久本くん ~5~
県大会当日、初日にリレーの予選、二日目に決勝となっており、
初日の予選は難なく、組で一位を獲って、決勝に進むことになった。
県大会であり、会場も自分達の市から電車で一時間であるため
その日はそのまま帰宅する。
そして、次の日には俺達と一緒に
県大会には出ないものの県大会に進んだ者達を応援するために
陸上部のほとんどのメンバーが一緒に同行してくれたのだ。
まあ、後輩の中には生意気にも、
「来年、県大会に行くんで、その予行ですよ。」
なーんていう後輩もいたけど。
俺は心強い応援団と共に試合会場へと向かうのであった。
夕方に行われるリレーの決勝であったが、
それまでに柊君と松本先輩のハードルの試合、
宮本君の100メートルの試合があり、
みんなの応援に回った!
柊君と松本先輩は共に次の地方大会へ進んだ!
「柊!!次こそは下剤を飲ませてやるからな!!」
「・・・そこは実力で勝ってやるって言ってくださいよ。」
「無理!!この化け物が!!」
何て言いながら、俺達のテントに戻ってきたので
みんなで2人を笑いながら向かい入れたのであった。
そして、宮本君の方は残念ながら、決勝で8位となり、
地方大会へと進むことは出来なかった・・・
「まあ、リレーでいければいいか~!」
そんなことを言いながら、テントに戻ってくる宮本君。
前向きになっているようだけど、
それでも負けたことのショックは隠しきれてはいなかった・・・
「ぷぷぷ、負けてやんの!!」
そんなことをいう松本先輩に対して、柊君が思いっきり頭を叩いていた。
失礼極まりない発言をしている松本先輩だが、
本当にそんな風に思っているわけではない。
きっと先輩として、笑わせてやろうとしたのだろう。
だって、その後の漫才のようなやり取りで、
宮本君の顔には笑顔がもどっていたのであるから!
いよいよ、決勝を迎えて、俺達は3コースとなった!
予選タイムでは全体の3位となっており、
この通りいけば、俺達は表彰される順位であり、次の地方大会に進めることができるのだ!!
それぞれアップを済ませて、自分のスタート位置へと散っていった。
途中まで、松本先輩と一緒だったのだが、
「とりあえず、いつも通りでいいからな!
何があっても柊に渡せば何とかしてくれるからな!」
「そこは俺っていわないんですか!?」
「俺にそんな責任を背負わすな!!チキンなんだからよ!!」
「いやいや、そこは先輩として意地を見せてくださいよ!!」
「そんな意地なんてないわ!!」
どうあっても逃げたがる松本先輩と別れて、
俺は自分のスタート位置へと向かった。
隣のレーンにはテレビで観たことがある学校のユニフォームを着た選手がいる。
それだけで不安になる。
だけど、ここまできたらやるしかないな・・・
「先輩、ファイトです!」
そう言って、俺のジャージ類を受け取った後輩から声をかけられた。
その表情は輝いていて、きっと俺達に期待しているんだろうな・・・
いよいよ、地方大会だ!!
それがドンドン近づいてきているのを実感するのである!
俺はゆっくりと自分のコースへと向かい、スタート位置につく。
そして、
パン!!
スタートの音が聞こえて来て、宮本君が走り出していた!
その速さはやはり群を抜いていて、すでに外側の隣のレーンに対しては
本当にいつも通りのように差を詰めていく。
内側の隣のレーンには、ドンドンさをつけて行くのであった。
こんな選手たちがいる学校だ・・・大丈夫!俺達が勝つ!!
そう思いながら、松本先輩を待つ。
松本先輩も隣のレーンの選手と差を付けらることなく
俺へとバトンを持ってきてくれるのであった!!
「はいい!!いっけーーーえ!!」
そんな声と共に俺は一気に加速していく!
外側の隣のレーンとほとんど並んだような感じでである!!
これなら、行けるんじゃないか!?
そう思えるような状況である!!
柊君だって、11秒フラットだ!!相手がどんなに早くたって、
柊君だたら全体に負けない!!
そんな期待を匂わしてくれる選手だ!!
俺は一歩でも早く、柊君へバトンを渡したい気持ちでいた!!
急げよ!!
急いで渡せよ!!!
そう思っていた時である・・・
ガツン!!
そんな音が鳴っていたかはわからないが、
頭の中にそんな音が聞こえたと同時に、いきなり視界が
そまで柊君の頭を捉えていたのだが、ドンドン下に移っていくのである。
そして、次の瞬間・・・
ぐちゃ!
そんな音ともに地面に俺はへばりついたのであった!?
え?
え?
俺は何が起きているのかが全然分かっていない。
そんな中、柊君の声だけが聞こえて、
「久本!!」
その声を聞いて、俺はハッと我に返った!
俺・・・転んだん!?
そして、手に持っているバトンを俺は柊君へと渡さないとと思い出して
慌てて柊君へと渡す!
バトンを受け取った柊君が一生懸命走るのだが、
すでにそこで大勢は決まっていた・・・
俺達は・・・8位になったのであった・・・
俺はただただひたすら泣いて、謝った・・・
だって、俺がこけなければ、一位になるチャンスすらあったというのに!!
それを俺がふいにした・・・
自分でも後悔した。
だって、俺は走っている最中に余計なことを考えてしまって、
そっちに意識をとられのただから・・・
誰もが、俺を慰めてくれる。
あの松本先輩だって、
「気にすんな!仕方がない!!」
そういって、慰めてくれたのであった・・・
ただ、柊君は慰めの言葉をかけてはくれずに、ただ一言だけを伝えてくれた。
俺と柊君がテントでジャージに着替えている時だった。
みんなが俺達の傍にいるのだが、
誰も声を発することがない中で、
「久本・・・バトンって重いよな?」
「・・・え?」
唐突に柊君からそんなことを言われた。
そして、
「俺も中学の時に、バトンパスを失敗したことがあって、
それがまた通信陸上でさ。
俺達が普通に走っていれば、全国大会の標準記録を突破できたんだよ。
そんな大会で・・・しかも予選でバトンを俺達は落としたんだ。」
「・・・。」
「それ以来、俺はバトンが重く重くてね・・・。」
「・・・。」
「久本、バトンは重い。今回の件で、俺もお前もバトンは重いってことを理解しよう。」
「・・・ああ。」
そういってくれたのであった。
その大会で夏の大会が終わり、3年生の先輩達は引退となった・・・
そして・・・
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




