に勧めてくる。
友達の私が言うのも何なのだが、上田ちゃんはかなりのミーハーであり
周りの子が「あの子がカッコいい」と言えばそっちに靡き、また別の子が
「あの人がカッコいい」と言えばそたらに簡単に靡く子だ。
そんな上田ちゃんから見れば、柳川先輩は確かにイケメンだし、
学校で一番のイケメンと言われるのだから、ストライクに入るだろうけど・・・
結局、私は周りにいた友達からの声に私は断ることが出来ずに・・・
「・・・はい・・・。」
そう答えてしまったのだ。
そして、そのまま家まで送ってもらったのだが・・・
やっぱり・・・嫌だ・・・
好きでもない人と付き合う何ってやっぱり嫌だ。
どうしよう・・・・どうしよう・・・
家に帰ってずっと悩んでいる。
けど、何の結論も出ないまま時間だけが過ぎていく。
・・・あの人に相談しようか・・・
上田ちゃんや周りの子達に相談したところで、きっと反対されてしまう。
今日だって、周りの友達は、私に「付き合いなよー」とか、
「付き合えるなんってうらやましい」とかしか言われなかった。
確かに私がみんなには好きな人なんっていないと伝えていて、
「赤羽ちゃんも恋をした方がいいよ~。」
よく言われてるから、もしかしたらこれをきっかけに
恋に興味を持ってもらいたいと思ったりしたのかもしれないけど・・・
すでに午前0時を回っていたため、
あの人にメッセージを送っておく。
“相談にのってもらいたいことがあります。明日時間がある?”
明日が土曜日で良かった。
柳川先輩に会わなくて済むし、すぐにでもこのことで相談できる。
少し心が軽くなったためか、私はその後すぐに眠ることが出来たのであった。
“午前中は部活なので、午後で。部活終わったら連絡します”
朝起きるとスマホにはメッセージが届いていた。
メッセージを観て、良かったと安堵する。
これで何とかなる
根拠もないことなのだが、あの人からの返事を観ただけで安堵している自分に
思わず苦笑してしまう。“よろしくね”と送った後に、出かける支度をし始めた。
「お疲れさま柊君。」
「とりあえず、ご飯が食べたいから、そこのモスでもいい?」
部活を終えたまま、わざわざ来てくれたようでご飯も食べてないようだから
私の家のすぐそばにあるモスに2人で向かった。
「はぁ~、涼しくて生き返る。」
そう言いながら、手で体を仰ぎながら、クーラーの風を一身に浴びて涼んでいる。
かなり熱いようで汗で制服まで肌に張り付いているほどだ。
「それで相談ってなに?」
飲み物を飲みながら聞いてくる柊君に
「・・・あのね!昨日、柊君の先輩の柳川先輩に告白されてね・・・。」
「はぁ!?」
驚きながら私を見てくる柊君に思わず苦笑をしてしまう。
「・・・それで?」
「・・・付き合うことになったの。」
「うん?角君は?」
そう言うよね、柊君は・・・
私の家の向かい側に角不動産がある。
そこの長男で3つ下の角君とは幼なじみで、小さい頃から良く遊んでいた。
そんな角君が3年生になると同時にとある塾に通うようになった。
そこは個人の小さな塾で、私達の家から10分ほどの距離にある。
「角君、ちゃんと行ける?」
「う、うん・・・。」
ご両親が自営業のため時間がとれなかったようで1人で塾に行くことになったのだが、
不安な角君を見ていると私も不安になったため
「私も一緒に行くね。」
そう言うと嬉しそうな顔をする角君に思わずグッときてしまう。
私と角君は手をつないで、ゆっくりと塾に向かって行ったのであった。
「あれ?」
あと少しで塾というところで見たことがある男の子がそこにいた。
男の子も私に気づいたようで不思議そうな顔をこちらにうかべるのだが・・・
「柊君、どうしてここに?」
「ああ、俺ここの塾に通ってるんだよ。」
「そ、そうなんだ。こっちの子が今日からここの塾に通うから
私が今日は付き添いでここまで連れてきたんだ。」
角君を柊君に紹介しようとするのだが、私の腕にしがみつき、
後ろに回ったためちゃんと挨拶が出来ない。
すると柊君は私の傍までくると背をかがめて、角君に目線を合わせながら、
「初めまして。そういえば角君ってうちの妹と同じクラスなんだよね?」
「・・・え?」
驚いたのか、少しだけ私の後ろから顔を出し柊君を見る角君。
その後は、何とか話せるようになったので、柊君に連れられて塾に入っていく。
週に二回、塾があるので毎回私が塾まで送っていた。
たまにそこで柊君に会ったりしていたのだが、
特に柊君は私と角君とのことについては聞いてきたりはしなかった。
だけど、自分でも気づいてはいたんだよね・・・。
兄弟でもないのに毎回送迎をする私は変ではないだろうか?
