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柊君へ ~Another Story~  作者: Taさん
第三章
152/201

佐藤さん ~3~

勇気の出ない佐藤さんのお話です!

これは夢の時間なのだろうか?

柊君と共に一緒に私のマンションに向かっている。


さっきのことであるが、



「・・・送るって?」


「いえ、夜も遅いですし、女性が1人で帰るには時間も遅いじゃないですか。」


そう真顔で言ってくれるのである!


・・・私、女性だったんだよね・・・


そんなバカげたことを思ってしまう。


正直言えば、今まで根暗であるためにクラスで男子と話すことなんて

ほとんどなかった。


基本的にクラスで話すのは華がある人達である。


私は同じような根暗な女子と2人で一緒に過ごすことが多かったため

こんな風に男子から送ってもらうなんてことは今まで一度も体験したことがない。


・・・胸を張って言えることではないけど・・・



「ええっと・・・。」


どうすればいいのかが分からない。


ここで送ってもらうことが正解なのか、

それとも送ってもらうのを断ることが正解なのか・・・


だって、そんな経験したことがないもの!!


どうしよう!!


そう思っていると柊君が、



「じゃあ、帰りましょうか。」


そう言って、私と一緒に帰りだしたのであった。

さっきまで食堂で普通に話していたので、そのままでの流れで話をしながら

二人で歩いて帰宅する。


・・・男子と一緒に帰宅することは初めてだ。


それも人生で初めてである!


21年間こんなことは一度もなかった。

それがこんなタイミングで叶うというか、なるとは思ってもいなかったな・・・。


嫌ではない!

むしろこんなことになって思わず喜んでしまっている自分がいる!


正直・・・・


男子と一緒に帰るのがこんなに楽しいとは思ってもみなかった。


というか、マンガの世界に書かれている世界が、

今ここに現実として降りかかってきたことに

結構なパニックをしているのは言うまでもない。


正直言って、柊君と会話をしながら帰宅しているのだけど、

全然自分が何を話しているのかが正直分からないのが実情だ!


・・・


気がつけば私が住んでいるマンションの前に着いていた。


・・・この後はどうすればいいんだろうか?


正直言って、部屋でコーヒーでもというところだろうけど、

そんなハードルが高いことは私にはできません!

どうしようと思っていると、



「すごい所に住んでますね・・・。」


私が住んでいるマンションを見て驚いたような表情をしている柊君。

まあ、確かに・・・



「そうかな?」


「そうですよ!・・・佐藤先輩ってどこかのお金持ちですか?」


「え?・・・まあ、親が会社の社長をやっていて、

 そこそこ儲かってるのよ・・・。」


「すごいですね~!」


何か・・・キラキラした目でこちらを見てくる柊君。



「もしかして、高校とかの時に車で送り迎えされていたくちですか?」


「そ、そうだけど・・・。」


家はそこそこのお金持ちであったため、

さらには住んでいたところが、若干治安の悪いところであったためか

世話人が私を毎日家から学校まで送っていてくれたのは・・・事実である。


ただ、このことを言うと・・・変な目で今まで見られていたため

言いたくなかったけど・・・

チラリと柊君の方を見るのだが、特に私に対して先ほどまでとの対応に違いはなくて、



「うらやましいです!俺なんか、雨の中でもチャリで登校してましたしね。」


「え!?雨でも!?」


「そうですよ~!まあ、朝ギリギリでバスで行くと確実に遅刻なのが分かっていたから

 チャリという選択肢しかなかったのでってのもありますけどね。」


お茶目に舌を出して笑う柊君に思わずつられて笑ってしまう。

最後までそんな笑って話をしていたのだが、



「じゃあ、ここで!」


柊君が帰るとの最後の言葉を言ってしまう。

もっと話していたいのに・・・


そんな思いがあったからだろうか、

私は思わずとんでもないことを口にするのである!



「柊君・・・


 私の部屋でコーヒーでも出そうか?」


・・・ええ!?


言った後で、自分で自分の言葉に驚いてしまう!

だって、自分の部屋に柊君を誘ってるんだよ!?


うわぁ~!!私って何を言ってるのよ!!


顔まで思いっきり熱くなったところで、



「ダメですよ。そんないきなり男子を部屋に誘ってわ。

 天文部の後輩とはいえ、男子なんですから。

 佐藤先輩は女性ですよ!」


「そ、そうだよね・・・。」


ちょっと残念な気もするのだが、それよりも柊君に女性扱いをされていることに

私は心が躍ってしまうのであった!


こんな私でも女性なんだな・・・


そんなことを思っていると柊君のスマホが鳴りだす。



「あ!?」


スマホの画面を見て、思わず声を上げる柊君に、

私は何気なく聞いたのだが・・・



「誰から?」


「彼女からです?」


そのはにかんでいる柊君が可愛かったのはわかるのだけど、

私は柊君から出た“彼女”という言葉に頭を殴られたような痛みが起きる・・・


それはそうだよ・・・


こんな子に彼女がいないなんってありえないよね・・・


理解はできるけど・・・


全然心がついてきてはくれなかったのである。


その衝撃のためか、気がつけば柊君は傍にはおらずに

私は自分の部屋に戻っていたのである・・・


ああ・・・


私は・・・


たった数時間前に会っただけの柊君のことが好きだったんだ・・・


そう理解するのに時間はかからなかったのである。


気づいた点は追加・修正していきます。

拙い文章で申し訳ないです。

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