橋口さん ~8~
モテる女性は苦労します・・・。
そんな橋口さんのお話です!
「お、おはよう。」
笑みを浮かべて、嬉しそうな顔で私に挨拶をしてくれるのだが、
それに私は返事をすることが出来ない。
何で中西君がここにいるのかということが頭の中を占めているから・・・
何も言わずに私の横までくる中西君に私は寒気を感じてしまう。
ダメ!このままじゃあ・・・
そう思うのだが、それ以上の言葉が出てこないのであった。
あまりの怖さに言葉が出ない私に、
いつもの通りにニコニコと微笑みながら私の横にいる中西君。
結局気がつけば大学にたどり着いていたのだが、
どうやってここまで登校してきたのかが思い出せない。
いや・・・まあ、いつも乗る電車に乗ったんだろうと思うのだけど、
その間の記憶がすっぽりと頭から抜け落ちている感じだ。
授業の時は、さすがに傍に中西君はいないのだが、
休憩時間やお昼の時にはいつも通り私達の傍にいた。
日暮ちゃんや土井ちゃん達は、それが普通で慣れているためか
全然気にもしない。
どうしよう・・・
今食べているご飯の味が全然しない・・・
お弁当を半分も食べないところで、これ以上は何も食べたくない気分になり
もうお弁当をしまおうとした時に、
「どうしたの?」
土井ちゃんが不思議そうな顔をしてくるのだが、
「う、うん・・・ちょっとお腹がいっぱいで・・・。」
「朝ご飯食べ過ぎたんじゃない~。」
「そ、そうかも~。」
「だけど、それだけじゃあもたないよぉ~。今日は昼から実験なんだしさ。
ゼリーとかでも食べてた方がいいんじゃない?」
「そうだね・・・。」
土井ちゃんの言葉に、本当はゼリーとか食べたいとも思ってないかったけど、
ここからいったんでも離れられるならと思って、荷物をまとめて席を立つのであった。
中西君はまだご飯を食べ終えていないため、
後ろからついてくることもないのが幸いだ。
とりあえず売店に行こうと思って、売店にたどり着くと
そこには・・・
「あれ?ご飯は?」
そう言って笑みを浮かべて話しかけてくれる柊君がいたのであった・・・
「ちょ、ちょっと体調がよくないみたいだからゼリーかプリンを買いに来たの。」
「大丈夫?」
さっきまでの笑みから急に素の顔に戻ったと思ったら、
すごい心配そうな顔を浮かべる柊君。
「プリンってこれ?」
そういって、売店に売ってあるプリンを指さしたので、
「うん、それにしようかな。」
そういうとヒョイと柊君がプリンをとると、
「買ってくるから、そこの席に座ってなよ。」
「え!?い、いや・・・。」
私が遠慮しようとするまもなく、レジへと向かう柊君。
しかたがないので、柊君の言葉に従って、
私は近くで空いているベンチに座ることにしたのだ。
レジを見ていると柊君がレジを済ませて、こちらに向かってくる姿が目に入る。
私はその姿を見て、思わず・・・泣いてしまうのであった・・・
「落ち着いた?」
「・・・うん・・・。」
今は、売店近くから、誰も来ないであろう校舎の近くのベンチに移動した。
あそこで泣きだしたため皆からの視線が私と柊君に注がれたため
その視線から逃げるようにここへと移動したのである。
私の前には少し前に買ってきてくれた紅茶が置かれている。
その横にはプリント共になぜか栄養ドリンクまで置いてあった。
「・・・この栄養ドリンクは?」
「うん?ああ、それは俺が飲もうと思って買ったんだけど、
今必要なのは俺じゃなくて、橋口さんかなぁ~って思ってね。」
「・・・お疲れ?」
「ちょっと藤本と森永がうちの部屋に来て、だべってたら夜遅くなったんだよ。」
そう言いながら苦笑する柊君。
ああ、あの二人か・・・確かに騒いでそうな気がするな・・
そう思うと思わず私も一緒に苦笑してしまうのであった。
その後、どのくらい時間が経ったのか分からないけど、
ずっと何も言わずに横に居てくれる柊君。
それだけで・・・落ち着くな・・・
そんなことを思っていると午後からの授業が始まる5分前のチャイムが鳴り響くのであった。
ああ・・・また・・・あそこに行かないといけないのか・・・
中西君の顔を思い出しながら、とても憂鬱になってしまう。
あそこは・・・辛いな・・・。
そんなことを考えてしまって、また泣きそうになってしまう私に
「今日は昼からの実験が終わったら暇?」
「・・・え?」
「いや、何か予定ある?今日。」
「・・・ううん。」
「じゃあ、一緒に軽食でも食べに行かない?」
「え?」
「俺、結構おいしいピラフ屋さんを知ってんだよね。」
「・・・それ、軽食じゃないよ・・・。」
「そう?ピラフ何ってぺろりといけるんじゃない?」
「それにたぶん、柊君の言ってるピラフ屋さんって、
めっちゃ量の多いお店じゃない?」
「・・・。」
どうやら私が言ったことがあっているようで、
沈黙をして、更には顔をそむける柊君!
けど・・・たぶん、私が落ち込んでるからこうやって
声をかけてくれてるんだろうなということがわかって
何だか楽しい気分になってきたのだ。
柊君は出していた紅茶やプリンを袋に入れてくれて、私に渡してくれる。
「じゃあ、終わったら連絡してね。」
「ま、まだ行くって返事してないんよー!」
「では、また後で~!」
「ちょっと!!」
全然こちらの意見をきいてくれるずに立ち去って行くのであった。
もう!っとか思いながら、ちょっと元気になっている自分に思わず、
現金な奴だな~っと苦笑するのであった。
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