いくら近所で幼馴染でも毎回は・・・と思うのだけど、
私にとっては大切な時間であり、止めたくはなかった。
角君をいつの間にか好きになっていたから
いつ?
・・・そんなのは覚えてない。
どうして?
・・・分かんない。
だけど、3つも下の子を好きになる何っておかしいことなんだろう。
上田ちゃんには3つ下の弟がいて、「3つも下なんってありえないよ!!」と
言うとそれにみんなが賛同していった。
・・・ああ、やっぱり私は変なんだ・・・
そう思って、私は誰にも自分の気持ちを言えずにいたのだけど・・・
「柊君は気づいてたの?」
「まあ。おかしいとは思うよね。」
「おかしい?」
「毎回、雨の日もわざわざ送ってる何ってさ。それに離れる時の辛そうな顔・・・
あの顔を見るとそうなんだろうなとは思うよ。」
「・・・。」
指摘されて初めて自分の顔がそんな顔をしていることに気づいて、
思わず顔が赤面する。
「それで何で柳川先輩と付き合うことに?」
「・・・お似合いって言われたから。」
「はぁ?」
「それに柳川先輩がイケメンだって言われて、凄いってみんながいうから。」
「・・・赤羽、本気で言ってんの?」
呆れような顔をして私に言ってくる柊君を睨んでしまう。
「みんなから言われたからってだけで、
付き合う何って俺が言うのもなんだけどバカじゃないか?」
「だって・・・・。」
「自分の考えをしっかりと持った方がいいよ。」
「・・・。」
私と柊君の間で沈黙が長る中で、
「・・・私は柊君とは違うから。」
「まあ、そうだね。」
「私は柊君みたいに強くないから!!」
「・・・。」
「柊君みたいだったら、こんなことにはならなかったよね!
だけどね、みんながみんな柊君みたいじゃないんだよ!!」
思わず大きな声がモスの中に響いてしまい、
店員さんから「少しお静かに」と言われて、かしこまってしまう。
「・・・後悔してるんだろう?」
「え?」
「柳川先輩と付き合うことになって。」
「・・・うん。」
「それで角君のことが好きなんだろう?」
「・・・うん。」
「もう、こんなことで誰かと付き合うなよ。」
「分かった・・・。」
「なら、柳川先輩には話をするよ。」
「え?」
「柳川先輩に断りの話をするって言ってるんだよ。」
「いいの?」
「一回だけだからな、今度同じようなことをしても二度目はないから。」
「う、うん。わかった。」
その後は、届いたハンバーガーを食べながら学校での出来事を話していた。
そして、食べ終わったタイミングで、
「じゃあ、柳川先輩に伝えに行くけど、赤羽も一緒に来るか?」
「行かないっていう選択肢もあるの?」
「言いにくいなら。」
「行くよ・・・今回の件は私のことだから・・・。」
柊君がすぐに柳川先輩に連絡を取ってくれて、
柳川先輩が近くにいたようですぐに会うことになり、
私の気持ちを話して、理解してくれたらしくてすぐに了解してくれた。
気づいた点があったら修正・追加します。
拙い文章で申し訳ないです。