久本くん ~3~
朝6時半だと言うのに、各教室にはすでに、何人もの生徒が居て、
勉強している光景を見て衝撃を受けるのだが・・・
勉強面での意識の変化があると、
それに合わせて陸上面での意識の変化も現れはじめたのだ!
部活で決められた練習メニューを終えたあとで、
柊君達と一緒で残って練習をするようになったのだ!
陸上に関しては、どこかで諦めていたのだが、
けど、やっていない・・・自分の限界までやってない気がして
自分の限界までやろうと思ったのである!!
まずは、今のままでは俺のどこが悪いのかが正直分からないため
客観的に観れる人の意見を聞きたくなって、柊君に尋ねたのであった。
「久本?・・・体が硬いよね。」
「え?」
柊君に尋ねたところ体が硬いことを指摘されて、
いきなりストレッチをさせられるのだが、
「体が硬いせいで、手足の可動域が狭いんだよ。
まず最初にするのはストレッチだろうね。」
正直言って、半信半疑でこの助言を聞いていたのであった。
だって、走り込みとかなら分かるけど、
何でストレッチ?と思っていたのだが・・・
最初の一週間くらいは実感はわかなかったけど、
これが2週間ほどしてくると、まずは3年生の先輩から、
褒められるようになってきたのである!!
「何か、走りが大きくなってきたよね?」
自分では自覚はなかったのだが、
観る人が見れば違いが如実に表れているらしい・・・。
他の先輩たちからも走るフォームについて
色々なことを言われるようになっていったのであった。
そして、そんな風に言われだして、数週間後。
100メートル走のタイムを測定すると・・・
12秒3を土のグランドで出したのであった!!
俺はそのタイムを聞いた時、思わず、
「ま、マジか!?」
そう叫びながら、俺はタイムを聞いて呆然としたのである・・・
だって、それまで必死に練習してきてもタイムはそこまで上がってこなかったのに
ここ数週間、柊君に言われて、ストレッチをするだけでタイムが伸びたのである!!
正直、こんなことで?っと驚く。
まあ、それでも化け物たちはそれよりも早いタイムで走っているだけど・・・
「早くなったね~。」
そんな俺に声をかけてくれる柊君に、
「師匠!次はどうしたらいいでしょうか!?」
「い、いつのまに師匠になったんだよ。」
「で?どうすればいい?」
「うぅ~ん、久本はスタートから中間にかけての走りがいいんだよね。
だから、ここを伸ばす方がいいと思うんだけど・・・。」
ちょっと渋い顔をする柊君に、
「どうした?」
「いや、ちょうど見本になる走りをするのが松本先輩なんだよね・・・・。」
「?何でそんなに渋い顔をするの?」
「いや、まあ、松本先輩に教えて貰えばわかるかな~。」
苦笑いを浮かべて俺にそんなアドバイスをしてくれる柊君。
というか、自分の走り方をそんな風に分析しているとは思ってもみなかった・・・
・・・それにスタートから中間にかけての走りがいいってことも実感できて
いなかったのであった・・・。
なんじゃそりゃ?
それが俺の頭の中に浮かんだ言葉である。
とりあえず、体験してみるのが早いと思って、松本先輩に教えを乞うのだが・・・
「こう・・・ぐわって感じ!!」
とか、
「ええっとね~・・・ぐん!って感じだよ!!」
なるほど・・・
柊君が抱えていた不安がよくわかった・・・
俺は松本先輩に教えて貰っても一生理解することはできないだろうな・・・
ということで、また柊君に話を聞きに行く。
「で?」
「・・・やっぱりわかんなかった?」
「うん。」
「じゃあ、ちょうど短距離メンバーがスタートするから、それで説明するよ。」
そう言って、説明を始めてくれた。
今からスタートするのは宮本君と3年生の先輩である!
「ほら、スタートして早いのは分かるけど、30メートルくらいで
ガックんとスピードが落ちたのが分かる?」
「・・・え?」
その後、何度もビデオを観ていると確かに、
30メートル付近でスピードが落ちたというか、
後ろにいた松本先輩がスッと距離を詰めたのであった!
「これのことだよ。」
「???」
「うまくスタートから中間にかけて体が移行できてないから
宮本は失速しているんだよ。逆に松本先輩はうまくできてるから、
失速せずに距離を詰めれてる。」
「・・・なるほど・・・。」
言っている意味は分かったのだけど、
じゃあ、どうすればいいのかがわからなかった。
するとそれを察してか、松本先輩の走りをビデオで流しながら
俺にポイントを教えてくれる柊君。
「まあまあ、最初はぎこちなくなるけど、意識をして走るとぎこちなさも消えて、
いくから意識をして走ってみなよ。
ただ、細かい点については松本先輩の方が感覚的だけど
分かっているから、何とか理解してよね。」
苦笑しながらも親切に教えてくれる柊君。
そして、この助言を持って俺は、ドンドン速くなっていくのだった!!
中学時代からのベストタイムが12秒3から、
高校1年生が終わる頃には11秒9へとタイムが上がっていた。
12秒の壁を越えることが出来たのである!!
そして、2年生になる頃にはまたタイムが上がっていき、
夏前には練習ではあるが11秒6を記録したのであった!
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




