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柊君へ ~Another Story~  作者: Taさん
第三章
171/201

本山さん ~10~

外見を気にする本山さんの最終話です!

すでに3日程学校には行けていない・・・

それほどのショックを私は受けていたのだ。

ベッドから起き上がる気力もなく部屋にいると、

部屋の扉がノックされる。



「起きてる?」


ノックと共に母が私に声をかけてきた。



「・・・。」


返事をする気力もないでいると、



「あのね、主将の田中さんがお見えなの。」


「・・・え?」


そう言ったかと思った瞬間に母が急に私の部屋の扉を開ける!



「な、なに!?」


思わずそう叫んでしまうと、

そこには母とその後ろに田中先輩がいたのであった!!



「じゃあ・・・お願いね。」


母が田中先輩にそれだけを伝えて、リビングへと戻っていく。

田中先輩は困ったような表情をしていたが、

そのまま廊下で私に話かけて来たのであった。



「とりあえず生きてて良かったよ・・・。」


「・・・。」


「それとこっちは部活の連中が心配でってことで、

 お見舞い品だから、食欲が出たら食べてくれ。」


そういって、私の部屋の入り口に持ってきていたフルーツの入った籠を置く。

その後は、じっと私を見るのだが、無言のままである。

どのくらい無言が続いたのかは分からないが、

閉じられていた重い口を開ける田中先輩、



「本山さん・・・今はきついのは分かるよ。」


「・・・。」


「いつ元気になるかは分からないけど、元気になったらでいいから

 遠慮なく部活に顔をだしてくれよな。」


「・・・。」


「気後れする必要なんてないんだから、うちの部活にはね・・・。」


「・・・。」


「今日のところは、顔が見れただけで十分だから、俺は帰るな。」


「・・・。」


「じゃあ、暖かい格好はしろよ、最近寒いからな。」


それだけを言って田中先輩は部屋の扉を閉めて去って行ったのであった。


そして、それから数日間、土日も関係なく同じように田中先輩は私の家を訪れてくれて、

とりとめのない話をして帰っていくのを繰り返していた。


そんなある日、私は田中先輩に思い切って尋ねるのである・・・



「・・・どう・・で・か?」


「え!?」


明らかに明るくなる田中先輩!

凄く嬉しそうな顔をしてくれる。


久しぶりに私から話かけただけなのに・・・



「・・・どうして・・・ですか?」


「どうしてって・・・何がだい?」


「どうして・・・私のために・・・何度も来てくれるんですか?」


「それは本山さんのためなら、喜んで来るよ。」


「・・・なんで・・・。」


「俺はさ・・・


 本山さんのことが好きなんだ。」


「・・・え?」


「だけど、菊池や柊君のようなイケメンでもない。」


「・・・。」


「だからさ、俺は俺が出来ることをやるだけなんだよ。

 それが俺の思いであり、俺の最大限の誠意であるんだよ!」


「・・・誠意。」


「うん!それくらいしか・・・

 いや、それなら2人には絶対に負けないと思ってるよ。

 本山さんに対しての誠意は!!」


その真剣な表情に私は頭を殴られたような気分になった・・・。


ああ・・・


どんなお金や容姿なんかよりも大事なものがあるんだな・・・


それを田中先輩は持っているんだ・・・


こんなに私のことを思ってくれる人なんだ・・・


私は、重い体に鞭を打ってベッドから立ち上がる。

そしてそのまま廊下へと歩き出したのであった。



「だ、大丈夫か!?危ないよ!!」


本気で私のことを・・・私のことだけを心配してくれる田中先輩。


ああ・・・


この人がいればいいんだ・・・


こんな誠実な人が・・・誠実な人こそが本当に大切な人なんだ・・・


それを痛感するのであった。


そして、それを痛感すると私の目から

ツゥーと涙がこぼれだしたのであった・・・


ああ・・・


凄く胸が熱くなり、そして優しく包まれていく感じ・・・


これが私には必要だったんだ・・・


その日はずっと田中先輩の胸の中で泣き続けた。

田中先輩は私が泣き止むまでずっとそっと私を抱きしめ続けてくれたのである。



次の日には学校に行けるようになっていた。


「・・・顔はひどいことになってるな・・・。」


泣き続けたせいで目は腫れている。

更には化粧のノリも全然よくない・・・


我ながらひどい顔をしているなと自覚できる・・・


だけど・・・


私の気持ちは軽やかになっていた。


だって・・・


朝から田中先輩はわざわざ私の家にまで迎えに来てくれていた!



「車がないから、一緒に電車での登校だけどさ・・。」


そういいって、頭を掻きながら私と歩いてくれる。


これだけでも十分だ!

車なんてなくても、十分に嬉しいし、幸せを感じている!!


ああ・・・


私はこの人と出会うために生まれてきたんだ・・・


そう幸せを噛みしめながら田中先輩と一緒に登校するのであった。



気づいた点は追加・修正していきます。

拙い文章で申し訳ないです。

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