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柊君へ ~Another Story~  作者: Taさん
第二章
118/201

矢田さん ~1~

私と柊との出会いは、幼稚園の時から始まっている。


幼稚園の時なんてみんな記憶がないというのだけど、

私はしっかりと記憶があるのだ!


それは幼稚園で、お昼ご飯を食べている時に起こった・・・



「いっただきまーす!!」


その日は誰かの誕生日であったため

幼稚園がお弁当を用意してくれていた。


ここのお弁当は、いつも食べているお母さんとは違う味で、

また自分が好きなハンバーグや唐揚げが必ず入っているから

ものすごく楽しみにしていたのである!


用意されていたお弁当の蓋を開けると、

やぱり私の好きなタコさんウィンナーやハンバーグが入っていて、

私は目を輝かせながらお弁当を食べていた。


そして、誰かの誕生日であるためデザートも付いており、

これもいつも甘くて美味しため、ものすごく楽しみにしていたのである!


この日のデザートは当時私は分からなかったのだが、

モンブランケーキであった。


母から食べさせて貰ったこともないケーキに私は大興奮しながら、

一気に食べだすのであった。


ただ・・・


それが何とも言えない味であったため・・・


私は気持ちが悪くなってしまって・・・


隣にいた柊に向かって・・・吐いてしまうのであった・・・


ただ、柊はそこで逃げるでもなく、

自分の服の前の部分を伸ばして、

受け皿のようにすると、



「ドンドン吐いて、気持ち悪いの全部だして。」


そう言ってくれたのである。

その言葉につられてかは分からないが、私はグェーグェ―と何度も柊に向かって

ゲロを吐き続けたのであった・・・。


今でも思い出すのだが、その度に消し去りたい過去である。


ちなみに余談だが、私はこの記憶があるためか、栗系はすべてダメであり、

柊も栗系のもの、特にモンブランは食べれないようになったらしい・・・


柊に聞いた時は、



「何でか忘れたけど、モンブランは全然食べれないんだよね~。」


と言われた時には、口には出さなかったかが、心の中では猛省していたのであった。


幼稚園では、この事件以降で柊と口を聞くことはなく、

小学校へと進学していく。


そして、小学校1、2年生は別のクラスで、

3、4年生でまた同じクラスになるのであった。

そこで、また柊と話すきっかけがあるのである!



同じクラスになったとはいえ、女子と男子で話すことは、

クラスメイトからからかわれてしまうため

ほとんどなく、いつも男子は男子、女子は女子でいたのであった。


そんなクラスを見かねたのか、その時の先生が、



「お前ら・・・


 オリエンテーションをするぞ!!」


そんなことを唐突に言い出したのであった!!


オリエンテーションとはいえ、学校内で先生が隠したいくつかの問題を解いていく

程度の規模のモノであったが、これを男女混成にした班で解いていくのだ!


それまで全然男女で話したことがない私達は、

先生が決めたことにブーイングを起こすのだが、

全然先生は取り合ってくれずに私達は渋々それを受け入れるのであった。


この時の班が、私と柊がいる班であった。



「とりあえず・・・問題を探そうか。」


柊が班長をやっているため、みんなを何とかまとめようとするのだが、

一応、言われたら、動くけど・・・

1班のはずなのに、男女別の班のように動くのであった・・・


それでもめげずに柊が、男子は元より女子にも地図を見せて、

どこにあるのかなどを相談していく。


ただ・・・そんな簡単に今まで男女の中がバラバラだったものが

簡単にくっつくわけがないのであった。


結局、ぎくしゃくしながら問題を解いていっていたのであった。

ただ、それは突然やってくた。


私達が横には急な斜面のある坂を上って、問題を観に行った時のことである。

私が被っていた帽子が風に吹かれて、斜面の部分に飛ばされたのであった!!



「うわぁ~・・・。」


男子も女子もそんな言葉しか出ない・・・


それもそのはずで、そこはあまりに急な斜面であり、

その斜面から曲がって生えている木に引っかかったのであった。


私はその光景を見て、思わず泣きそうになってしまった。


そんな時だった。



「アレ、取ってくるわ。」


そう言って、何と柊が急な斜面をいきなり降りだしたのである!?



「「「「「えぇ!?」」」」」


みんなが驚きの声をあげる中、柊はゆっくりと慎重に急斜面を下っていく。

その所々にある岩や木を足場にして、

帽子が引っかかっている木の傍へと行くのであった。



「あ・・・。」


私はその光景をただ声にならないような声を漏らしながら見守ることしかできなかった。


そうこうしているうちに柊は帽子の引っかかっている木に到着して、

木から帽子をとると、



「矢田!受け取れ!」


そう言って、私に向かって投げ渡してくれたのであった。

見事に私の手元に届いて、みんなから



「よかったねぇ~。」


といわれる中、私は柊にお礼をいおうとをしたのだが・・・


バキ!!


そんな音ともに、柊が足場にしていた木が折れていきなり柊が斜面を落ちたのである!!



「ひぃ!?」


みんながいろんな悲鳴を上げる中、

私も短い悲鳴を上げて、思わず自分の目を両手で隠したのだ!

その私達の声を聞いてか、どこからともなく担任が走ってきて、



「どうしたんだ!!」


そんな怒声を私達に浴びせるのであった。



「ひ、柊が・・・。」


私は泣きながら柊が斜面の下にいることを伝えると、

先生は慌てて斜面を覗き込んで、



「柊!!大丈夫か!!」


大声で斜面の下に向かって叫ぶのであった。

すると、



「大丈夫です!!」


そんな力強い声が返ってくるのであった。


その後は、どこからかロープを持ってきた先生が、

斜面に垂らして、それを柊君がつたって戻ってきたのである。



「柊!!!」


無事に帰ってきたものの、柊君は先生から大目玉を食らっていた。

ただ、それが私のせいであったため私は・・・



「先生!私のせいなんです!!」


今度はしっかりと柊君のために自分が行動を起こすことが出来たのであった!

そして、仲良く先生から拳骨を一緒に受けた・・・



「・・・言わなきゃ、拳骨食らわなかったのに・・・矢田・・・。」


私が拳骨を受けたところに柊が保健室から貰ってきた氷を当ててくれる。



「だって・・・私の帽子をとりに行ってくれたからじゃん・・・。」


「それでも2人で怒られることなかったのに。

 俺が足を滑らせたって言ったのに合わせればよかったんだよ。」


「・・・だって、お礼もちゃんと言えなかったし・・・。

 今度は私はちゃんとお礼を言いたかったの!」


「・・今度は?」


「覚えてない?私が幼稚園の時に吐いたこと・・・」


「・・・あったね・・・。それで何で俺がお礼を言われるんだよ?」


「柊が服をダメにして、私の吐いたのを受け止めてくれたの・・・。」


「・・・よく覚えてるな・・・。すっかり忘れてわ。」


そう言って、笑う柊だったが、どうやら柊もそんなことを言っても

覚えていたらしい・・・



「あの時も・・・ありがとう。」


「そんなことをいちいち覚えてなくてもいいのにぃ~。」


「だって・・・あれは私が悪いんだし・・・。

 それに今回も私が悪いんだからさ・・・。」


「りちぎだねぇ~。」


そう言いながら、笑う柊であった。


これがキッカケかどうかは何とも言えないが、

私はクラスでも他のクラスメイトの目を気にすることなく、

柊と話すようになっていた。


そして、その流れを受けてか、まずは柊の周りから女子と話すようになっていき、

結局は男女関係なく話すようになっていったのであった。


気づいた点は追加・修正していきます。

拙い文章で申し訳ないです。

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